柴犬コイン(SHIB)は、ミームコインとして2020年に誕生し、コミュニティ主導で独自のエコシステムを拡大しながら成長を遂げました。ドージコインの成功に触発された同コインは、2021年に一時的な爆発的成長を見せ、多くの「億り人」を生み出しましたが、現在はその成長が鈍化しつつあり、投資家の関心は持続的な成長性と市場環境に移りつつあります。
本記事では、「柴犬コインで億り人を目指すのはもう遅いのか?」という疑問に答えるべく、供給量やトークンバーン、時価総額の影響、2025年における投資タイミングの見極め方などの様々な観点を用いて、SHIBの可能性を包括的に解説します。
柴犬コインとは?
柴犬コインは、2020年7月に「Ryoshi」というペンネームの開発者によって作成された、ERC-20規格(イーサリアムブロックチェーンベース)の暗号資産です。柴犬コインは、ドージコインの成功を機に2020年に誕生したミームコインの一種で、インターネットミームやジョークから生まれた暗号資産の代表例の1つです。SHIBは「分散型コミュニティ構築の実験」として始まり、その開発は完全にコミュニティ主導で進められています。この暗号資産は、独自の分散型取引所(DEX)「ShibaSwap」やNFTマーケットプレイス、さらにメタバースプロジェクトやレイヤー2ブロックチェーン「Shibarium」を含む多様なエコシステムを展開している点が特徴です。
2021年には、実業家のイーロン・マスク氏の発言が引き金となり急成長を遂げ、価格が50万倍以上に上昇、時価総額で一時トップ10に食い込む人気を博し多くの億り人を生み出しました。また、SHIBの供給量の半分がイーサリアムの共同創設者ヴィタリック・ブテリンに送られ、彼がその大部分をバーンしたことが市場に大きな影響を及ぼしました。こうした要因が重なり、柴犬コインは単なるミームコインを超えて暗号資産市場で独自の地位を築いています。
柴犬コインで億り人になるにはもう遅い?
柴犬コインで億り人になるにはもう遅いかどうかは結論から言うと、あなたの資産状況や取引方法によるでしょう。もしあなたが巨額の資金をSHIBに投資するまたは、高いレバレッジで取引する場合は億り人になれる可能性ばゼロではありません。しかし、暗号資産オンチェーン分析企業CryptoQuantのCEOであるキ・ヨン・ジュ氏は、高いリスクを伴うレバレッジ取引を行う投資家に対して次のように警告を発しています::
2倍以上のレバレッジは絶対に使うな。本当に、やめておけ。大量のレバレッジを勧めながら生き残り、成功を収めた投資家を見たことは一度もない
キ・ヨン・ジュCEO:CryptoQuant
さらに、SHIBに今から1000ドルを投資して億り人になるのが難しいと言えるでしょう。その理由を、時価総額の観点から計算を用いて説明します。説明では、本稿執筆時点の価格$0.00002555を引用します。
供給量の影響
SHIBは約589兆枚という膨大な供給量を持ち、この大量の供給量が希少価値を低め、価格の上昇余地を小さくしています。供給量が多い暗号資産は、多少の需要増加では価格が大きく動かないため、利益を大きく伸ばすのが難しいです。しかし、トークンバーンによる供給量の調整策を用いることで、希少性を高めて価格に影響を与える可能性が出てきます。
例:
たとえば、ビットコインの供給量は2100万枚に制限されており、需要増がそのまま価格に反映されやすいです。一方、SHIBのように589兆枚も流通している場合、同じ需要増加でも価格への影響は限定的です。この供給過多の問題に対処するため、柴犬コインのコミュニティは積極的にトークンバーンを行っています。トークンバーンとは、既に発行された暗号資産を流通から永久に取り除くことで、供給量を減らし、価格を引き上げることを狙う手法です。例えば、ShibBurnポータルではユーザーがトークンをバーンし、その見返りに報酬を得る仕組みがあり、供給量を減少させるための一環として利用されています。
トークンバーンの限界と持続的効果
2021年には柴犬コインの大量のトークンがブテリン氏によりバーンされ、価格が一時的に上昇しましたが、その後価格は再び下落しました。このように、一度のバーンでは一時的な価格上昇が起きても、供給量が非常に多いため、長期的な価格維持には需要の増加を伴わない限り不十分です。つまり、バーンが短期的には希少性を生むものの、柴犬コインの供給量の多さがあまりに大きいため、現状としては持続的に価格を押し上げる効果は限定的だと言えます。また、バーンの影響が市場心理に依存している点も、価格安定化の障害となると言えるでしょう。
