ワールドコイン(WLD)は、暗号資産市場で注目を集めるプロジェクトで、その特徴的な認証方法が話題です。開発を手掛けるのは、OpenAIのCEOサム・アルトマン氏が率いる「Tools for Humanity」で、WLDを無料配布することで世界中のユーザーにユニバーサル・ベーシック・インカム(UBI)を提供することを目指しています。
本稿ではワールドコインの無料配布の受け取り方、そしてプライバシーの懸念や換金のプロセスなどについても解説します。
ワールドコインとは?
ワールドコインは、暗号資産市場において独自の存在感を放つプロジェクトで、その革新的な認証方法が注目を集めています。このプロジェクトは、OpenAIのCEOであるサム・アルトマン氏が率いるTools for Humanityによって開発され、世界中のユーザーにユニバーサル・ベーシック・インカム(UBI)を提供することを目指しています。本稿執筆時点で686万人を超えるユーザーがWLDを受け取っています。
ワールドコインの構成要素
- World ID: World IDは、虹彩スキャン装置のOrb(オーブ)を利用して取得できるデジタルIDで、人間であることを証明します。このIDを用いることで、個人情報を開示することなく、さまざまなサービスにアクセスでき、ワールドコインの受け取りや支払いに必要です。
- Worldcoin: ワールドコインは、全世界の人々に無料で配布される暗号資産で、World IDを取得した後に受け取れます。これは、ユニバーサル・ベーシック・インカム(UBI)の実現に向けた取り組みにもつながっています。
- World App: World Appは、ワールドコインのエコシステムの中核を担うアプリで、支払いや送金が可能です。ユーザーはこのアプリを通じて、資産の管理や取引履歴の確認ができ、シンプルで使いやすい操作性が特徴となっています。
虹彩スキャンの仕組み
ワールドコインは、ゼロ知識証明(ZKPs)を活用して、ユーザーが一意の人間であることを確認しつつ、個人情報を公開せずに認証を実現しています。これにより、ユーザーはプライバシーを保ちながらも、信頼性のある認証を受けることが可能です。
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Orbは、ユーザーの顔の温度を測定することで、実際に生きている人間であることを確認します。さらに、目と虹彩をスキャンして、独自の虹彩コードを生成し、ユーザーがすでに登録されていないことを確認します。この一連の手順を経て、ユーザーは認証を完了し、World IDが発行されます。Orbの安全性について、Tools for Humanityの開発責任者であるアカーシュ・サンギ氏は、BeInCryptoに対して次のように述べています。
Orbsでのサインアップ時には、我々はユーザーについての情報を一切取得しない。彼らの身元や外見については不明で、唯一知っていることは彼らが生存しており、1人1人が人間であるということだけである
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ワールドコイン無料配布の受け取り方
ワールドコイン(WLD)の無料配布を受け取るためには、以下の手順に従って準備を進める必要があります。このプロセスでは、専用アプリ「World App」を活用し、Orb認証を行うことで、デジタル通貨であるWLDを取得できます。詳しい手順を以下で解説します。
1. World Appのダウンロードとアカウント作成
まず、App StoreまたはGoogle Playから「World App」をダウンロードします。同アプリは、ワールドコインの管理や受け取りに必要なアカウントを作成するためのツールです。
- ダウンロード方法:
アプリをインストール後、電話番号などの基本情報を入力してアカウントを作成します。個人情報(名前やメールアドレス)は不要で、プライバシーが重視された設計となっています。
2. Orb認証の予約
次に、アプリ内の設定メニューから「Orbを見つける」を選び、最寄りの認証場所を探して予約します。Orbは、ワールドコインのプロジェクトが提供する認証装置で、虹彩スキャンによって「人間であること」と「一意性」を証明します。
- 認証場所の確認方法: World Appまたはワールドコイン公式サイトから確認可能。
- 本稿執筆時点でOrbによるWorld IDの認証は各都道府県40カ所で実行可能。
3. 予約した場所でOrb認証を実施
予約した日時に、指定の場所でOrb認証を行います。この認証は、虹彩スキャンを通じて進められ、通常は数分で完了します。虹彩スキャンは、視力検査のようなもので痛みはなく、安全に配慮されています。不安がある場合は、現地スタッフに説明を求めることも可能です。
4. 報酬の受け取り
Orb認証が完了すると、World Appを通じてWLDトークンを受け取ることができます。取得したトークンは、アプリ内の「Grant」セクションで確認でき、定期的に追加の配布が行われるため、通知が来たら忘れずに受け取りを行いましょう。
以下の表を参照して今一度、ワールドコイン無料配布の受け取り方について確認しましょう:
ステップ | 詳細 |
---|---|
World Appのダウンロード | App StoreやGoogle Playで入手 |
アカウント作成 | 電話番号を用いて簡単に作成 |
Orb認証の予約 | アプリ内で最寄りの認証場所を探す |
認証実施 | 予約した場所で虹彩スキャンを行う |
報酬受け取り | World AppでWLDを確認・受け取り |
ワールドコインの配布状況と注意点
ワールドコインの無料配布には期限は設けられていないものの、配布量や条件が今後変更される可能性があります。ローンチ時点での配布予定枚数は4300万WLDとされており、プロジェクトの進捗次第で、今後の配布ペースに変化があるかもしれません。
配布されるトークンは、World App内で管理したり、取引所で換金したりと柔軟に利用することが可能です。特に取引所での売買を検討している場合は、あらかじめ対応している取引所を確認しておくとスムーズです。
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虹彩スキャンが必要なワールドコインは安全なのか?
