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暗号資産(仮想通貨)の初心者が知っておくべき7つのこと

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執筆&編集:
Shota Oba

22日 4月 2025年 20:00 JST
Trusted-確かな情報源

暗号資産(仮想通貨)はここ数年で急速に存在感を高め、今や世界中の投資家が注目するアセットクラスとなりました。2024年には全世界で5億人超が保有しているとされ日本国内でも取引口座数が1,200万件を突破するなど、その勢いはとどまるところを知りません。一方で、仮想通貨は株や債券といった従来の金融商品とは大きく異なり、基礎知識を持たずに手を出すと大きなリスクを背負いかねません。

本稿では、仮想通貨の初心者が押さえておくべき7つの重要ポイントを初心者にもわかりやすく解説します。

目次:

1. 暗号資産の基本:法定通貨との違いを理解しよう

仮想通貨(暗号資産)はインターネット上で流通するデジタルなお金であり、円やドルなどの法定通貨とは仕組みが大きく異なります。そのため、投資を始める前に、両者の違いを正確に把握することが不可欠です。

出典:Bitpanda

法定通貨と暗号資産の主な違いは以下の通りです。

発行主体と信頼の源泉

  • 法定通貨は国家が発行し、その価値を保証
  • 暗号資産は特定の発行主体がなく、ブロックチェーン技術によるシステムへの信頼に依存

形態と保有方法

送金速度とコスト

  • 暗号資産は銀行を介さず、国際送金を迅速かつ安価に行える場合がある
  • 混雑時には手数料が高騰し、着金に時間がかかるケースも存在
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価値の安定性

  • 法定通貨は金融政策により価値が一定程度安定
  • 暗号資産は需給や市場の投機により価格変動が非常に激しい

規制と法律の扱い

以下に日本円とビットコインの比較を簡単にまとめました。

通貨名発行主体形態供給量送金速度・手数料価格変動
日本円 (JPY)日本銀行(政府保証)紙幣・硬貨制限なし(政策で調整)国内即日~数日・数百円程度インフレ率で緩やかに変動
ビットコイン (BTC)発行主体なし(プログラム管理)電子データ(デジタル)上限約2,100万BTC数十分〜1時間・変動あり需要供給で大きく変動

暗号資産は従来の通貨と根本的に異なる「管理者不在の分散型システム」で成り立っています。次章以降のリスクや安全対策を理解するために、まずは暗号資産の特徴を押さえましょう

関連記事:ブロックチェーンの仕組みとは?暗号資産の根幹となるシステムをわかりやすく解説

2. 価格変動の激しさとリスク管理:暗号資産はハイリスク・ハイリターン

暗号資産(仮想通貨)は株式や為替以上に価格変動が激しく、短期間で大きな値動きを経験する可能性があります。初心者の方は、このハイリスク・ハイリターンの性質をしっかり認識し、「値上がりのチャンスがある反面、一夜にして半値になる可能性もある」という覚悟で取り組みましょう。

暗号資産の価格が大きく変動する主な理由

暗号資産市場の価格変動(ボラティリティ)が高い主な理由は以下の通りです。

  • 市場規模が小さく、成熟途上 市場規模が比較的小さいため、大口投資家(クジラ)の動きに左右されやすい。
  • 投資家の心理に影響されやすい 個人投資家が多く、SNSなどを通じて情報が拡散すると「乗り遅れたくない(FOMO)」心理が働き、価格の急騰・急落が起こりやすい。
  • 24時間365日取引可能で休止時間がない 株式市場のような取引停止措置(サーキットブレーカー)がなく、急落時の売りが連鎖する場合がある。
  • 規制ニュースや企業動向の影響が大きい 当局の規制発表や企業の大口取引のニュースで、一気に市場が乱高下するケースが多い。

過去の具体例から見る価格変動リスク

実際、ビットコインは2020年のコロナショック時に1日で約40%急落し、2021年後半から2022年にはピーク価格(約6.9万ドル)の半値以下まで下落しました。また2022年11月、取引所FTXの経営破綻時には市場全体が暴落、ビットコイン価格は約3万ドルから一時1万6千ドル台まで落ち込みました。一方で、2023~2024年には各国の規制整備や機関投資家の参入に伴い価格が回復し、再び史上最高値を更新しています。

