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仮想通貨取引のリスクと感情のコントロール

21 mins
記事 Rahul N.

人は安全な投資行動から一歩外れてしまうと、感情の適切なセーフガードができなくなります。仮想通貨取引にともなう感情に関して言えば、投資対象である暗号資産は基本的に不安定なものなので、しばしば(投資家は)躁鬱(そううつ)状態に陥ってしまいがちです。

仮想通貨取引は多くの人にとって魅力的なものとなっていますが、感情に流されないことが重要です。どのような対処法や準備法が必要となるかを見る前に、まず暗号資産が人の気持ちを疲弊させてしまう原因について検証してみましょう。

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目次:

1. 暗号資産投資におけるリスク

2. 仮想通貨取引で感情をコントロールする方法

3. 適切なバランス感覚を身につける

暗号資産投資におけるリスク

(一般に)超低位株が投資リスクとなることはよく知られています。これは、流動性が低い、情報が少ない、時価総額が小さいといったいくつかの大きな理由によるものです。同じことが仮想通貨取引にも当てはまります。

トップクラスの暗号資産(仮想通貨)でもボラティリティ(価格の変動性)が高い

メジャーな資産以外の仮想通貨は時価総額が小さいことが多く、ディベロッパーディベロッパー自身が匿名または偽名で(取引を行なう)ことも少なくありません。こうした要因は、仮想通貨市場の通常の変動に加え、価格それ自体のボラティリティ(変動性)につながる可能性をもたらします。結果として、暗号(code)がコピーされ、手を加えられ、新しい名前の通貨として登場することもあります。

「ドージコイン(Dogecoin)は、こんなふうに1週間もたたずに生まれたんだと創始者であるパルマー(Palmer)とマーカス(Markus)も語っています。ハードフォーク(仕様の変更)もよく起きる話で、イーサリアムからイーサリアムクラシック、ビットコインからビットコインキャッシュなど、例を挙げればキリがありません。さらに、ボラティリティ(価格の変動性)に加え、ビットコインのようなトップクラスの資産にも影響を与える外的要因もあります。

ツイートが仮想通貨市場にどのような影響を与えたかを示すグラフ:TradingView

過去においては、一つのツイートが市場に劇的な影響を与えることがありました。暗号資産業界では一連の取引がめまぐるしく展開するので、ソーシャルメディアが拡散する性質と共通すするものがあります。誰かが極めてネガティブな感情を露わにすれば、何百万人もの人々がビットコインを売却することも起きるのです。

この例としては、つい最近、ビットコインが暴落(cascaded down)し、抵抗水準の30000ドルで1ヶ月以上もみ合う状況がありました。一方、(事態を)静観していた「実力者」たちは、これを好機と捉え、下落ディップ(dip)のなかで(ビットコイン)を買い続けていました。クリプト・バンテージ(Crypto Vantage)が先日行った調査によると、すべて(の状況)が終息したのを見て、(手をこまねいていた通常の)仮想通貨トレーダーたちは深く後悔しているとのことでした。

市場を見誤ってFUD(恐怖、不確実性、疑念)を抱き、一つの資産のみに(取引の)望みを託すことは、新規参入者が陥りやすい過ちです。特に後者は、株式取引では分散投資が基本であるだけに、深刻な問題です。

仮想通貨の証拠金取引とオプション取引

ある資産に大きな期待をかけて投資することと、その資産の特定の値動きに賭けることは、別のことのようで同じ意味を表します。(双方に共通する)アクティブな取引手法を用いれば、一晩で大金持ちになることがある一方で、喪失感にうちひしがれる場合もあるからです。

例えば、利用する取引所によっては、市場へ参入するときに最大で300倍のレバレッジをかけることができます。従って、50ドル×300倍のマージントレード(証拠金取引)を行う場合、15,000ドルで市場にエントリーできることになります。仮想通貨(の価格)が上昇した場合、一定の比率で自動の利益確定(TP)注文を設定することができます。しかし、エントリー後に価格が下がったときに、マージンコール(追加証拠金)を避け、再び価格が上がることを期待しているなら、継続的に資金を補充する必要があります。

