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2024年末に急騰したXRPの今後の見通しを検証

23 mins

ヘッドライン

  • 2024年末、XRPは価格急騰と時価総額ランキング第3位に到達し、SECの再編やETF申請ラッシュがその背景になっています。
  • リップルの高速低コスト送金技術やスマートコントラクト導入は、XRPエコシステムの拡大と国際送金分野での活用を後押します
  • トランプ次期大統領の政策や米国市場の変化がXRP成長を促進する一方、法的問題や供給管理が課題として残ります。

暗号資産市場は現在、大きな変化を迎え、活況を呈しています。その中で、リップルのエコシステムを支えるトークン「XRP」が注目を集めています。本稿執筆時点でXRPの価格は2ドルを突破し、時価総額ランキングで第3位に位置付けられると同時に、XRPの時価総額は1353.7億ドルに達し、USDTやソラナを上回っています。

本稿では、2024年末に急騰したXRPの今後の見通しをETFやSEC裁判の状況などの多角的な要因から検証します。XRPへの投資を検討している方はぜひ最後までご覧ください。

リップル(XRP)とは?

リップル(XRP)は、アメリカ・カリフォルニア州に本社を構えるリップル社が開発した国際送金ネットワーク「リップルネット」で使用される暗号資産です。このリップルネットは、現在主流の国際送金システムであるSWIFTに代わる新しい仕組みを目指し、送金スピードの向上とコスト削減を実現しています。リップルは中央集権型の暗号資産であり、リップル社が運営と管理を行っているため、高速かつ低コストでの取引が可能です。

高速で低コストな送金

リップルは1回の取引にかかる時間が約3.3秒と非常に短く、手数料もわずか0.0004ドルと低コストです。この性能を支えるのは、リップル独自のコンセンサスアルゴリズムです。ビットコインのように膨大な計算を必要とする仕組みではなく、信頼できる少数の検証者が取引を承認するため、効率的な運用が可能となっています。

エスクローによる供給管理

リップル社は、発行済みの1,000億XRPのうち55%にあたる550億XRPをエスクローにロックアップし、市場への供給をコントロールしています。このエスクロー契約は、XRP Ledger(台帳)に直接記載されており、コンセンサスに基づいて管理されます。そのため、XRPの供給に対する予測可能性が高まっています。リップル社は当初、毎月10億XRPを55ヶ月間にわたりリリースする計画を立てていましたが、最新の進展により、最終エスクロー期限を2027年4月に延長し、引き続き毎月XRPをリリースする形となりました。

リップルの中央集権的な性質には、取引のスピードや効率が高いといった利点があります。しかしその一方で、リップル社が大量のXRPを保有しているため、市場価格に影響を及ぼすリスクも存在するとされています。この点が課題として指摘されています。

XRP Ledgerの独自技術

リップルは一般的なブロックチェーン技術ではなく、「XRP Ledger」と呼ばれる独自の分散型台帳技術を採用しています。この技術により、高速で低コストな取引を可能にしているのが特徴です。また、リップルのコンセンサスアルゴリズムは、ビットコインのPoW(プルーフ・オブ・ワーク)とは異なり、信頼性の高いノード(検証者)が取引を承認する仕組みを採用しています。

XRP Ledgerでは、取引の順序や正当性を検証する役割を担い、ビットコインのようなマイニングを必要としないため、エネルギー消費を大幅に抑えることができます。また、新しい取引の承認にかかる時間は数秒程度であり、これがビットコインとの大きな違いとなっています。

リップル社のサービス

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リップル社は、以下の3つの主要なサービスを提供しています。

  1. xCurrent
    xCurrentは銀行間のリアルタイム国際送金を実現するサービスです。このシステムは、送金者と受取人の本人確認や送金指図をリアルタイムで行う機能を備えており、迅速かつ安全な国際送金を可能にします。
  2. xRapid
    xRapidは、リップルをブリッジ通貨(仲介通貨)として利用することで、低コストかつ迅速な国際送金を実現します。このサービスは特に、途上国を含む幅広い地域での国際送金のニーズに対応しています。
  3. xVia
    xViaは、中小の銀行や一般企業がリップルネットの送金サービスを簡単に利用できるように設計されたAPIです。これにより、より多くの企業や団体がリップルの技術を活用できるようになります。

スマートコントラクトの導入とフレアネットワーク

リップル社は、「フレアネットワーク」というプロジェクトを通じて、XRP Ledgerにスマートコントラクト機能を導入する取り組みを進めています。このプロジェクトにより、リップルの利用範囲がさらに広がることが期待されています。

スマートコントラクト機能の追加により、不動産取引や金融契約、その他さまざまな分野での応用が可能となり、リップルのエコシステムはさらに進化します。これにより、リップルは単なる送金ネットワークを超え、幅広いビジネス領域での利用が期待されるプラットフォームとなるでしょう。

関連記事:スマートコントラクトとは?特徴や活用事例をわかりやすく解説

2024年末のXRP高騰の背景は?