このように、市場環境次第で資産価値が大きく変動するのが暗号資産の特徴です。

リスク管理のポイント

激しい値動きに振り回されず、長期的に資産を守るために、以下のポイントを心がけましょう。

  • 余剰資金で投資する 最悪資産価値がゼロになっても、生活に影響しない範囲で投資を始める。
  • 長期的視点と分散投資を意識する 短期的な値動きに惑わされず、複数の通貨や他資産クラスにも分散する。
  • ドルコスト平均法を活用する 一度に大量に買わず、毎月一定額を購入することで平均取得単価を平準化する。
  • 損切りラインを設定する 損失が一定ラインを超えたら売却するルールを決め、冷静に対応する。
  • 常に信頼できる最新情報を収集する 規制動向や重要ニュースを定期的にチェックし、未確認のSNS情報には注意する。

暗号資産投資では、高いボラティリティを甘く見ると大きな損失につながりかねません。初心者の方は「大きな利益には大きなリスクが伴う」ことを肝に銘じ、焦らず冷静な資金管理と計画的な投資を行うことが重要です。

関連記事:暗号資産(仮想通貨)はやめとけ⁉︎ 暗号資産がもたらすリスクとは

3. 日本の暗号資産規制と交換業者の重要性:金融庁登録業者を利用しよう

暗号通貨取引所 日本

日本で暗号資産を購入・取引する際は、必ず金融庁に登録された暗号資産交換業者(取引所)を利用しましょう。日本は世界的にも暗号資産規制が厳しく、登録業者には明確なルール遵守や利用者資産の保護が義務づけられています。そのため、登録業者を利用すれば、ハッキングや業者破綻時の資産消失リスクを大きく軽減できます。

日本の規制が厳しい理由と背景

日本では2017年施行の改正資金決済法により、暗号資産交換業者の金融庁登録制がスタートしました。その背景には以下の事件があります。

これらの事件を教訓に、日本は世界屈指の厳格な規制体制を整備しました。

登録業者に義務付けられている保護措置

GMOコイン

金融庁に登録された取引所には、次のような利用者保護策が義務付けられています。

  • 顧客資産の分別管理
    • 顧客の暗号資産を業者の資産と完全に分け、95%以上を安全なオフライン環境(コールドウォレット)で管理。
  • 法定通貨の信託保全
    • 預かった日本円などを第三者の信託銀行に預け、業者の倒産時にも資産を保護。
  • 新規取扱通貨の厳格な審査
  • 内部管理と定期監査
    • セキュリティ・マネロン対策を整備し、外部監査(年1回)を義務付け。
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実際に2022年11月のFTX破綻時にも、日本法人FTX Japanは顧客資産を完全に分別管理していたため、2023年2月にユーザー資産を無事に返還できました。これは日本の規制の強さを象徴する事例です。

国内主要取引所主要5社の比較(2025年4月時点)

取引所名主な特徴とメリット
bitFlyer(ビットフライヤー)国内最大手。ビットコイン取引量8年連続1位。セキュリティが非常に高く、取扱通貨数約37種類。
Coincheck(コインチェック)マネックス傘下。初心者向けのスマホアプリが充実。30種類以上を取り扱い、積立・NFT市場あり。
GMOコイン業界最低水準の手数料。取扱通貨42種類と充実。FX・ステーキングなど多彩なサービスを提供。
bitbank(ビットバンク)アルトコインの取引量が国内1位。トレード機能が充実し、取扱通貨は40種類以上。
SBI VCトレード金融大手SBIグループ運営。XRPなど注目通貨の取り扱いに強み。住信SBIネット銀行と連携し利便性◎。

関連記事:海外の暗号資産取引所を利用するのは違法か?

