国際決済銀行(BIS)は9月29日、フィンテックにおける人工知能とデジタルアセットに関するニューヨーク連邦準備銀行会議で、現実資産(RWA)のトークン化などを含む新興テクノロジーに関する重要性を認識していることの見解を示した。
国際決済銀行のイノベーションハブは、暗号資産(仮想通貨)を含む新技術が中央銀行の運営方法をどのように変化させ得るかを研究・調査する任務を担っており、デジタルアセット領域を無視するわけにはいかないとイノベーションハブのセシリア・スキングスリー責任者は強調した。スキングスリー責任者は、「我々は、新興技術に直接触れ、我々の調査結果をコミュニティに報告することで、他の組織から区別している。我々は常に先手を打たなければならないことを理解している」と述べた。
BISによれば、トークン化が金融市場での効率と透明性を向上させる大きな可能性を秘めている一方で、「暗号通貨と分散型金融(DeFi)業界は現実資産のトークン化の成長を見据えているが、仮想通貨は従来の金融システムの役割を代替できるほどの完全なシステムではない」と指摘。一方で、スキングスリー責任者は、さまざまな現実資産がトークン化される可能性を考慮し、中央銀行がどのように対応すべきかを準備する必要があると主張した。
BISのイノベーションハブは21年からニューヨーク革新センター(NYIC)とパートナーシップを組んでおり、NYICは、ブロックチェーン技術が国際決済をどのように強化できるかを「Project Cedar」というプログラムの名の下を研究を行っている。研究の第一段階では「ブロックチェーンがより速く、同時に、安全な国際決済を可能にする」とNYICは述べている。スキングスリー氏は同プログラムは今後数ヶ月でその成果が公になるとの見通しを示した。
国際決済銀行(BIS)は同月28日、フランス、シンガポール、スイスの中央銀行と協力し、ホールセール中央銀行デジタル通貨(wCBDC)の国際取引及び決済の実験に成功したと発表。同実験では、自動マーケットメイカー(AMM)が市場効率の向上や決済リスクの低減に寄与し、FX取引と決済の簡素化の可能性を研究を行った。概念実証の段階では、シミュレートされた金融機関間で、スイスフラン、ユーロ、シンガポールドルのwCBDCの国際取引と決済が行われたという。
市場の拡大が見込まれる現実資産(RWA)のトークン化
大手金融機関シティバンクグループは今年初めのレポートで、RWAのトークン化は30年までに民間市場で80倍に成長すると予測している。国際銀行間通信協会(SWIFT)は8月31日、複数のブロックチェーンにまたがるトークン化資産の移動に関する実験結果を公開している。ポリゴン(MATIC)ブロックチェーン基盤のNFTマーケットプレイス開発を行う「Courtyard」はこのほど、ポケモンカードなどの収集品(RWA)をNFT化するサービスをCourtyard.ioで開始。バイナンスジャパン千野代表は、今後暗号資産の法人向けサービスが進化し、デジタル証券や現実資産(RWA)のトークン化による決済が加速すると見ている。なお、現在日本の法ではNFTを使った所有権を主張できないため、RWAのトークン化の普及にあたっては規制のフレームワークの策定が急がれる。
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