関連記事:柴犬コイン(Shiba Inu)バーンの仕組みを解説
時価総額の制約
時価総額は「価格 × 流通枚数」で計算され、暗号資産の成長余地を測る指標として使われます。現在の価格でSHIBに1000ドル投資した場合、億り人になるために必要な価格上昇を考えると、時価総額の制約が顕著に見えてきます。
計算例: 現在、$0.00002555の価格で1000ドルを投資すると、以下のような枚数が購入できます。
- 購入枚数 = 1000ドル ÷ $0.00002555 = 39,141,276枚
この投資が100万ドル(1億円相当の資産)になるには、SHIBの価格がどれくらい上がればいいかを計算します。
- 必要価格 = 1,000,000ドル ÷ 39,141,276 = $0.02555
つまり、SHIBの価格が $0.02555 まで上昇する必要があります。しかし、現状の流通枚数589兆枚を考慮すると、この価格に達するには莫大な時価総額が必要です。
- 必要な時価総額 = $0.02555 × 589,000,000,000,000 =15兆ドル
この時価総額は、現時点での全暗号資産市場規模をはるかに超えており、ビットコインやイーサリアムを何倍も上回る規模となるため、実現は非常に難しいと言えます。
柴犬コイン市場環境|24年11月版
当社のアナリストの11月14日の見解によれば、SHIBの最近のオンチェーンデータと技術分析により、強気な勢いが衰え、弱気が市場を支配しつつあることが示されています。SHIBのオープンインタレスト(未決済の先物やオプション契約の総数)は8200万ドルに減少し、過去24時間で32%の落ち込みが見られました。これは市場活動の減少と、ミームコイン保有者の間で強気の熱意が薄れていることを表しています。
ミームコインの平均ドル投資年齢(MDIA)も減少しており、これは市場における売り圧力の増加を意味します。MDIAの減少は、長期間保持されていたコインが動かされていることを示し、利益確定や損失回避の動きが活発化していることを反映しています。
現在のアクティブアドレスのデータによると、SHIB保有者のうち約30%が利益を上げており、これらの投資家が売りに出やすい状況にあります。そのため、長期的な強気相場であることは変わりないものの、大きな売り圧力がかかるとSHIB価格が下がる可能性も出てきます。当社のアナリストはこうした利益確定の動きは、SHIBの最近の上昇トレンドにブレーキをかけ、ラリーが続きにくくなる要因となるかもしれないと示唆しています。
本稿執筆時点でSHIBの20日EMAは上昇トレンドにおける動的なサポートレベルとして機能しており、柴犬コインにとっては現在0.000020ドル付近でサポートを形成しています。同ラインまで価格が下落することは、買い圧力の弱まりを示し、価格が20日EMAを下回れば、柴犬コインがこのサポートを維持できなかったことを意味します。
これにより、さらなる売り圧力が生じ、トレーダーはこれを弱気の兆候と捉えてポジションを解消するか、ショートポジションを取る可能性があると言います。アナリストは、もし0.000020ドルのサポートが維持されない場合、価格は0.000016ドルまで下落する可能性がありますが、逆に20日EMAがサポートとして機能すればSHIB価格は上昇トレンドを再開し、0.000028ドルを目指す展開も期待されるとしました。
関連記事:柴犬コインの価格分析ツールを初心者でも使いこなす活用法
柴犬コイン含むミームコインに強気相場到来
21年の相場のように少額のSHIB投資で億り人になることは厳しくなりましたが、ミームコイン市場は急速に拡大しており、資金の流入も非常に速いペースで進んでいます。たとえば、2024年までに新たに誕生したミームコインは全体の75%以上を占め、そのうちの75%が2024年に発売されたプロジェクトです。しかし、ミームコインの高いリスクも指摘されており、現在約97%のミームコインが短期間で消滅している現状から、持続的な価値を提供するには一層の差別化が求められています。バイナンスリサーチの24年11月のレポートによると、24年時点でミームコイン購入者の94%が40歳未満であり、暗号資産市場の若年層を中心にした動きが継続的に広がっています。
実際、2022年以降、ミームコインの合計時価総額はTotal 3(BTC、ETH、ステーブルコインを除く仮想通貨全体の時価総額)に対する割合として約4%から2024年には11%へと増加し、ほぼ3倍となりましたが、2021年の水準にはまだ届いていません。