金融庁登録業者を利用すべき理由(FTX破綻のケース)

FTXのケースでは、日本法人を利用したユーザーだけが資産を迅速に取り戻せました。一方、グローバル版を利用した海外ユーザーは、資産が破産手続きで凍結されたままです。このように取引所選びひとつで、資産の安全性に決定的な差が生じます。

初心者は特に「手数料が安い」「本人確認不要」など安易な理由で無登録の海外業者を使うのは危険です。金融庁登録の国内業者を利用し、安全で安心な暗号資産取引を始めましょう。

4. 詐欺に騙されないために:SNSの誘いや有名人広告に要注意

暗号資産は新しく複雑な技術のため、初心者を狙った詐欺が絶えません。「絶対儲かる」「〇〇さんが推奨」といったSNSや広告の甘い誘いは、まず疑ってかかりましょう。

近年、暗号資産(仮想通貨)の普及が進むにつれ、関連する犯罪も多様化・複雑化しています。これまでは主にサイバー犯罪に使われることが多かった暗号資産ですが、現在では国家安全保障を脅かす犯罪や消費者詐欺など、さまざまな分野に拡大しています。

出典:chainalysis

特にオンチェーン(ブロックチェーン上)では、大規模な資金洗浄サービスを提供する業者が登場するなど、犯罪インフラの専門化が進んでいます。その結果、2024年における不正アドレスへの資金流入額は約409億ドルに達しました。しかし、これは暫定的な数字であり、実際には過去の傾向を考慮すると510億ドル程度になる可能性が高いと予測されています。

また、犯罪目的の取引は全体の0.14%と低い割合ですが、絶対額は増加傾向にあります。特にステーブルコインが犯罪で利用されるケースが増え、全体の63%を占めるようになりました。一方でランサムウェア攻撃や闇市場の取引では、引き続きビットコインが中心となっています。

さらにAIを活用した新種の詐欺が登場したり、北朝鮮系ハッカーによる被害が拡大したりするなど、犯罪手口も高度化しています。暗号資産関連の犯罪は今後も警戒が必要です。

典型的な詐欺の手口と注意点

最近増えている手口は以下の通りです。

  • 有名人を装った偽広告 著名人の写真や名前を無断で使用し、「AIを使った投資で大儲けした」などの嘘のニュース広告から詐欺サイトへ誘導。
  • SNSの送金詐欺 有名人を騙り「仮想通貨を倍にして返します」と送金させ、そのまま資産を奪う。
  • SNS型投資詐欺 「必勝法を教える」「芸能人が推奨」などのDMや広告から、海外の怪しい投資サイトへ誘導。

2024年には、経済評論家や起業家などが、なりすまし広告に何千回も悪用されました。こうした広告の多くは外国発で、日本語が不自然なことが特徴です。

詐欺被害を防ぐための対策

  • 有名人の名前を鵜呑みにしない 有名人がSNSで直接DMを送り、投資を勧誘することは基本的にありません。公式サイトなどで発言を必ず確認しましょう。
  • 「必ず儲かる」話は疑う 投資に絶対はありません。「1日で〇〇円」などの甘い話は100%詐欺と考えてください。
  • 秘密鍵や個人情報を渡さない ウォレットの秘密鍵や認証コードを尋ねる行為は絶対に詐欺です。取引所やウォレット提供元が聞くことはありません。
  • 日本語やURLが不自然なサイトに注意 日本語の表現がおかしいサイトや、公式サイトと似た紛らわしいURLは詐欺サイトの特徴です。自分で公式サイトを検索してアクセスする癖をつけましょう。

実際の被害例(伊勢市のケース)

出典:伊勢市

三重県伊勢市では、有名芸能人の偽広告を信じ、海外の投資サイトに数十万円をだまし取られた例があります。出金しようとしても音信不通となり、回収は困難です。

仮想通貨の初心者は特に慎重に行動し、「公式取引所以外で送金しない」「秘密情報は絶対に他人に教えない」ことを徹底しましょう。不安に感じたらすぐ消費生活センターや警察のサイバー犯罪相談窓口に相談してください。