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SEC委員長の動向と規制への影響

XRPの上昇傾向は、11月のドナルド・トランプ氏の再選と現米国証券取引委員会(SEC)議長の辞任から始まりました。ゲンスラーSEC議長はリップルの一貫した批判者であり、長期にわたる法的闘争を引き起こしており、XRPは3年以上1ドル未満で取引されていました。

しかし11月14日、同氏の解任を掲げていたトランプ氏の再選を受け、ゲンスラー委員長が辞任を示唆する発言を行いました。この発言は、彼の任期中に強化された暗号資産規制政策を支持しつつ、辞任の可能性を示唆するものでした。そして11月22日、ゲンスラー委員長は2025年1月20日付での退任を正式に発表しました。

同氏の退任により、SECのこれまでの反暗号資産的規制方針が変化し、暗号資産市場に対するアプローチが柔軟化する可能性があり、リップルを取り巻く市場の上昇傾向をさらに加速させたと見られています。さらに、リップル社のガーリングハウスCEOが、トランプ次期大統領の暗号資産特命官候補として名前が挙がっていることも話題となっています。

リップルの24年時点の最大の課題は、リップル社とSECとの間で続く法的争いです。SECはXRPを未登録の証券と見なしており、2020年から続く訴訟が未だ解決していません。8月7日、米連邦判事アナリサ・トーレス氏は、リップル社に対して1億2,500万ドルの罰金を科す判決を下しました。これはSECの当初要求である約20億ドルを大幅に下回る金額です。

同裁判の結果、XRPの市場価格は一時27%急騰。しかしSECはこの判決に対して控訴を検討していましたが、米商品先物取引委員会(CFTC)の元委員長であるクリス・ジャンカルロ氏は11月26日、トランプ氏の当選を受けSECが控訴する可能性は低いと主張しました。

ロビンフッドへの再上場もXRP価格の上昇に寄与か

11月13日、オンライン証券会社ロビンフッドが米国ユーザー向けにXRPの取扱いを再開しました。同時にソラナも再上場されましたが、XRPのように目立った価格の上昇は見られていません。ロビンフッドや他の米国取引所は、2020年にSECがリップルに対して未登録証券の疑いで訴訟を起こしたことを受け、XRPの取り扱いを停止していました。しかし、コインベースやクラーケンはすでに1年以上前に再上場を果たしており、バイナンスではXRPの取引が一度も停止されることはありませんでした。

XRPの価格が上がった要因として米国の大手取引所での大口投資家の動きによって押し上げられていると指摘されています。実際、12月2日にはコインベースでのXRPの取引が全体の20%以上を占めていました。また、同じ日にクラーケンでも約20%を占めており、国際的にはバイナンスでの取引量が12%に達しました。

XRPは24年11月時点で、過去の訴訟以前の評価額を回復しつつあり、特に2018年にSECがビットコインとイーサリアムを非証券と見なしていた時期を思い起こさせます。当時、SECのヒンマン氏による「十分に分散化された」という基準に基づく演説が行われ、その後イーサリアムの時価総額がXRPを上回ったという経緯があります。

関連記事:XRP、時価総額でUSDTとSOLを抜き、2ドル超え

リップル(XRP)の今後の見通し

リップルSECのXRP

XRP現物ETFの進展

2024年9月12日、グレースケールは米国初となるXRP信託を再開しました。同信託は、適格な投資家にXRPへの直接的なエクスポージャーを提供する製品です。同信託の再会において、最終的にはETF化を目指す計画を発表しました。その後、10月2日にBitwiseがXRP現物ETFの申請を開始し、10月8日にはCanary Capitalが2社目としてETF申請を行いました。さらに、10月16日にはグレースケールがXRPを含む複合型のバスケット型ETFを申請し、この中でXRPの比率を2.06%と設定しました。そして、11月2日には21SharesがXRP現物ETFの申請を行い、12月3日にはWisdomTreeが、SECに現物XRP現物ETFの申請を行いました。これらの動きは、XRPを含む暗号資産市場における投資機会の拡大を示しています。

このような動きに対してリップル社のブラッド・ガーリングハウスCEOは、ビットコインやイーサリアムETFの承認が、XRPやソラナ、カルダノなど他の暗号資産ETFの実現に繋がると楽観的な見解を示しています。

金に投資すれば、次は銀にも投資したくなるものだ。市場がより広範なエクスポージャーに向かうのは自然な流れである

ブラッド・ガーリングハウスCEO|リップル社

一方で専門家は、XRPスポットETFの承認にはSECとの訴訟や先物市場の信頼性が重要と指摘しています。Fox Businessのエレノア・テレット氏は、ビットコインETFがCMEの規制フレームワークで承認されたことを踏まえ、XRPの先物ETFが必要だと述べました。

XRPのスポットETFを実現するためには、まず先物ETFが必要だ。これはSECが市場の監視と信頼性を確認するための重要なステップだ

エレノア・テレット特派員|Fox Business

ブルームバーグのジェームズ・セイファートETFアナリストも同意し、訴訟や先物市場の欠如が承認の妨げとなり、2024年末までの実現は難しいとしています。一方でアナリストや専門家は25年内の承認の可能性を探っています。

関連記事: リップル上場投資信託(XRP ETF)は承認されるのか?

