Hut 8 Corp.(HUT)の株価は2026年に44ドルから133ドルの間で推移し、安値から高値まで約200%の上昇幅を記録した。出典:TradingViewデータ
現在の株価は108ドル前後で推移しており、年初来で約128%上昇。同社は先ごろ、社名非公表のテクノロジー・ハイパースケーラーと98億ドル、期間15年のリース契約を締結した。
AI転換
CNBCの取材に対し、アッシャー・ジェノットCEOは、Hut 8がビットコインマイニングから人工知能(AI)インフラへと業態転換したことが株主の利益となっていると説明した。
この新たなリース契約により、テキサス州のHut 8のAIデータセンター「ビーコン・ポイント」に704メガワット分の容量が追加され、年間売上高は推計で6億5300万ドルとなる見込み。ジェノットCEOによれば、約1年前まではAIの受注残高はゼロだった。
現在、約270億ドル分のAI受注残高と、年間約17億5000万ドルのEBITDA(利払い・税引き・減価償却前利益)があると述べた。
ビットコインマイニング事業のその後
Hut 8はもともとビットコインマイニング企業として知られていたが、現在はビットコイン採掘を直接運営していない。2025年3月、同社はビットコインマイニング事業を米国ビットコイン(American Bitcoin Corp., ABTC)へと移管した。ABTCはHut 8が筆頭株主の別会社であり、エリック・トランプ氏とドナルド・トランプ・ジュニア氏も一部出資している。
Hut 8のAI路線転換とは対照的に、ABTCはマイニング事業を強化し、マイニング設備やビットコイン(BTC)保有量を2026年まで拡大している。
しかし、この戦略はABTCの出資者にとって成功していない。ABTCの株価は2026年に76%超下落し、エリック・トランプ氏の保有額は6億ドル以上減少した。アメリカンビットコイン株の急落でも同様の動きとなった。
AIストーリーと反発
AIへの転換が奏功する一方で、Hut 8は電力価格への影響で注目を集めている。ジェノットCEOは、ニューヨーク・タイムズ紙の報道を否定した。同報道は、データセンターによる影響でPJMインターコネクション(13州とワシントンD.C.を管轄する送電網運営者)エリアの電気料金が63億ドル増加したと指摘していた。
記事では、6月30日にPJMが実施した容量オークションを値上げの原因としたが、ジェノットCEOは番組内で「事実ではない」と反論。同氏は、Hut 8を含むほとんどのデータセンター事業者が送電網の設備増強やエネルギーコストを自己負担しており、電気料金負担を消費者に転嫁していないと説明した。
ただし、中立的な調査機関によると慎重な意見もある。Seeking AlphaがHut 8の2026年第1四半期決算を検証したところ、デジタルインフラ事業で2億5300万ドルの純損失とマイナスの利益率を記録していた。同分析では、実際のAI分野の売上は2027年第2四半期まで顕在化しないと予想している。
Hut 8の株価チャートとABTCの株価チャートは、現時点でまったく異なる展開となっている。Hut 8が実際に270億ドル分のAI受注高を現金化し、ABTCのマイニング路線が回復するかが、今後のストーリーの行方を左右しそうだ。









