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ビットコイン&暗号資産保有企業ランキング|2025年版

21分
投稿者 Shota Oba
編集 Shigeki Mori

ヘッドライン

  • 国内企業のビットコイン保有は2024年までに倍増し、円安対策や資金調達の手段として注目されています。
  • ビットコイン保有は、世界規模でも増加傾向にあり、企業のビットコイン購入は数年で数百%の伸びを見せました。
  • 企業のビットコイン保有は市場や規制に影響されるものの、さらなる増加が見込まれています。

暗号資産の現物取引高は2025年2月に1兆9176億2200万円、証拠金取引高は1兆5398億700万円に達しており、企業によるビットコイン(BTC)を含む暗号資産の保有も引き続き拡大しています。特にデジタルサービスやゲーム開発を手がける企業が暗号資産を保有する例が増加しており、円安への対応や新たな資金調達手段としての活用が目立ちます。2025年4月時点では、新たに暗号資産を購入した企業を含め、合計40社以上が保有していると推定されています。

本稿では日本国内を中心に、ビットコインおよび暗号資産を保有する企業について解説し、ビットコインの保有状況がどのように変化するのかについても考察します。

ビットコインとは?

ビットコインは、2008年にサトシ・ナカモトという人物によって開発された暗号通貨で、論文「BitCoin : A Peer-to-Peer Electronic Cash System(ビットコイン:P2P電子決済システム)」によって誕生しました。

ビットコインには下記のような特徴があります。

  • 中央管理者が存在しない
  • 発行量が限られている
  • 取引履歴が公開されている

ビットコインは、中央銀行や政府などの金融機関を介さずに、ユーザー同士で直接取引を行うことができるのが特徴で、また複雑な暗号技術によって管理されているため、改ざんや偽造が非常に困難になっています。

ビットコインはインターネット接続とウォレットのみで金融サービスにアクセスできるようになるため「アンバンクト」と呼ばれる経済的に弱い立場にある人々や、銀行口座を持たない人々にも、平等に金融サービスを提供できることができます。

金融資産という側面以外にも「世界的な金融格差を縮小する可能性」も持ち合わせており、これまでの金融の形を大きく変えるアセットとして注目されています。

国内企業のビットコインおよび暗号資産保有状況

暗号資産の自動損益計算サービスを展開するpafinのデータ(pafin公式サイト)と日本経済新聞社の独自調査によれば、国内の上場企業による暗号資産の保有が2024年5月時点の31社からさらに増加しています。2025年4月時点では、新たに暗号資産を購入した企業を含め、合計40社以上が保有していると推定されています。特にデジタルサービスやゲーム開発を手掛ける企業の参入が引き続き目立っています。

2025年に新たに暗号資産を購入した企業として、リミックスポイントが挙げられます。同社は2025年2月に5億円分の暗号資産を購入しました。また、湘南美容クリニックを運営するSBCメディカルグループホールディングスはCoinbase経由で10億円分のビットコイン購入を進めています。さらに、ゲーム開発企業のgumiも2025年に10億円分のビットコイン購入を決定しました。

一方、かつてメタバース関連事業を展開していたメタプラネットは、現在では「日本のマイクロストラテジー」と呼ばれるほど大規模なビットコイン投資を続けており、数百億円規模の投資を進めています。こうした企業の動きは、暗号資産をポートフォリオの多様化手段として位置付け、円安やインフレリスクへの備え、新規ビジネス戦略の一環としての側面が強まっていることを示しています。規制環境の整備や市場成熟とともに、今後も企業による暗号資産投資は増加が見込まれています。

調査によれば、企業の保有目的の1つは資産価値を見込んだ投資です。メタプラネットは、メタプラネットは2023年から積極的にビットコイン投資を進めており、「アジアのMicroStrategy」とも称される戦略で2025年末までに1万BTCの保有を目標に掲げています。2025年6月には保有量が1万BTCを超え、2025年7月時点では13,350BTCを保有しています。

円の価値下落を回避するためにビットコインを保有することで、インフレへの対策になる。将来的にはビットコインがバランスシートの大半を占めるようにしていく

王生貴久最高財務責任者(CFO):メタプラネット

ビットコインをはじめとする暗号資産の保有目的には、円安のリスク回避や資金調達手段としての利用が増加しているのが特徴です。市場はピーク時の8割程度にまで回復しており、これが企業の暗号資産保有増加の背景にあります。2024年6月に野村ホールディングスが行った調査によると、日本の機関投資家の54%が今後3年以内に暗号資産への投資を計画していることがわかり、将来的に暗号資産の採用がさらに増える可能性が示唆されています。