ワールドコインにはいくつかのデメリットと課題が存在します。第一生命経済研究所はワールドコインの安全性を危惧して以下のように指摘しています:
最も大きな課題は、自分自身の虹彩を登録する必要がある点であり、これは非常にセンシティブな情報であるため、データベースに保存することにはリスクが伴う
ワールドコインのプライバシーシステム
ワールドコインは、データの暗号化とローカル保存を通じてプライバシー保護を実現しています。これにより、ユーザーは自身のデータを完全に管理し、必要に応じて削除することができます。この保護機能は、3月に導入された「パーソナルカストディ」という仕組みに基づいています。虹彩スキャンで生成されるデータやメタデータは、ユーザーのスマートフォンなどのデバイス上に保存され、データの流れをコントロールできる設計です。
5月には、新しいオープンソースSMPCシステムを公開し、バイオメトリックデータの保護に力を入れました。これにより、ソースコードがGitHub上で公開され、世界中の開発者やセキュリティ専門家が検証や改善を行うことが可能になっています。オープンソース化によって、透明性を高め、信頼性を確保しています。
データの保存期間と第3者監査の結果
データの保存期間については、ワールドコインは虹彩データを最長10年間保存しますが、これは一部の地域では問題視されています。特に香港では、10年間の保存期間が過度とされ、プライバシー当局から収集停止を命じられています。香港の個人データ私隠条例(PDPO)に基づき、AIトレーニングの正当性に疑問が投げかけられました。
また、ワールドコインは第三者によるセキュリティ監査も実施しています。トレイル・オブ・ビッツによる第3者監査では、Orbのコードに重大な脆弱性は見つからず、セキュリティの堅牢性が確認されました。デフォルトのサインアップでは、虹彩コードのみが収集され、永続的な保存はされません。オプトイン時にも、追加データはユーザーのデバイスから抽出されず、虹彩データは安全に処理され、認可されたサーバーにのみ送信されます。
DX化に伴い需要が高まるバイオメトリック・システム
博報堂がワールドコインの運営会社と業務提携を締結したと、日本経済新聞が10月8日に報じました。この提携では、ワールドコインが提供する認証技術を活用し、「人間」であることを確認できるデジタルIDをネット広告に利用することを目指しています。この技術により、AIボットによる不正なアクセスを排除し、広告の効果を正確に測定しつつ、適切なターゲティング広告を配信する計画です。
また、日経新聞によると、広告業界の不正行為監視を手掛けるスパイダーラボズの調査では、2023年の日本国内のアドフラウド(広告詐欺)被害額が1667億円を超えているとされています。なお、フォーチュン・ビジネス・インサイト社のレポートによると、バイオメトリック・システム市場は2022年の307億7000万ドルから、2029年には767億ドルに増加すると見込まれています。
Orb認証なしでもワールドコイン無料配布を受け取る方法は?
ワールドコイン(WLD)を受け取るためには、Orb認証が必須です。単にWorld Appでアカウントを作成し、World IDを取得するだけでは、WLDトークンの報酬を直接受け取ることはできません。しかし、Orb認証を事前に予約しておけば、12か月以内に認証を完了した際にWLDを引き換えることが可能です。
Orb認証でのWLD受け取りの詳細
- Welcome Grants: Orbによる虹彩認証を完了すると、最初に10WLDが「Welcome Grants」として付与されます。これは、ユーザーが正式に認証され、ネットワーク内でのユニークな存在として認められたことに対する初回報酬です。
- 定期的な報酬: 認証を完了したユーザーには、定期的にWLDトークンが配布されます。2024年3月時点では、2週間ごとに3WLDが支給されており、これを受け取るためには、World App内の「Grantを獲得」ボタンをタップする必要があります。報酬を受け取るタイミングを逃してしまうと、その回の報酬は失効するため、定期的なチェックが推奨されます。
早期認証のメリット
早めにOrb認証を行うことで、WLDの報酬をより多く受け取るチャンスが広がるとされています。特に、Worldcoinプロジェクトの初期段階では、参加者が少ない分、配布されるWLDの割合が高くなるため、早期登録者には追加のメリットがあります。また、今後の参加者増加に伴い、個々の報酬量が減少する可能性があるため、できるだけ早く認証を完了させることが推奨されています。
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ワールドコインの無料配布に税金は発生する?|換金の仕方は?