24年第3四半期もミームコインが市場を牽引
コインゲッコーの24年第3四半期のレポートによると、コインゲッコーの調査では、暗号資産市場においてミームコインが最も注目されたカテゴリであり、全体トラフィックシェアの17.05%を占めました。ミームコイン関連カテゴリ全体のシェアは31.8%に達し、投資家からの関心が高まり続けています。特にソラナエコシステム内のミームコインは人気が高く、単独で11.41%のシェアを占め、市場での存在感を強めています。
アナリストの見解
Meme liquidity index surged firstly since 2021…
— ᴛʀᴀᴄᴇʀ (@DeFiTracer) November 2, 2024
starting the biggest meme super cycle ever
Last time I turned $217 in $182,754 in few weeks…
here's list of 1000x memes that will repeat it now 🧵👇 pic.twitter.com/X3P0YFs520
アナリストのTracer氏は今回のミームコイン強気相場に関して以下のようにコメントしています:
ミームコイン流動性指数が2021年以来初めて急上昇し、史上最大のミームコインスーパ―サイクルが始まろうとしている。現在ミームコイン市場で起きていることは、この巨大なサイクルの序章にすぎない。
Tracer
- ミームコイン流動性指数は、ミームコイン市場での取引のしやすさや活発さを示す指標です。具体的には、取引量、取引所での上場数、スプレッド(買値と売値の差)、そして注文の厚さ(売買の安定性)を測ることで、市場の流動性を評価します。
暗号資産の専門家ムラド・マフムドフ氏とアーサー・ヘイズ氏は24年11月、ミームコイン、DeFi、AIトークンの進化する役割についての見解を語りました。
暗号資産市場のサイクル分析で知られるムラド・マフムドフ氏は、ミームコインを暗号資産市場における「浄化メカニズム」として位置づけています。市場が成熟するにつれ、ミームコインと他の暗号資産は「キャッシュフロートークン」と「ミームコイン」の2つに分かれると予測しています。同氏はミームコインは今後もコミュニティや投機的なプレミアムを吸収し続けることで、従来の金融アナリストにとってもキャッシュフロートークンの正当性が高まると期待しています。また、DOGEやFLOKI、SHIBなど主要なミームコインが今後さらに成長する可能性があると見ています。
一方、BitMEXの共同創設者であるアーサー・ヘイズ氏は、ミームコインを短期的な売買チャンスとして捉えています。「ミームコインはキャッシュフローや技術を理解する必要がなく、取引が楽しい」とし、その話題性を利用して短期的モメンタムに乗ることで、長期的なリスクを避けつつ利益を得る戦略を取っています。これらの市場環境を加味すると、25年のSHIBへの投資は買い時と捉えることもできるでしょう。
関連記事:アーサー・ヘイズ氏、「ミームコインは一概に無意味とは言えない」
SHIB価格予測
年 | 最大価格 | 最低価格 |
---|---|---|
2024年 | $0.00002406 | $0.00001799 |
2025年 | $0.00004187 | $0.00003020 |
2026年 | $0.00008854 | $0.00005489 |
2027年 | $0.0001328 | $0.00008233 |
2028年 | $0.0001660 | $0.0001029 |
2029年 | $0.000291 | $0.0000802 |
2030年 | $0.000629 | $0.000490 |
2031年 | $0.000786 | $0.000613 |
2032年 | $0.001179 | $0.000731 |
2033年 | $0.001415 | $0.001103 |
2034年 | $0.003113 | $0.002428 |
2035年 | $0.004670 | $0.003642 |
BeInCryptoの価格予測によると、2024年の柴犬コイン(SHIB)の価格は、強気と弱気の見方が交錯しており、高値は0.00002406ドル、安値は0.00001799ドルと予想されています。2025年にはさらに価格が上昇し、0.00004187ドルに達する可能性があると見られています。2030年以降の長期予測では、柴犬コインが不確定要素を含みつつもさらに値上がりする可能性が示唆され、2030年には0.000629ドルに達する見込みとされています。
