暗号資産業界は現在、弱気相場が続いているため市場での取引活動は減少傾向にあります。しかし、アルトコインには「季節」ろいうものがあることをご存知でしょうか？ その投資シーズンを見極めることができれば、多くの利益を得るチャンスが出てくるかもしれません。ところで、その「アルトコインの季節」とは一体何でしょうか？
この記事では、アルトコインの季節とは何か、ビットコインとの関係、影響を受ける要因やリスク、アルトコインの季節における取引戦略などについて解説します。
アルトコインの季節とは？
アルトコインは、オルタナティブコインという言葉に由来しますが、ビットコイン以外の暗号資産を指します。「アルトコインの季節」とは、簡単に言えば、アルトコインの価格が大きく上昇し、ビットコインを上回る期間を指します。そのトレードオフ（何かを達成するためには何かを犠牲にしなければならない関係）は、経験豊富な投資家にとっては自明なことです。
株式資本（通称：時価総額）が大きい市場は、相場が動きにくくなるため、株式資本が小さい市場の方が、より高いリターンを得られる見込みがあります。言いかえれば、20ドルの価値で時価総額が200万ドルの資産が100ドルの価値になるのは、2万ドルの価値で時価総額が20億ドルの資産が10万ドルの価値になるより簡単です。
この例えにあてはめると、アルトコインがその20ドルの資産で、一方ビットコインが20,000ドルの資産にあたります。
トレーダーは、アルトコインの季節においては、自分のポートフォリオを分散し、これらの代替デジタル資産から見込まれる利益を得ようとする動きが高まります。アルトコインの季節は、強気と弱気のトレンドが代わるがわる起きる暗号資産市場の広範なサイクルと密接に関連しています。
暗号資産市場のサイクル
アルトコインの季節を理解するには、デジタル資産価格の上下動が起きる暗号資産市場のサイクルを見ていく必要があります。このサイクルは通常、強気相場と呼ばれる強気なセンチメントの期間と、弱気相場と呼ばれる弱気なセンチメントの期間とが交互に起きます。
強気相場と弱気相場
強気相場では、市場全体で価格トレンドが上昇します。これは、投資家がビットコイン以外の保有資産を分散させリターンが最大となるチャンスを求めているため、アルトコインが盛況となるには好都合な環境です。アルトコインの季節には、市場参加者が（価格トレンドの）勢いを捉えて拡大する市場の波に乗ろうとするため、取引活動の急増がよくみられます。
ビットコインのドミナンス
ビットコインは、時価総額ベースで最も人気の高い暗号資産で、暗号資産市場においては取引量の大多数を占めています。ビットコインの対アルトコイン比率は、市場分析において重要な意味を持ち、ビットコインのドミナンスと呼称されています。
ビットコインのドミナンスは、アルトコインの季節において重要な役割を果たします。これは、すべての暗号資産の時価総額全体に対するビットコインの時価総額の割合を表しています。ビットコインのドミナンスが高いときは、ビットコインが市場を支配していることを示しています。
しかし、「アルトコインの季節」には、代替デジタル資産（ステーブルコインやミームコインなど）に資金が流入するため、ビットコインのドミナンスは低下する傾向がみられ、アルトコインの市場シェアがビットコインを上回ることにつながります。
アルトコインの季節に影響を及ぼす要因
アルトコインの季節の到来には、いくつかの要因が絡んでいます。これらの要因は、市場センチメントに影響を及ぼし、相場の値動きを活発化させ、アルトコイン投資に向けた全体的な流れを形成します。
市場センチメント
トレーダーや投資家の集団心理を映し出す市場センチメントは、アルトコインの季節に重要な役割を果たします。すぐにでも利益を得たいトレーダーは、ビットコインへの関心が低下すると、保有しているBTCを売却し、アルトコインに切り替えようとします。また、ビットコインの価格が高ければ、暗号資産の購入を検討していたバイヤーは（BTCへの購入）意欲を失い、代わりにアルトコインを選択する場合もあります。
