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ストックフローモデル: ビギナーガイド

25 mins
記事 Rahul N.

暗号資産の世界には、いくつもの価格予測ツールが存在しています。過去の値動き【テレグラム上のビーインクリプト(BeInCrypto)トレーディングコミュニティで毎日発表されているテクニカル分析でわかります】を見るもの、市場のドミナンス(優位性)に基づくもの、そして希少性(scarcity)に頼るものまで、さまざまです。なかでも供給の希少性は、長期的な価格を予見する信頼できるツールメソッドです。そして、ビットコインのストック・ツー・フロー(S2F)モデル(以下、ストックフローモデル)もそうしたリソースの1つです。

ストックフローモデルでは、ビットコインに供給制限をめぐるシナリオが見てとれます。つまり、(ビットコインのような)価値ある資産が供給不足になると、需要が増えたり、横ばいになったりして、最終的に価格の変動が起きます。しかし、ストックフローモデルは単なるコンセプトではありません。ビットコイン価格と正の相関関係にある、完全に有効な指標なのです。ここでは、ビットコインのストックフローモデルについて、その沿革、コンセプト、計算方法、メリット、限界点など、関連するすべてを説明します。

目次:

  1. ストックフローモデルとは?
  2. ストックフローレシオを計算してみる
  3. ストックフロー計算を463日で行う理由
  4. ストックフローモデルのメリット
  5. ストックフローモデルのデメリット
  6. ストックフローモデルを利用したビットコイン価格予測
  7. ゴールドとビットコインのストックフローモデル:どう違うのか?
  8. ビットコインのストックフロー・クロスアセットモデルとは?
  9. ビットコイン・ストックフローモデルによる価格予測
  10. ビットコイン・ストックフローモデル:役に立つツールとして
  11. よくある質問

ストックフローモデルとは?

ビットコインのストックフローモデルは、ビットコインの限られた供給量と、その価格の動きとともに起きる定期的なインフレレシオ(inflation ratio)の下落を結びつけた、信頼性の高い統計的に検証された定量的ツールです。ストックフローモデルは主に、ビットコインの供給を増やすことが著しく困難な状況において、ビットコインの価格が安定的に成長する可能性を表す比率(レシオ)です。

ここで、そのレシオとその計算方法について説明してゆきます。

ストックフローモデルは、ビットコインをや銀のような貴金属/コモディティと同じ視点でとらえます。(なぜなら)供給の希少性という点で共通しているからです。つまり、このモデルツールは、ビットコインにコモディティというタグをつけることになりますが、これは他方で多くの議論を呼んだ価値付けでもあります。

ビットコインのストックフローモデルの背景

ストックフローモデルを考案したのは、プランB(別名”Twitterati”)氏で、2019年3月のことでした。彼はこのモデルについて、人気のあるブログプラットフォーム”Medium”に「ビットコインの価値を希少性(Scarcity)というかたちでモデル化する」というタイトルで長文の投稿をして議論を挑みました。 このモデルは5年のスプリント(sprints)期間を見込んでいますが、登場してから、これまでのところかなり正確に機能しています。

ストックフローレシオを計算してみる

ストックローモデルは、ストックとフローという2つの用語で表現されます。ビットコインの場合、ここでいうストックは1,919万枚、つまり現在の流通量を指します。フローとは、年間のインフレレシオ、つまりビットコインの供給ストックに毎年投入されるビットコインの数量を意味します。

このことから、次のレシオが導かれます。ストックフローレシオ = ストック/フロー

現在のビットコインのストック=1,919万枚。

年間ビットコイン採掘(マイニング)量(ビットコインのフロー)=356,029(1日あたりのマイニング量はほぼ975ビットコイン)。

注)ビットコインの(ブロックチェーン)ネットワークでは、毎日約160ブロック(通常は150~156ブロック)が作成されます。1つのブロックが成立すると、現在の報酬サイクルに従い、マイナーは6.25ビットコインを受け取ります。したがって、フローは、156 x 6.25 = 975ビットコイン/日なります。

したがって、ストックフローは53.9(1,919万枚/356,029)となります。この数字は、現在のビットコインのストックを生み出すのに53.9年かかることを意味します。

なお、フローは以下の理由により変化し続けます:

  1. マイニング難易度の変化
  2. ビットコインネットワークの混雑状況
  3. マイニングハードウェアのコストの変化
  4. イベントの半減

ビットコイン価格とレシオの組み合わせ

しかし、前述の数字は単にレシオにすぎません。ここで問題となるのは、ストックフローレシオとビットコイン価格をどう組み合わせるかです。

これには、ストックフローモデルについてビットコインの適正価格を算出する別の計算式があります。

モデル価格=exp(-1.84). SF^3.36 

現在のストックフローレシオを用いると、今日現在のモデル価格は、約104,480ドルとなります。

ビットコインのストックフローモデル: BuyBitcoinWorldwide

(上図のように)モデル価格は、ストックフローモデルのラインで示されます。この指標は、モデル価格のラインの上に現在のビットコイン価格を重ねあわせ、モデル価格と実際の価格の差を表示するものです。