これは極めて常習癖になりやすく、レバレッジをかけたわずか50ドルをはるかに超える資金が枯渇してしまう可能性があります。他方、仮想通貨オプション取引(価格がロングまたはショートになるように賭けること)でも、同じように苦境に陥る場合があります

ビットコインの清算注文グラフ(liquidation): Skew

実際に、2022年7月には887,000人以上もの仮想通貨オプションのトレーダーが12億ドル相当のビットコインの清算に追い込まれましたが、その(実に)92%が空売り(ショート)ポジションでした。彼らは市場の動きを見誤り、ビットコイン価格の上昇ではなく、下落する方に賭けたのですが、結果は事実の通リです。こうした勝ち負けのケースが、一日の間に繰り返されることになるのです。

(このような経緯から)仮想通貨取引にともなう(投資家の)感情が悪循環とならないように、損失リスクを最小に抑えるにはどうしたらよいかという考えが生まれてくるのです。

仮想通貨取引で感情をコントロールする方法

仮想通貨トレーダーが頭を抱える主な理由は何でしょうか?率直に言えば、彼らの資金による投資は、情緒的な賭け事になってしまっているのです。(取引に使う)資産を資金としてではなく、車や家、借金のない未来(の生活)に値するものとしてとらえているのです。

これは、仮想通貨取引を行う上では、根本的に間違った考え方です。ここでは、(投資家にとって)支障となる仮想通貨取引にともなう感情を払拭(ふっしょく)するためのステップを紹介します。

1. 損失に備える

投資には安全性の度合いがいくつかありますが、仮想通貨取引で用いる資金は経済的自由を得るための最後の手段となってはなりません。むしろ、その資金はもうすでに失ってしまったと心得るべきです。仮想通貨を購入するために費やした資金を想像してみてください。それらが蒸発してしまうか、トイレに流されるのか、あるいは自分の(手元にまだ)持っているのかをよく考えてみてください。

自分の心の状態が、これから行なう投資からかけ離れている(ことに気づいてください)。プラス(の結果を得たこと)は偶然の賜物(たまもの)とみなし、損失は十分に予想され受け入れられるべきものと考えましょう。そうすれば、仮想通貨取引にともなう感情が、市場から退出する際に悪循環に陥ることはありません。実際(の取引)では、自信をつけるために小さく始めるべきです。損失をこうむっても気にならない程度で始めてください。

2.  FUD(恐怖・不確実・疑問)情報を検証する

Breakdown of global renewables penetration in bitcoin mining: CoinShares

ここでイーロン・マスク氏のツイートを例にとりましょう。2021年以前のビットコインの長期保有者は、ビットコインのファンダメンタルズをよく理解しているので、同氏のツイートにはあまり動揺しませんでした。彼らは、2019年発行のレポートに記されているように、ビットコインのマイニング・ネットワークの74%が再生エネルギーを使用していることを知っています。また、中国の暗号資産のマイニング禁止は、マイニングネットワークを西側世界に広げ、分散化をもたらすという点で、好ましい展開であることも理解していました。

(以下のグラフは)、フィデリティ・インベストメント(Fidelity Investments)がマラソン・デジタルホールディングス(Marathon Digital Holdings)の7.4%の株式を購入したときのものです。(マラソンは)北米で最大のビットコインのマイニング事業会社の一つで、生産量を5倍に増やす計画でした。(この株式購入には)、ビットコインに信頼を持ち続ける核となる理由が(背景に)あります。それは、FRB(米連邦準備制度理事会)による際限のない紙幣印刷と、高騰するインフレです。

FRBの言動に株式市場はどう反応するか:フォーブス

株式市場が高値圏にある以上、FRBは金融市場の安定を保つために紙幣を刷り続ける必要があります。デフレ型資産はこうした力学から最も恩恵を受けるわけですが、しかし一方で、これが米連邦通貨制度の枠外にあるデフレ型暗号通貨であるビットコインを、長期的に弱気視する理由となるのです。

つまり(一連の流れをみると)、(ビットコインの)パニック売りがイーロン・マスク氏がこじ開けたドアめがけて殺到するなかで、ガチホ組(HODLer)は割安価格でビットコインを買い増すため、こうした下落を歓迎していたというわけです。

この出来事から2つの教訓が得られます:

  • 投資している資産の根本的な価値をよく理解すること
  • (投下した金銭は)すでに損失したものとみなし、終わった取引にこだわらないこと

これらを実践することにより、FUDが起きたときでも、状況を冷静に考える余裕ができ、売却する際にも気持ちを落ち着かせてさらにリサーチができるのです。

3. 潜在的な損失を分散させる

株式市場では、優良企業で構成されるS&P500のETF指数に投資することは、すでに十分な分散投資と考えられています。製造業やハイテク企業から接客業や銀行業まで、最も安定した企業を網羅(もうら)しているからです。実際、S&P 500は長期にわたって上昇したのも、常に連邦準備制度(Federal Reserve)による追加の金融注入を当てにすることができたからです。

これに対して、分散型暗号資産業界にはそのような特権は望めないため、各仮想通貨はそれぞれの固有の長所に基づいて(取引の有効性が)判断されることになります。

例えば、

  • ビットコインー 広く普及したデフレに強い仮想通貨
  • イーサリアム仮想通貨としての機能、および従来の金融インフラを再構築するDeFiプロトコルを支えるDeFiインフラ
  • チェーンリンクオフチェーンの世界データをオンチェーン・スマートコントラクト( on-chain smart contracts)へ提供
  • アクシー・インフィニティ(Axie Infinity)-独自のNFTと農作物収穫エコシステムを有するブロックチェーンゲーム

暗号資産(仮想通貨)の種類は多いので、それぞれ提案力、チーム体制、沿革、競合他社の存在を考慮する必要があります。そして、さまざまなカテゴリーの中から最も有望な(仮想通貨)を5つほど選び、分散投資のバスケットに入れるのです。それにより、価格変動の影響も分散され、潜在的な損失を最小限に抑えることができます。

4. 実践は自信を生む

大部分の投資家は、”全財産を失うような投資はするな “という格言をもとに、暗号資産の保有、分散を判断します。しかし、高頻度(マージン)仮想通貨取引のアクティブなアプローチを取り入れたければ、テクニカル分析を知っておく必要があります。

多くの取引所にはヴァーチャルな資金を使えるデモ口座があり、実際の資金を投入するまえに自分の知識を試すことができます。さまざまなチャートのテクニカル指標を理解することで、特定のパターンを正しく解釈することができるようになります。そのようなパターンは、時には迷うこともありますが、有効に使えるような仕組みを多く提供してくれます。

しかし一方で、テクニカル分析を完全に把握できたとしても、未来を予測することはできないことを理解しておく必要があります。指標は占いではないのです。ギャンブルよりはましですが、それでもリスクはあります。(実際には)株式市場と同じように、ほとんどのトレーダーは、一つの手法を繰り返し使用することで成功をおさめています。

5. 負けと勝ちの両方から学ぶ

トレードの損失をまぬがれない場合は、どのような経過をたどったかを順を追って書き出してみましょう。テクニカル指標を読み違えたのか?間違った指標を用いたのか?計画を逸脱して欲張りすぎたのか?などです。

もし、すべてが正しく行われたのであれば、取引手法に関する前提が間違っていたのかもしれません。さらに、勝った(ときの要因)をすべて積み上げてみると、運が良かったから勝てたということに気づくことがありますが、運に左右されるような取引は、損失を拡大させることにもつながります。ですから、トレードを成功させるには、自分のトレードロジックを分析することがより重要となります。

そのためには、まず取引レシピ(手法や要因をまとめたもの)を改善すること、そしてまぐれ当たり(flukes)は取引手法の構成要素から省くことです。こうした作業を毎日行うことで、感情的にならず、分析的に物事を処理することが習慣になります。

適切なバランス感覚を身につける

最後に、暗号資産への投資に取り組まないこと自体がリスクとなる可能性を付け加えておきます。米ドルはマネーサプライが増え続けているため、その価値を今後も失い続けると予想されます。欧州の多くの国では、銀行はすでにマイナス金利によって預金者に課金しているのが実状です。このような情勢のなかで、許容できるリスクレベルを見極め、それに基づいて行動することが重要であることを忘れないでください。

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Takashi Higashi
国際広報、海外の先端技術調査、海外企業との提携等をこれまで行ってきました。ここ数年、暗号資産に関心を持ってウオッチしています。
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