関連記事:ソニーとメタプラネット、円安警戒の中、暗号資産に目を向ける

日本企業の暗号資産保有ランキング

ランク企業名総暗号資産保有量(推定)主な保有資産概要・最新動向
1メタプラネット(3350)13,350 BTCBTC積極的なビットコイン購入戦略を展開。2027年までに21万BTC保有を目指す。ETHやその他の資産の保有は確認されず。
2リミックスポイント(3825)1,038 BTC + その他(ETH、SOL、XRP等)BTC、ETH、SOL、XRP6月にBTC1,000超を達成。複数通貨(ETH、SOL、XRPなど)を保有し、多角的な戦略を展開。総額はBTC換算で約1,200 BTC相当と推定。
3ネクソン(3659)1,717 BTCBTC2021年からBTCを保有、インフレヘッジ・資産分散目的。その他の暗号資産保有は未確認。
4ANAPホールディングス(3189)184.7 BTCBTC6月にBTC追加購入、8月までに1,000 BTC超を目指す。ETHなどの保有は未確認。
5gumi(3903)80.352 BTC + その他(NFT関連資産)BTC、NFT6月に10億円分のBTC購入。SBIと協業でNFTファンド設立、NFT関連資産も保有。総額はBTC換算で約100 BTC相当と推定。
6SBCメディカルGHD66 BTCBTC4月・5月にBTC購入、インフレヘッジ目的。その他の暗号資産保有は未確認。
7バリュークリエーション(9238)30.38 BTCBTC6月に1億円分BTC追加購入。不動産事業の余剰資金を活用。その他の暗号資産保有は未確認。
8enish(3667)30 BTCBTC4月に1億円分BTC購入、ブロックチェーンゲーム連携。その他の暗号資産保有は未確認。
9AIフュージョンキャピタル(254A)24.6 BTCBTC3月に5億円相当のBTC購入、株主優待にBTC導入。その他の暗号資産保有は未確認。
10マックハウス(7603)資金調達中(最大17億円分)不明暗号資産購入計画を発表、グループ新設で運用体制整備中。具体的な保有資産は未確認。
エス・サイエンス(5721)購入準備中不明7月以降投資事業参入予定。ニッケル・不動産業からの資金活用を計画。

日本国内の暗号資産保有率

25年現在、日本国内の暗号資産保有率は約13%と推定されており、世界的にも比較的高い水準となっています。

年代別保有状況(2025年時点)

年代暗号資産保有率
20代約19%
30代約19%
40代約15%(推定)
50代約10%(推定)
60代〜約7%

特に若年層(20~30代)ほど保有率が高く、高齢層になるにつれて保有率が低下しています。

性別ごとの保有傾向

男女別の保有率は以下の通りです。

  • 男性:約15%
  • 女性:約7%

男性の保有率は女性の約2倍ですが、最近では女性の新規参入も増加しています。わかります。さらに、男性が68.13%、女性が17.28%と、男性の割合が圧倒的に多いことが特徴です。

世界のビットコイン保有企業状況

ビットコインは全世界で1976万BTCが流通しており、2025年に入り、企業の暗号資産(特にビットコイン)保有量は世界的に大きく増加しています。資産運用会社Bitwiseの分析によると、公開企業によるビットコイン保有量は2025年第1四半期に16%増加し、合計約68万8000BTC(評価額約570億ドル、8兆1500億円)に達しました。さらに、公開されていないデータでは、非公開企業の保有量が公開企業を上回っており、企業が公開する義務がないため、実際の保有量はさらに多い可能性があります。

公開企業の保有状況(2025年7月現在)

  • ストラテジー(旧マイクロストラテジー): 約597,325 BTC(世界最大)
  • ロビンフッド: 約149,000 BTC
  • マラソン・デジタル: 約48,237 BTC
  • ライオット・プラットフォームズ: 約18,692 BTC
  • ギャラクシー・デジタル: 約15,449 BTC
  • テスラ: 約11,509 BTC
  • Hut 8マイニング: 約10,237 BTC
  • Block(旧スクエア): 約8,485 BTC
  • コインベース: 約9,000 BTC

Strategy社のように資本調達を通じてBTCを買い増す戦略は他企業にも広がっており、今後も注目が集まります。

非公開企業の保有状況

  • Block.one: 約164,000 BTC
  • Mt.Gox(返済前残高):約14万1,686 BTC

さらに、ブラックロックやJPモルガンなどの金融大手もETFを通じてビットコインを保有しており、機関投資家の保有も継続的に増加しています。さらに、ブラックロックJPモルガンもETFを通じた保有者であり、ビットコインの継続的な保有を明かしています。

関連記事:マウントゴックス事件とは?ビットコイン返済が続く事件の経緯をわかりやすく解説

ETF・ファンド発行企業の保有状況

本稿執筆時点(2025年7月)で、ビットコインETFの運用資産(AUM)は約1,370億ドルを上回っており、ETFのBTC保有割合は総供給量の約5.94%です。また、各国政府の保有量は約46万BTC(約15.2%)となっています。