5. ウォレットの仕組みと安全な保管方法:ホット vs コールドウォレット

SECはBitclave ICOの投資家に返金します。

暗号資産の安全な管理には、ウォレットの種類や保管方法を理解することが不可欠です。特に重要なのが、「ホットウォレット」と「コールドウォレット」の違いです。

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ウォレットは暗号資産そのものではなく、「秘密鍵(資産を動かすためのパスワード)」を管理します。秘密鍵の紛失や流出は資産喪失に直結するため、安全な保管が極めて重要です。

ホットウォレットとコールドウォレットの違い

  • ホットウォレット(オンライン管理)
    • 取引所アカウント、スマホやPCのウォレット(例:MetaMaskなど)
    • 利便性が高く送受信が簡単だが、ハッキングリスクが高い。
  • コールドウォレット(オフライン管理)
    • ハードウェアウォレット(Ledger、Trezorなど)、ペーパーウォレット(紙に秘密鍵を記録)
    • ハッキングリスクが非常に低く安全性が高いが、送金時に手間がかかる。

ホットウォレットとコールドウォレットの比較表

種類安全性利便性主な用途
ホットウォレット△(ハッキングリスクあり)◎(即時送受信可能)少額の日常的な取引
コールドウォレット◎(ハッキングリスク極低)△(送受信に手間)長期保有や高額資産の保管

実際、2018年のCoincheck事件ではホットウォレットの管理が被害拡大の原因となりました。それ以来、日本の取引所は主にコールドウォレットで管理しています。

関連記事:Web3ウォレットの特徴や注意点をわかりやすく解説

安全に管理するためのポイント

  • 大きな資産はコールドウォレットで保管
    • 長期保有する資産はハードウェアウォレットで安全に管理。
    • 万が一壊れても、復元フレーズで資産を復元可能。
  • ホットウォレット利用時の注意点
    • 端末のウイルス対策を万全に。
    • 秘密鍵や復元フレーズをオンライン上(スクショやメモ帳)に保存しない。
    • 秘密鍵は紙や金属プレートでオフライン保管。
  • 必ずバックアップを取る
    • 秘密鍵や復元フレーズは複数箇所に分散保管。
    • 耐火金庫や銀行貸金庫などを活用。
  • 取引所のセキュリティ設定を強化
    • 二段階認証(2FA)や出金通知を設定。
    • 出金アドレス制限機能も活用する。
  • 端末のセキュリティ管理
    • スマホやPCのOS・アプリは常に最新状態に。
    • スマホ紛失時のリモートワイプ設定を検討。

初心者が陥りやすい失敗例と対策

  • スマホ紛失でバックアップ未作成→資産を喪失
  • フィッシング詐欺で復元フレーズを盗まれ資産流出

こうした事態を防ぐため、「秘密鍵や復元フレーズは絶対にオンラインに入力しない」という鉄則を守りましょう。

初心者のうちは取引所に預けても構いませんが、資産が大きくなったら徐々にコールドウォレットへ移行するのがベストです。日常用にホットウォレット、長期保管用にコールドウォレットを使い分け、安全かつ便利に資産を管理しましょう。

6. 暗号資産の買い方・送金・取引:安全に利用するために

YieldTrust.AI ポンジスキーム 人工知能 (AI) 取引規制

暗号資産を安全に購入・送金・取引するためには、基本手順とよくある失敗を知っておくことが重要です。特に初心者は、本人確認や二段階認証、送金アドレス・ネットワークの確認、DeFi(分散型金融)利用時のガス代などのポイントを事前に押さえましょう。

暗号資産購入・利用の基本ステップと注意点

①口座開設と本人確認

  • 国内の金融庁登録業者で口座開設。
  • 本人確認書類や住所確認(ハガキ)による手続きが必要。
  • パスワードは強力にし、二段階認証を必ず設定。

②日本円の入金と購入方法

  • 銀行振込やネットバンク経由で入金。
  • 暗号資産取引所でビットコインを売買する際の取引手数料は、取引形式により異なります。
  • 販売所:暗号資産取引所が直接売買の相手となり、取引手数料は高めで、スプレッドも大きい傾向があります。手軽に取引できる一方、コストがかかる可能性が高いです。メルカリのビットコイン取引では同形態が採用されています。
  • 取引所:ユーザー同士で直接売買する形式で、取引手数料が比較的低く、スプレッドも狭く抑えられます。コストを最小限に抑えたいなら、取引所形式を選ぶのが賢明です。