関連記事:柴犬コイン(SHIB)価格予測 2024年・2025年・2030年
柴犬コインへの投資のリスク
柴犬コインは価格変動が激しく、大きな利益を得る一方で損失のリスクも高いです。特に4年に一度のビットコイン半減期後にアルトコインの時価総額が増え、505日後に市場はピークに達することが多く、その影響はイーサリアムなどの多くのアルトコインにも波及します。ミームコインはバンドワゴン効果によって価格が急騰することがあり、投資家には冷静な判断とリスク管理が求められます。実用性が乏しいミームコインへの投資には、そのリスクを十分に理解することが重要です。
Crypto Bitcoin Chris氏は、時価総額だけでなくプロジェクトの新鮮さも重要な要素であるとし、革新的なプロジェクトは市場サイクルの初期に上昇しやすいと指摘しています。続いて、人気はないもののビットコインと比較して価値が認められるアルトコインが上昇し、最終的にアルトコイン・シーズンは市場で過小評価されているプロジェクトの価値上昇によって幕を閉じると述べています。
関連記事:柴犬コイン投資のリスクとリターン
柴犬コインを買うタイミング
ALTSEASON 2.0 UPDATE
— Ash Crypto (@Ashcryptoreal) August 24, 2024
A lot of you guys are asking me
if when will be the next ALTSEASON.
Well, here's my answer….
ALTSEASON moves in PHASES.
PHASE 1:
This phase starts before the halving.
It is where the ALTCOINS started to
rally just before the HALVING event.
PHASE 2:… pic.twitter.com/ZihWbhyKhw
ビットコインの半減期やアルトコインシーズンを見据え、最初の上昇局面で一部利益を確定し、次の上昇でさらに利益を確保する段階的な売却戦略を取ることで、リスクを抑えつつリターンの最大化を図ることができます。分散投資と利益確定のタイミングを見極めることで、バンドワゴン効果やFOMO(機会損失への恐れ)に流されず、長期的な成功が目指せます。
通例では、柴犬コインのようなミームコインは市場サイクルの後半で強い上昇を見せることが多いため、急激な上昇局面(パラボリック・フェーズ1)で一部を売却し、次の上昇局面(フェーズ2)で残りを売却することが推奨されます。このアプローチにより、リスクを最小限に抑えつつ確実に利益を確保できます。
柴犬コインを効果的に購入するためには、市場全体の動向や指標を正確に把握することが欠かせません。まず、アルトコインシーズンインデックスとアルトコインドミナンスを注視し、アルトコインシーズンを見極めることが重要です。ビットコインドミナンスが低下し、アルトコインの市場規模が拡大する局面では、アルトコインへの資金流入が増えやすく、それに伴って柴犬コインの価格も上昇しやすい傾向があります。このタイミングが、投資を検討する際の重要な指標となります。
さらに、MVRV zスコア(時価総額と実現時価総額の比率)を活用し、ビットコインの半減期後に生じやすい価格上昇トレンドを把握することも重要です。ビットコインは半減期後に価格が上昇する傾向があり、その影響でアルトコイン市場も好調になることが多いです。しかし、柴犬コインのようなミームコインはボラティリティが非常に高いため、価格が下落したタイミングで購入することがリスクを抑える上でのポイントとなります。
関連記事:「アルトシーズン」を見極める方法:アルトコイン投資法
まとめ:過去の急騰は踏襲しないも柴犬コインへの投資は手遅れではない
柴犬コインは、ミームコインとして爆発的な成長を遂げたものの、現在は供給量や市場環境の制約で価格上昇が鈍化しています。589兆枚という大量供給やトークンバーンの限界、時価総額の規模から、億り人になるには高いハードルがあります。しかし、ビットコイン半減期やアルトコインシーズンが近づく中、ミームコインスーパーサイクルへの注目が高まりつつあり、2025年の投資タイミングが注視されています。今後の価格予測は短期的には強気と弱気が入り混じっており、ミームコイン特有のリスクを理解した上で慎重な判断が必要です。
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