2025年7月|主要ビットコインETFの保有枚数

ETF名称保有BTC(枚)総供給量に対する割合
iShares Bitcoin Trust(IBIT)– BlackRock696,874 BTC約3.32%
Fidelity Wise Origin Bitcoin Fund(FBTC)201,349 BTC約0.96%
Grayscale Bitcoin Trust(GBTC)183,950 BTC約0.88%
ARK 21Shares Bitcoin ETF(ARKB)46,467 BTC約0.22%
Grayscale Bitcoin Mini Trust(BTC)44,025 BTC約0.21%
Bitwise Bitcoin ETF(BITB)39,888 BTC約0.19%
VanEck Bitcoin Trust(HODL)15,661 BTC約0.07%
Valkyrie Bitcoin Fund(BRRR)5,852 BTC約0.03%
Invesco Galaxy Bitcoin ETF(BTCO)5,292 BTC約0.03%
Franklin Bitcoin ETF(EZBC)5,242 BTC約0.03%
WisdomTree Bitcoin Fund(BTCW)1,547 BTC約0.01%

ETF全体では合計約1,246,283 BTCを保有しており、これはビットコイン固定供給総量の約5.94%に相当します。

関連記事:ビットコインETFとは?

ビットコインを保有するメリット・デメリット

企業のビットコイン保有が急増:GameStop、Metaplanetなどが全面参入

ビットコインを保有するメリット

①資産価値の向上

ビットコインは世界中の機関投資家や大企業(例:テスラ、マイクロストラテジー)から注目されており、過去数年で価格が急騰しました。企業が早期に保有していた場合、大幅な資産価値の向上につながる可能性があります。2020年にテスラがビットコインを15億ドル購入した際、一時期評価額が2倍近くに上昇したことはよく知られています。

②新たなビジネスモデルの創出

企業がビットコインを決済手段として導入することで、迅速かつ低コストな海外送金を実現し、国境を越えた新たな顧客層を獲得できます。例えば、マイクロソフトやPayPalはビットコイン決済を導入し、ユーザー利便性を高めることで顧客基盤を拡大しました。

③資産ポートフォリオの分散

伝統的な資産(株式や債券)だけでは経済危機やインフレ時に資産が目減りするリスクがあります。ビットコインは政府や中央銀行の影響を受けにくいため、企業は資産ポートフォリオを分散しリスクヘッジを図れます。実際、金融不安が強まった際にビットコイン価格が上昇したケースもあります。

ビットコインを保有するデメリット

①価格変動リスク

ビットコインの価格は非常に変動が激しく、短期間で資産価値が急落する可能性があります。2021年にはビットコイン価格が数週間で約50%下落することもありました。これにより企業財務が不安定になり、株主や投資家からの信頼低下につながる恐れがあります。

②規制リスク

各国政府の規制動向によっては、ビットコイン保有や取引が突然制限されるリスクがあります。例えば、中国では2021年にビットコイン取引が全面的に禁止され、多くの企業が事業計画の修正を余儀なくされました。規制の急激な変更は企業の財務計画や投資戦略に重大な影響を与える可能性があります。

ビットコイン保有企業の未来

企業の暗号資産購入がETFを上回る動きが3四半期連続で続いています。特に、MicroStrategyが確立したビットコイン投資戦略を模倣する企業が増えているためです。データプロバイダーのBitcoin Treasuriesによると、公開企業は2025年第2四半期に約131,000BTCを購入し、保有量を18%増やしました。一方、ETFは約111,000BTCの購入で、増加率は8%でした。

こうした状況のなかビットコインの企業採用率は予測が難しいものの、ビットコイン調査会社RIVERは2026年初頭までの累積保有量について3つのシナリオを予測しています。

  • 最低予測:マイクロストラテジー、テザー、コインベース、スクエアがビットコインを取得し続ける戦略を維持すると仮定し、これら4社は1日あたり204BTCを購入する見込み。2024年上半期のペースより37%低下するが、安定的に購入が続く
  • 中間予測:2024年上半期に企業は合計6万4886BTCを購入しており、これは1日あたり356BTCの購入ペース。このペースが2026年まで続くと予測
  • 上限予測:楽観的なシナリオでは、米国企業の10%が現金の1.5%(103.5億ドル)をビットコインに変換すると仮定。これにより1日あたり315BTCが購入され、これを最低予測と合わせて1日あたり519BTCの購入となる

まとめ:ビットコインの認知拡大により、さらなる企業保有率が高まる可能性大

ビットコイン

暗号資産の保有は、国内外の企業にとって資産管理やリスクヘッジの重要な手段となっており、特に円安や市場の不確実性を背景に、ビットコインを含む暗号資産の保有が急速に増加しています。

国内企業の間でも、メタプラネットをはじめ、多くの企業がビットコインに資産を移行しつつあり、その傾向は今後も続く見通しです。企業が暗号資産を保有する動きは、今後も市場の変動や規制の影響を受けながらも、重要な戦略として位置付けられるでしょう。

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国際関係の大学在籍中に国内ブロックチェーンメディアでのインターンを経て、2つの海外暗号資産取引所にてインターントレーニング生として従事。現在は、ジャーナリストとしてテクニカル、ファンダメンタル分析を問わずに日本暗号資産市場を中心に分析を行う。暗号資産取引は2021年より行っており、経済・社会情勢にも興味を持つ。
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