ステーブルコインの登場

ニューヨーク金融サービス局(NYDFS)は2024年11月29日、規制対象となっていたステーブルコイン「RLUSD」を承認する方向で調整を進めていると発表しました。FOXビジネスの報道によれば、リップルは12月4日にRLUSDの発売を予定しています。ニューヨーク州の厳しい規制が敷かれるデジタル金融分野において、RLUSDの承認は非常に珍しいケースとなります。

関連記事:ニューヨーク規制当局、リップルのステーブルコイン承認へ

トランプ時期大統領の強固な米国産暗号資産への支援

情報筋によれば、トランプ次期大統領は、米国企業が発行する暗号資産に対するキャピタルゲイン税を完全に撤廃する意向を示しています。これにより、ADA、ALGO、XRP、HBARなどの米国企業が開発した暗号資産を保有することで得られる利益が、米国市民にとって完全に非課税となります。

同法律では、暗号資産を発行する企業が米国内に登録されている必要があるとされますが、市場に既存する暗号資産を発行する企業が米国に移転するための手続きも設けられる予定です。この政策は、米国を「暗号資産の世界的中心地」にするというトランプ政権の戦略の一環です。これが実現すれば、「アメリカ製」の暗号資産が米国市民にとって最も魅力的な投資先となり、最大37%の税負担を回避できるようになります。

これにより米国内でのXRPの買い圧増加や、米企業での採用が促進される可能性があります。

XRPの今後の価格の見通しとプロジェクトの将来性

最高価格(予想)最低価格(予想)
2024年$1.17$0.28
2025年$2.57$0.94
2026年$4.76$1.17
2027年$5.98$1.43
2028年$7.23$2.50
2029年$12.68$4.70
2030年$23.50$7.30
2031年$37.03$11.50
2032年$103.31$25.27
2033年$120.66$48.67
2034年$243.35$96.45
2035年$320.66$122.45

BeInCryptoの価格分析データによると、2025年には、重要なサポートラインを維持する限り、最高価格は2.57ドル、最低価格は0.94ドルと予測されています。2030年までには、平均上昇率407.22%を考慮し、最高価格23.50ドル、最低価格7.30ドルが期待されます。さらに2035年までには、最高価格320.66ドル、最低価格122.45ドルに達する可能性があるとされています。

プロジェクトの将来性

リップルの将来性には大きな期待が寄せられています。同社は多くの金融機関と提携し、国際送金の効率化を目指すプロジェクト「リップルネット」を通じて実用化が進んでいます。特に、日本のSBIホールディングスやアメリカのバンク・オブ・アメリカといった主要金融機関がリップルネットに参加しており、リップルの影響力はさらに拡大しています。

また、CBDC(中央銀行デジタル通貨)との関連もあり、リップルがこの分野での役割を拡大する可能性があります。その一方でリップル社が保有するXRPのロックアップ解除や市場への供給量の調整も、今後の価格形成に影響を与える重要な要因となるでしょう。

まとめ:今後のリップル(XRP)の動向に注目

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暗号資産市場の急成長の中で、リップル(XRP)はその注目度をさらに高めています。2024年末、価格の急騰を背景に、XRPは時価総額ランキングで第3位となり、主要な暗号資産としての地位を確立しました。この背景には、SECとの訴訟進展やXRP現物ETFの申請ラッシュ、さらにはロビンフッドなど大手取引所での再上場が寄与しています。また、トランプ次期大統領が掲げる「アメリカ製暗号資産への支援」政策は、キャピタルゲイン税の撤廃を通じてXRPをはじめとする米国発の暗号資産に新たな追い風をもたらす可能性があります。

一方で、法的問題や市場への供給調整といった課題も残されており、XRPの今後の成長はこれらの要素次第と言えるでしょう。リップルの独自技術や広範な提携を含むエコシステムの強化は、長期的な可能性を示しており、国際送金やデジタル通貨分野での活用がさらに進むと期待されています。

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Shota Oba
国際関係の大学在籍中に国内ブロックチェーンメディアでのインターンを経て、2つの海外暗号資産取引所にてインターントレーニング生として従事。現在は、ジャーナリストとしてテクニカル、ファンダメンタル分析を問わずに日本暗号資産市場を中心に分析を行う。暗号資産取引は2021年より行っており、経済・社会情勢にも興味を持つ。
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