ストックフローレシオを算出する別の方法として、次の式を使うことができます:

ストックフローレシオ=1/供給成長レシオ(supply growth rate)

供給成長レシオは、これまで説明してきたビットコインのインフレレシオでもあります。ビットコインの場合、現在のインフレレシオは1.80%に近いので、ストックフローレシオはほぼ55となり、上の計算式で求めた値に近くなります。

ストックフロー計算を463日で行う理由

上のチャートを見ると、ストックフローのラインはかなり滑らかで、ほぼ平坦な軌跡を描いていることがわかります。これは、463日間にわたってストックフローモデルを用いているためですが、それには理由があります。

ビットコインの良い点は、ソースコードの一部としてインフレ対応メカニズム(inflation-handling mechanism)が組み込まれていることです。こうしたイベントは約4年ごとに起こり、半減期と呼ばれています。それぞれの半減期サイクルは、理論上は21万ブロック後に起こることになっています。そして各サイクルの間、ビットコイン価格の動きは通常3つの段階を経ることになります。すなわち、強気(bull run)、修正、そして平均回帰(平均的な資産価格への回帰)です。

そして、現在の日次インフレに関しては、毎日151ブロックが生成されています。したがって、タイムラインでみた生成式は次のようになります:

スパン = (半減期あたりのブロック数÷3) / 1日あたりのブロック数

= 約463個

こうした計算は、中央銀行および株式のリサーチャー、プレストン・ピッシュ(Preston Pysh)氏が提案したもので、サンプル数を増やし、ストックフローに基づくビットコイン価格モデルを平滑化することを目的としています。

ストックフローモデルのメリット

さて、難しい数学の話を終えたところで、ストックフローのビットコイン価格予測モデルを使用することの利点をいくつか紹介します:

  • トークンエコノミーなどのファンダメンタルドライバー(fundamental drivers)を使用して、価格の動きを追跡するのに役立つ。
  • 長期的なビットコイン保有者に対して楽観的な見方を提示する。
  • 半減期に価格予測に沿った動きをする。
  • ビットコインの価格弾力性が低いこと、つまり価格が上昇しても供給が増えない(これは自動調整機能があるため)
  • ほぼ一定の新規供給量をパラメータとする数少ない指標の一つであること。

ストックフローモデルのデメリット

ビットコインのストックフローモデルには、いくつか欠点があります。以下に、トレーダー/投資家にとって注意すべき点を挙げます:

  1. 市場のボラティリティ(価格の変動性)、特に重要なイベントの際に起こる大きな価格変動が考慮されていない。
  2. 弱気相場では成立しない可能性がある楽観的見通しの推定データが挿入されている。
  3. ブラックスワンのような経済現象は考慮していない。
  4. ビットコインの需要を一定とみなし、「需要」の落ち込みを考慮していない。

2022年6月、ヴィタリック・ブテリン(Vitalik Buterin)氏はストックフローモデルを強く非難しました。以下は、同氏のツイートです:

ストックフローモデルを利用したビットコイン価格予測


ここで良い知らせがあります。 ビットコインのストッフローモデルは、取引や投資プランの予測に使用することができるのです。以下はその方法です:

価格ゾーンを見極める

ストックフローモデルは、ビットコインの標準化された適正価格の形成に役立ちます。ビットコインの価格が適正価格ラインを下回って下落した場合、資産は売られ過ぎとみなされ、なんらかのトレンドの反転となるかもしれません。これは、戦略的投資家がロングポジションを建てるポイントになりえます。

同様に、価格がストックフローラインを上回った場合は、買われすぎと判断され、調整が入る可能性があります。

このモデルの適正価格からの乖離をチェックするもう一つの方法は、ストックフロー指標の下部に位置するモデル分散ゾーン(model variance zone)に着目することです。グリーンのゾーンは戦略的投資家にとってのディスカウント(割安)ゾーンであり、ピークを指すレッドゾーンは出口判断の可能性を示しています。

イベントベースの取引をスタートする

ストックフローモデルにより、ビットコイン価格はこれまで半減期には上昇していることが明らかになりました。さらにこのモデルは、その後の半減期を追跡するのに役立つと同時に、半減期中の適正価格の予測も示します。

ビットコインのストックフローモデル: Look Into Bitcoin

線の横線は半減期の節目となます。半減期が終わるたびに価格が高騰しているのがわかります。

ゴールドとビットコインのストックフローモデル:どう違うのか?

金は、ストックフローレシオが高いコモディティの一つです。希少性が高く、供給量の上限が設定されているからです。金のストックフローレシオを以下に見てみましょう:

現在の金のストック=187,000トン

現在のフロー(2022年時点)=3,000トン

ストックフローレシオ=ストック/フロー=約62.3%!