③送金時の注意ポイント(特に重要)

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  • 送金アドレスは必ずコピー&ペーストで確認。
    • 一文字違うだけで資産は戻りません。
  • ネットワークの指定も重要。
    • USDT送金の場合、Ethereum(ERC20)かBSC(BEP20)などを間違えると資産を失う可能性あり。
  • 初回は必ず少額でテスト送金を推奨。
  • ガス代(ネットワーク手数料)が高騰している時間を避ける。

④DeFi利用時の注意点

  • DeFi(分散型金融)を使う場合は、ウォレット(例:MetaMask)接続時に偽サイトに注意。
  • Ethereum系のDeFiではガス代(ETH)が必須。取引が止まらないように残高を十分に確保。
  • 初心者はガス代設定をデフォルトのままにすると安全。

⑤交換・トレード時の注意点

暗号資産利用時の安全対策まとめ(必須)

  • 二段階認証と強力なパスワード設定
    • パスワード管理ツールを活用して使い回しを防ぐ。
  • 公式情報を常に確認
    • 取引所や公式SNSを定期的にチェック。
  • 誤送金防止の環境づくり
    • アドレス入力時は静かな環境で集中し、コピペ後に前後数文字を再確認。
  • 取引履歴を定期的に記録保存
    • 税金計算用に取引明細やCSVを保存。

よくある失敗例とその対策

  • ETHとETC(イーサリアムクラシック)のアドレスを間違えて資産を消失。
  • ガス代不足でDeFi取引失敗、高い手数料だけ払った。

これらは事前の確認と少額テスト送金で防げるミスです。

暗号資産の操作は自己責任ですが、基本手順を押さえて慎重に行えば難しくありません。最初は少額から試し、焦らず確認を徹底することが安全に資産を守る最大のコツです。

7. 日本の暗号資産税制と確定申告:雑所得計上と便利ツールの活用法

暗号資産で得た利益は、日本の税制上「雑所得」として課税されます。給与所得者の場合、年間利益が20万円を超えれば確定申告が必要です。税率は所得に応じて最大55%(住民税含む)になるため、計画的な納税が重要です。

暗号資産課税の重要ポイント

日本の現行税制では、暗号資産利益は総合課税の「雑所得」扱いです。主なポイントは以下の通りです。

  • 暗号資産同士の交換や商品購入も課税対象
    • BTCでアルトコインを買ったり、商品を購入した時点で利益計算が必要。
  • 損失の繰越控除は不可
    • 損益通算は同じ雑所得内のみ可能。他年への繰越は認められません。
  • 確定申告が必要な場合
    • 給与所得者は年間利益が20万円超の場合。
    • 副業収入や複数所得源がある場合は20万円以下でも申告が必要。
  • 納税資金を確保する
    • 利益が出たら、納税用の現金を必ず準備しておく。

暗号資産の課税対象のもの

国税庁の「暗号資産等に関する税務上の取扱いについて(FAQ)」によると暗号資産運用による税金は以下のような項目で発課税対象となります。これにはエアドロップ報酬などの受け取りも含まれます:

税目項目内容具体例ポイント
所得税暗号資産の売却売却益に対して課税されます。例:1BTCを100万円で購入し、150万円で売却した場合、50万円の利益が発生します。所得税の課税対象となります。
所得税暗号資産で商品購入商品購入時の価格差が課税対象となります。例:10万円の商品を0.1BTCで購入し、0.1BTCの取得価格が8万円の場合、2万円が課税対象となります。売却と同様の扱いとなります。
所得税暗号資産の交換交換時の時価を基に課税されます。例:1BTC(100万円相当)を10ETH(120万円相当)と交換した場合、20万円の利益が発生し課税対象となります。交換は売却とみなされます。
所得税暗号資産の寄附寄附時の時価で計算されます。例:2BTC(寄附時の価値300万円)をNPOに寄附した場合、300万円分の控除対象となります。特定の条件で寄附金控除が適用されます。
所得税暗号資産の取得価額購入価額に手数料を加えた金額が取得価額となります。例:2BTCを200万円で購入し、取引手数料5000円がかかった場合、取得価額は200万5000円となります。手数料を含めて計算します。
所得税マイニング・ステーキング取得時の時価で課税されます。例:マイニングで0.5BTC(50万円相当)を獲得した場合、50万円が課税対象となります。事業所得または雑所得として扱われます。
法人税暗号資産の期末評価時価評価または取得価額で評価されます。例:期末にBTCを保有している場合、時価評価または取得価額で計上されます。市場の有無により評価方法が変わります。
相続税相続・贈与時の評価相続時の時価で評価されます。例:親が死亡時に1BTC(時価500万円)を保有していた場合、相続税の対象となります。暗号資産も相続税の対象となります。
源泉所得税暗号資産による給与支払給与所得として課税されます。例:会社からBTCで給与を支払われた場合、日本円換算で課税されます。日本円で計算されます。
消費税暗号資産の譲渡売買は非課税です。例:BTCを売却しても消費税はかかりません。資金決済法上の非課税対象です。
消費税暗号資産の貸付利用料貸出しで得た報酬は課税対象となります。例:BTCを貸し出し、利息を得た場合、消費税が発生します。金融サービスとして扱われます。
法定調書財産債務調書への記載保有額が一定以上なら記載義務があります。例:1億円以上の暗号資産を保有している場合、記載義務があります。一定額以上の資産保有者が対象です。

関連記事:仮想通貨の税金計算方法と、おすすめツール

便利な損益計算ツールの活用

手作業での計算は困難ですが、暗号資産の損益計算ツールを使えば、正確で簡単な処理が可能です。主なツールの特徴を紹介します。

ツール名主な特徴料金体系
Cryptact(クリプタクト)国内実績No.1。初心者でも簡単操作。DeFi取引にも対応。50件まで無料、有料プランは年数千円〜
Gtax(ジータックス)日本製でNFT・マイニング対応。会計ソフト連携可。個人は基本無料(法人は有料)
Koinly(コインリー)世界的に人気。多数のAPI連携が可能。基本無料、レポート出力は有料(約7千円〜)
CoinTracking(コイントラッキング)高機能・上級者向け。タックスロスハーベスティング対応。年間最大200取引まで無料、有料プラン多数

ツールを使えば、取引所APIやCSVファイルを用いて数分で年間損益を計算できます。

関連記事:クリプタクトの使い方や料金プランを紹介

確定申告時の注意と実例

例えば、会社員が年間100万円の暗号資産利益を得た場合、課税所得が695万円を超えると税率23%以上になります。納税用の資金を確保しないと、後々支払いに困る可能性があります。

一方、申告漏れは国税庁に把握されやすく、無申告の場合は追徴課税や延滞税のリスクがあります。取引所情報を国税庁が把握しているため、「バレない」という考えは通用しません。

暗号資産投資で利益を得たら、「稼いだら必ず申告」を心がけましょう。損益計算ツールを活用し、正確な税務処理で安心して利益を管理してください。

まとめ:正しい知識をもって暗号資産への投資を行いましょう

暗号資産市場は、急成長を続ける一方で依然として高いリスクを内包しています。投資対象としての可能性を最大限に引き出すには、制度理解やセキュリティ対策、税務対応を含めた総合的な知識が不可欠です。本稿で紹介した7つのポイントは、暗号資産を正しく理解し、適切なリスクコントロールを行ううえでの基礎知識として機能します。金融リテラシーを高めたうえで、自身の投資判断に責任を持ち、信頼性の高い情報をもとに戦略的に行動する姿勢が求められます。今後の規制動向や市場の成熟に応じて、継続的なアップデートと柔軟な対応が不可欠です。


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