ウォール街がブロードコム株(NASDAQ: AVGO)に殺到している。JPモルガンが1か月前に推奨銘柄に挙げた直後に、アップルとの300億ドル規模の契約が発表され、その判断が的中した格好となった。
同株は389ドル近辺で推移しており、52週高値の495ドルを約21%下回る水準で取引されている。次の決算は9月2日を予定。ほぼすべての金融機関が「買い」推奨を出しているが、一部の幹部は数百万ドル相当の株式を売却した。
AVGOがJPモルガンのトップ推奨銘柄になった理由
話は6月にさかのぼる。6月17日、JPモルガンのアナリスト、ハーラン・サー氏は顧客に対し、現水準で積極的に買い向かうよう助言した。「オーバーウェイト」を維持し、目標株価を580ドル(当時の389ドル近辺から約49%上昇)に設定したとCNBCが報じた。6月上旬にはバンク・オブ・アメリカのヴィヴェック・アーリア氏も目標株価を引き上げている。
サー氏は、市場がブロードコムのカスタムAIチップ設計と先端パッケージングの長年の優位性を過小評価していると指摘した。同氏は、同社がグーグルと12年間で14種の先端チップを共同開発し出荷してきた実績を強調した。
当時から見方はほぼ一致していた。この株をカバーする51人のアナリストのうち47人が「買い」評価を付けていたと、同じCNBCの報道にある。
アップルとの契約と金融機関の追随
その後、さらに追い風となる材料が現れた。7月8日、アップルはブロードコムから2031年までの間に300億ドル超となる米国製チップを調達する契約を締結。これに伴い、ブロードコムはコロラド州の工場拡張に15億ドルを投じる計画も発表した。
中核を担うのは、サー氏が指摘していたカスタムASICシリコン。これらのチップはアップルの「バルトラ」サーバーで用いられ、同社のクラウドAIの基盤となる。
買い推奨から1か月後、アップルがその仮説に実証を与えた。ブロードコムは今やアップル、グーグル、メタのカスタムチップ計画の中核となった。
他の金融機関もすぐに同調した。バンク・オブ・アメリカはJPモルガンやウィリアム・ブレアと並び「買い」評価を堅持している。
さらに7月14日、モルガン・スタンレーのジョセフ・ムーア氏は目標株価を502ドルに引き上げたうえ、ブロードコムをエヌビディアに次ぐ第2位に位置づけたとCNBCが伝えている。
売りが生んだ投資好機
この投資機会は、予想外の反応から生まれた。ブロードコムは6月3日に2026年第2四半期決算で過去最高の売上高221億9000万ドルを発表。前年同期比約48%増となり利益も予想を上回った。だが、その< a href="https://finance.yahoo.com/quote/AVGO/earnings/AVGO-Q2-2026-earnings_call-581106.html" target="_blank" rel="noreferrer noopener nofollow">好決算発表後、同株は1週間で約20%下落した。
懸念材料は成長性ではなく、利益率だった。粗利益率は今後77%から74%に低下する見込み。AIチップ事業の比重拡大で低マージンの影響が出るためだ。
それでもAI関連売上は143%増の108億ドルに拡大。ガイダンスでは次四半期に約160億ドルの見通し。強気な金融機関は、この下落は成長を正当に織り込んでいないと見ている。
潜むリスク要因
一方で逆風となる動きもある。7月8日、アップル契約発表当日、最高法務責任者のマーク・ブレジール氏が2万5000株、約948万ドル相当を売却。保有比率を約10%減らし、保有株数は22万株程度となったことが< a href="https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/1730168/000192109426000725/0001921094-26-000725-index.html" target="_blank" rel="noreferrer noopener nofollow">SEC提出資料から判明した。
テープもまた慎重である。買い圧力と売り圧力を測る指標であるブロードコムのチャイキン・マネー・フローは低下傾向が続く。エルステ・グループは7月7日に投資判断を「ホールド」に引き下げた。
もしハイパースケーラーによるAI投資の減速兆候が出れば、依然として市場に影響を与える可能性がある。現時点で銀行と内部関係者の見方は分かれている。9月2日の発表が、いずれの判断が正しかったかを明らかにする。