例えば、ミームコインは価格トレンドに応じて吊り上げと売り叩きが起きる傾向があります。ドージコインや柴犬コインのような暗号資産には、しばしば同じ時期に価格の上昇や 「パンプ（意図的な価格の吊り上げ）」がみられます。ちなみにミームコインは、主にソーシャルメディアのプラットフォーム、オンラインコミュニティ、口コミを通じて人気があり注目を集めています。
特定のミームコインが人気を集め始め、誇大広告が流されると、投資家の間にポジティブなセンチメントや興奮が巻き起こることがあります。この集団的な熱狂は、協調的な購入行動につながり、また複数のミームコイン価格を上昇させることにもなります。
Crypto Fear and Greed Index（投資家の恐怖と貪欲を測定するために作成されたインデックス）は、市場センチメントを監視する優れた手法です。このインデックスは、価格のボラティリティ、取引量、ソーシャルメディアのアクティビティ、各種調査、市場の勢いなど、様々な要因やデータポイントを考慮して、現在の市場センチメントを判断します。
アルトコインの季節には、投資家がハイリスクを受け入れ、ビットコインや他の主要暗号資産より高いリターンを得るために、アルトコインに資金を回すことがよくあります。このようなアルトコインへの関心の高まりは、Crypto Fear and Greed Indexに反映され全体的なセンチメントの変化として現れることがあります。
ニュースやイベント
暗号資産の世界のニュースやイベントは、アルトコインの季節に大きな影響を与えます。主だった発表、パートナーシップ、規制の進捗、技術的なブレークスルーは、特定のアルトコインへの関心と投資の急増を引き起こし、価格の上昇を招くことがあります。トレーダーや投資家は、そうしたきっかけになるものはないか、ニュースソースやソーシャルメディアを注意深く見守る必要があります。
一方、分散型金融（DeFi）と非代替性トークン（NFT）の台頭により、これらの分野に関連する特定のアルトコインには、大きな注目と投資が集まっています。DeFiプロジェクトの成功や人気のあるNFT販売など、ポジティブな展開があれば、関連するアルトコインの需要も高まります。
例えば、Uniswap、Compound、AaveといったDeFiプロトコルへの関心が、2020年と2021年に急激に高まり、DeFiセクターにアルトコインの季節が訪れました。投資家は分散型レンディング、イールドファーミング、ガバナンストークンへの期待を高め、様々なDeFi関連のアルトコイン価格が大きく上昇しました。
技術開発
アルトコインにおける技術的な進歩も、アルトコインの季節の追い風になります。アルトコインがもたらす新しいプロジェクト、ブロックチェーンのアップグレード、または革新的な機能は、注目と投資を呼び込みます。これらが進展すれば、特定のアルトコインがゲームチェンジャーとして期待され、価格の上昇に弾みがつく可能性がでてきます。
こうした現象の好例として、ロールアップの流行が挙げられます。ロールアップとは、ブロックチェーン技術の観点では、ブロックチェーンネットワークのスケーラビリティ（データの処理能力）と効率の向上を目的としたレイヤー2のスケーリングソリューションのことです。それは実際には、ブロックチェーンの中にブロックチェーンがある状態を指します。
ユーザーは、ブロックチェーンのネイティブトークン作成のためにロールアップを望む傾向にあります。OptimismとArbitrumは、おそらく最も有名で高い期待を寄せられたロールアップを採用し、トークンも発行しています。
アルトコインの季節の見分け方
アルトコインの季節を見分けることは、市場に活路を見い出そうとするトレーダーにとっては極めて重要です。この「季節」を認識するうえで、その判別は容易でない場合もありますが、いくつか役に立つ指標や測定基準があります。
アルトコイン季節指数
「アルトコイン季節指数は、90日間の投資収益率（ROI）がビットコインより大きい上位50のアルトコインの総数を、指数に使用するアルトコインの総数（この場合は50）で割り、その結果に100を乗じたものと定義される」
出典：Into the Cryptoverse
また他の複数の市場分析プラットフォームにも、（別なかたちで）ビットコインに対する一連のアルトコインのパフォーマンスを追跡するアルトコイン季節指標があります。これらの指標は、トレーダーに躍動的な市場の様子を伝え、アルトコインの季節が本格的に到来する時期を示すものです。