暗号資産の送金に関して、World AppはUSDC.eとWLDの2種類の通貨に対応しています。USDC.eは、Optimismネットワーク上で使用されるUSDCのブリッジ版であり、通常のUSDCとは異なるため注意が必要です。
- 入金方法:
World Appの「入金」メニューからウォレットアドレスを取得し、他のウォレットや取引所からWLDやUSDC.eを送金します。送金時はネットワークを必ずOptimismに設定してください。USDCを送金する場合には、USDC.eを使用する必要があります。 - 出金方法:
出金もシンプルで、送金先のアドレスと出金額を入力し申請します。World AppではOptimismネットワークのみ対応しているため、送金時のネットワーク設定を誤らないようにしましょう。さらに、World Appは送金時の手数料がかからない仕様となっているため、手軽に送金が可能です。
WLDを送金して日本円に換金する方法
WLDを日本円に変えるためには、いくつかの手順を踏む必要があります。以下がその手順です。
- World AppからWLDを海外取引所に送金
World App内で取得したWLDを、Bybitなどの海外暗号資産取引所に送金します。 - WLDをUSDTに交換
BybitでWLDを売却し、安定した価値を持つステーブルコインであるUSDTに交換します。 - USDTをXRPに変換
USDTをXRPに変換することで、日本国内への送金手数料を抑えることができます。 - 国内取引所にXRPを送金
XRPをビットフライヤーやコインチェックなどの国内取引所に送金します。 - XRPを日本円に換金
国内取引所でXRPを売却し、日本円に換えて銀行口座へ出金します。
税金が発生するタイミング
ワールドコインに関する税金は、主に以下の2つのタイミングで発生します。
- WLDを受け取った際
ワールドコインを報酬として受け取ると、その時点の時価で利益と見なされ、課税対象になります。例えば、2024年1月に3WLDを受け取った場合、その時のレートが1WLD=400円であれば、1,200円相当の利益が発生し、「雑所得」として申告が必要です。 - WLDを他の通貨に交換した際
WLDをUSDTやXRPに交換する際にも、取得価格と交換価格の差額によって利益が生じます。例えば、取得時の平均単価が1WLD=400円で、10WLDを12,750円相当のUSDTに交換した場合、以下のように計算されます:
売却額(12,750円) – 平均取得価格(400円 × 10WLD) = 8,750円の利益
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まとめ:ワールドコインも無料配布には虹彩認証が必須
本稿ではワールドコインの無料配布の受け取り方について解説しました。WLDを受け取るには、専用アプリ「World App」を通じてOrb認証を行う必要があります。認証プロセスでは、虹彩スキャンを利用して個人情報を公開せずに「人間であること」を証明します。プライバシー保護や税金の取り扱いなども議論されていますが、オープンソース化されたシステムと第三者監査による安全性の確保が強調されています。WLDの受け取りや換金方法については、適切なプロセスを理解し、税制の管理を行うことが重要です。
よくある質問
はい、ワールドコイン(WLD)を無料で受け取るには、虹彩スキャン装置「Orb」を使用した認証が必須です。これにより、個人情報を公開せずに「人間であること」を証明し、WLDを受け取ることができます。
はい、ワールドコインを受け取った際には、受け取った時点の時価で所得として計上され、課税対象となります。また、WLDを他の通貨に交換した際にも、取得価格と売却価格の差額に対して税金がかかります。
ワールドコインは、データの暗号化とローカル保存を通じて、ユーザーのプライバシー保護を重視しています。さらに、第三者によるセキュリティ監査も行われ、システムの透明性を確保しています。ただし、虹彩データの保存期間など、一部の地域では懸念があるため、利用前に確認することをおすすめします。
WLDを換金するには、まずWorld AppからWLDを海外取引所に送金し、そこでUSDTなどのステーブルコインに交換します。その後、日本国内の取引所に送金し、XRPなどを経由して日本円に換金するのが一般的な手順です。各取引所の手数料や対応するネットワークを確認して進めてください。
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