前述のビットコインのストック/フロー計算の部分を参照すると、現在、ビットコインのストックフローレシオはほぼ54であることがわかると思います。

ただし、ビットコインのストックフローレシオは低いとはいえ、金と比べるとはっきりとしたメリットがあります。

ビットコインには、半減期があるからです。これは、ビットコインのインフレレシオが、およそ4年ごとに半分になるということです。つまり、金とは異なり、ビットコインのストックフローは一気に増加することが予想されます。さらに、ビットコインにも供給量の上限がある(正確には2100万ビットコイン)ことも特筆すべき点です。

ビットコインの供給曲線は以下のようになります:

ビットコインのインフレレシオ vs 時間:Researchgate

ビットコインのストックフロー・クロスアセットモデルとは?

スタンドアロンのビットコインのストックフローモデルについては、以上の説明で終わりです。ここからは、チャートから「時間」を排除し、他の資産を加えて相対的に表示するモデルに目を移します。このモデルは、ストックフロー・クロスアセットモデルと呼ばれます。

ビットコインのストックフロー・クロスアセットモデル:プランB(PlanB)氏

このモデルは、簡単に言うと、ビットコイン、金、銀を一つの計算式とチャートで表示するものです。 “S2FX”とも略称され、供給の有限性に応じて他の資産を使用することもあります。

注)”S2FX”モデルで見ると、ビットコインのシナリオはそれぞれの期間によって変化したことがわかります。たとえば、ホワイトペーパーが出た直後のビットコインの概念実証のシナリオは、ストックフローモデルでは、異なった見方がなされました。似たようなことは、最初の半減期の後、E-Goldのシナリオが出始めたときにも起こりました。それぞれのシナリオの局面において、ビットコインのストックフローレシオは異なる数字となったのです。

全体として、”S2FX”モデルは、他の資産と同様、上記のすべての(暗号資産の)シナリオを考慮に入れています。

S2FXモデルを使えば、今後数年間のビットコインのストックフローレシオは簡単に求められるとみられます。S2FXモデルの開発においては、複数のデータポイントの回帰分析が大きな役割を果たし、各資産アセットに関連するデータポイントの平滑化が進みました。

ビットコイン・ストックフローモデルによる価格予測

読者は、ここまでで、ビットコインのストックフローモデルがビットコイン価格と直接相関していることに気づかれたと思います。つまり、ストックフローレシオが高い(50以上)ほど希少性が高くなり、価格上昇のトリガーとなります。さらに、この指標にはモデル分散指数があり、価格が適正価値からどの程度離れているかもわかります。これらのデータポイントは、トレーダーが十分な情報を得た上で意思決定する際に役立ちます。

ビットコイン・ストックフローモデル:役に立つツールとして

要約すると、ビットコインのストックフローモデルは、過去に何度も疑問をもたれた経緯もありますが、信頼できる金融指標の一つです。また、このモデルは、金や銀のような希少金属(の評価に)これまで使用されてきたことからみても、役に立つものといえます。

そして、このモデルが普及すれば、すでに身近な存在であるビットコインは、コモディティとして人気に火がつく可能性があります。また需要にも特に懸念材料はないとみられます。暗号資産は未来そのものであり、時間の経過と共に需要は上昇し続けるはずです。

よくある質問

ー ビットコインのストックフローモデルは破綻しているのか?

ビットコインのストックフローモデルは、比較的強固で信頼性が高いものです。しかし、ボラティリティ(価格の変動性)の上昇やブラックスワンの発生時には、(価格の)真のイメージを描けなくなる可能性があります。価格が急速に調整されると、その有用性は低下する可能性があります。

ー イーサリアムにストックフローモデルは有効か?

イーサリアムでもストックフローモデルを作成することは可能です。ただし、暗号資産の将来の供給量に確証がないため、予測が外れる可能性もあります。

ー ストックフローモデルとはどういう意味ですか?

ストックフローモデルは、コモディティを対象とした金融・統計モデルです。これは、ある物質の希少性を測定し、現在の供給量(ストック)と年間インフレレシオ(フロー)に基づいて将来の価格を予測するのに役立つものです。

ー ストックフローは高い方が良いのですか?

その通りです、ストックフローは高い方が良いのです。ある資産のストックフローがXだとすると、その資産が現在の流通量に達するまでにX年かかるということです。時間がかかかるほど、その資産の希少価値は高くなります。

ー ビットコインのストックフローモデルとは何ですか?

ビットコインのストックフローモデルは、ビットコインの価格を測定し、予測するために使用される統計的なツールです。暗号資産の供給量とインフレレシオを使用して表します。

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Takashi Higashi
国際広報、海外の先端技術調査、海外企業との提携等をこれまで行ってきました。ここ数年、暗号資産に関心を持ってウオッチしています。...
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