時価総額：
アルトコインの季節に関するインサイト（推察）は、アルトコインの時価総額を監視することで得られます。この季節の間、アルトコインの時価総額全体は大幅に増加し、投資家センチメントが変化しアルトコインへの需要が増加します。ETH、SOL、DOGEなどの上位アルトコイン（の動き）を注意して見ると、ビットコインから関心が移っていることがわかります。
アルトコインの季節における取引戦略
アルトコインの季節をうまく切り抜けるには、リスクを軽減し、可能な限り利益を上げるための具体的な取引戦略が必要です。
アルトコインの季節は、トレーダーにとって、ビットコイン以外にもポートフォリオを分散させるチャンスです。いくつかの有望なアルトコインに投資することで、トレーダーは複数の暗号資産の価格パフォーマンスからの利益が期待でき、単一の暗号資産のボラティリティに対するエクスポージャーを減らせます。
チャートパターン、指標、出来高分析などのテクニカル分析ツールは、トレーダーがアルトコインの季節中に参入・撤退ポイントの時期を判別する手助けとなります。トレーダーはまた、価格チャートを研究し、主な支持線と抵抗線を見極めることで、多くの情報に基づいた取引判断が下せます。
“ホエールウォッチング”は、市場のボラティリティを予測するのに優れた手法です。これは、大量の資本を保有する個人または機関投資家（クジラと呼ばれる）の活動を監視することを言います。クジラたちは、多額の暗号資産を保有しており、その取引規模から市場価格に影響を与えることがあります。
ホエールウォッチングでは、クジラである著名な投資家に関連するウォレットやアドレスを追跡して、彼らの売買パターンを推察します。トレーダーや投資家は、これらのクジラの取引や動きを分析して、起こりそうな市場トレンドを判別し、価格変動を予測し、情報に基づいた取引判断に努めます。
大きな資金力を持つクジラは、大量の売買注文を出して、取引所のオーダーブック（特定の資産に対する売買注文を価格レベルごとに整理した電子リスト）に影響を及ぼすこともあります。これらの注文は、意図的に需給の不均衡を生み出すため、他の市場参加者が反応して価格変動を引き起こすおそれがあります。
アルトコインの季節におけるリスクとチャンス
アルトコインの季節は、有益なチャンスをもたらす一方で、トレーダーが注意すべき固有のリスクも抱えています。アルトコインの季節の特徴は、しばしば市場のボラティリティが高まることです。急激な価格変動は大きな利益をもたらしたり、逆に大きな損失につながることもあります。
トレーダーは注意深く行動し、ストップロス注文を設定し、自分の資金を守る効果的なリスク管理が必要です。一部のアルトコイン、特に時価総額の小さいアルトコインは、アルトコインの季節中に流動性が低くなることがあります。そのため、希望価格でのポジションの確保が難しくなり、資産価値の低下や取引コストの上昇につながる場合があります。
アルトコインの季節の波に乗る
アルトコインの季節は、暗号資産市場の活動が活発化し、取引チャンスが期待できる期間です。トレーダーや投資家は、この季節にポートフォリオを分散し、価格変動を利用してビットコインを上回るパフォーマンスが得られます。市場参加者は、アルトコインの季節における躍動的な動きを理解し、市場センチメントを監視し、適切な取引戦略を用いれば、暗号資産の世界におけるこの刺激的かつダイナミックな期間をうまく乗り切ることができます。
アルトコインの季節は、進化し続ける暗号資産市場において、収益の最大化と暗号資産の様々な利用を追求するトレーダーにとって、今後も注目される投資イベントとして期待されていくとみられます。
よくある質問
アルトコインの季節は何がきっかけで起きるのですか？
アルトコイン季節指数を追跡するにはどうすればよいですか？
アルトコインの季節に利益を得るにはどうすればいいですか？
アルトコインの季節を正確に予測できますか？
アルトコインの季節は通常どのくらい続くのでしょうか？
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