NFT(Non-Fungible-Token:非代替性トークン)とは、ブロックチェーン技術を用いてデジタルデータに唯一性を持たせることで、資産として扱えるようにする技術です。NFTはアート作品や音楽作品などのクリエイティブ分野で注目されていますが、それだけではありません。金融、不動産、広告、ゲームなど、さまざまな分野でNFTの活用が進んでいます。
この記事では、国内・海外のNFTユースケースを10事例を紹介します。この記事を読んでいただければ、NFTの活用方法やメリット、将来性について理解できるはずです。ぜひ最後までご覧ください。
NFTとは?

NFTとは、Non-Fungible Tokenの略で、日本語では非代替性トークンと訳されます。これは、ブロックチェーン上で管理ができるトークンの一種であり、NFTとデジタル資産を関連付けることで、デジタル資産の所有者や取引履歴の管理・追跡を可能にします。
NFTは、デジタルアートや音楽、ゲーム内アイテムなど、さまざまな形で提供されるデジタル資産ですが、それぞれに一意の識別子(トークンID)が付与されており、相互に交換することができません。つまり、NFTは世界にひとつしかない「一点物」であるということです。
NFTは、デジタルデータに唯一性を与えることで、デジタルデータが資産としての価値を持つことを可能にする技術です。そのため、高額で取引される作品が次々と現れており、近年注目を集めています。
NFTのメリットについて、以下のようにまとめられます。
- デジタルデータに唯一性を証明できる
- デジタル作品に希少性・付加価値を付与できる
- 取引しやすく互換性もある
- NFTは誰でも作成可能
- 破損や紛失のリスクがない
- アーティスト・クリエイターへの還元率が高い
- 会員証機能などのプログラムを組み込める
これらのメリットは、NFTがデジタル資産に革新をもたらしたことを示しています。NFTは、デジタルデータに価値を与えるだけでなく、その価値を保護・拡大することも可能にする技術です。
海外のNFTユースケース5選

海外のNFT活用事例5選について、紹介します。
- NBA TOP SHOT
- LOUIS VUITTON
- The Nori Carbon Removal Marketplace
- Burger King
- Spotify
海外のNFTユースケース①:NBA TOP SHOT
NBA TOP SHOTは、NBAの公式ライセンスを取得した、デジタルカードゲーム。カードの中には、NBA選手のプレイ動画が収録されており、その動画はNFTとして発行されています。NBA TOP SHOTでは、カードをパッケージとして購入することができます。パッケージには、ランダムに選ばれたカードが入っており、レア度や人気度によって価格が異なります。カードはプラットフォーム内のマーケットで売買することもでき、マーケットでは、カードの価格や取引履歴を確認することができます。
NBA TOP SHOTは、Dapper Labsが運営しています。Dapper Labsは、人気のNFTゲーム「CryptoKitties」を開発した会社で、ブロックチェーンゲーム業界の最大手です。
NBA TOP SHOTは、2020年10月にベータ版をリリース。2021年1月には、時価総額が10億ドルに達し、2021年8月には、レブロンジェームズ選手のカードが約23万ドル(約2700万円)で取引されるなど、高額な取引も多数発生しています。
海外のNFTユースケース②:LOUIS VUITTON(ルイ・ヴィトン)
LOUIS VUITTON(ルイ・ヴィトン)は、世界的に有名なファッションブランド。2021年8月には、創設者ルイ・ヴィトンの生誕200周年を記念して、NFTアートを活用したモバイルゲーム「LOUIS THE GAME」をリリースしました。「LOUIS THE GAME」は、ルイ・ヴィトンのブランドアンバサダーであるバーチャルキャラクター「ルイ」を操作して、世界中のランドマークを巡る冒険ゲームです。
ゲームをプレイすると、ランダムにNFTアートの抽選券がもらうことができます。「LOUIS THE GAME」では、30種類のNFTアートが用意されており、うち10作品は、約75億円でNFTアートが落札されたことで話題になったアーティスト「BEEPLE」が制作しています。
海外のNFTユースケース③:The Nori Carbon Removal Marketplace
The Nori Carbon Removal Marketplaceは、気候変動の問題解決のために立ち上がった二酸化炭素の売買をするマーケットプレイスです。二酸化炭素は、温室効果ガスの一種であり、地球温暖化の原因となっており、二酸化炭素を減らす方法の1つは、除去することです。除去した二酸化炭素は、NFTの形で企業や消費者に提供されます。
The Nori Carbon Removal Marketplaceでは、二酸化炭素を除去する方法として、植林や土壌管理などが採用されています。除去した二酸化炭素は、1トンあたり1枚のNFTに変換されます。このNFTは、ブロックチェーン技術により、除去された二酸化炭素の量や場所や方法などが証明されます。
海外のNFTユースケース④:Burger King(バーガーキング)
バーガーキングは2021年9月、NFTプラットフォームのスウィートと提携し、NFTに関するキャンペーン「Keep It Real Meals」を実施。このキャンペーンでは、ヒップホップミュージシャンのネリーさん、ブラジルのポップスターのアニッタさん、インフルエンサーのリルハディさんとコラボし、彼らがカスタムオーダーしたバーガーを提供しました。
購入者はミールボックスに表示されたQRコードをスキャンすることで、スウィート上でNFTを獲得でき、NFTは全27種類になります。同じセレブリティの違う種類のNFTを3枚集めると、3DのNFTや賞品への応募権が得られ、賞品にはサイン入りパーカーやビデオ通話などがありました。
海外のNFTユースケース⑤:Spotify(スポティファイ)
Spotifyは、2006年にスウェーデンで創業された音楽ストリーミングサービス大手。スポティファイは、音楽家やポッドキャスト制作者に対してロイヤリティや権利の分配を可能にするサービス「Audius」に出資しました。Audiusは2018年に設立されたスタートアップで、現在約600万人のユーザーと10万人以上の音楽家や制作者が登録しています。
Audiusは、ブロックチェーン技術を用いて、音楽配信の中間業者を排除し、音楽家とファンの直接的な関係を構築することを目指しています。音楽家や制作者は自分の作品をAudius上にアップロードし、NFTとして販売したり、ファンから寄付を受けることができ、また、自分の作品に対するロイヤリティや権利も自分で管理することができます。
国内のNFTユースケース5選

国内のNFTのユースケース5選について、紹介します。
- コインチェック株式会社
- ナッジ株式会社
- 株式会社Coin Post
- タグピク株式会社
- パシフィックリーグマーケティング 株式会社
国内のNFTユースケース①:コインチェック株式会社
コインチェックは、暗号資産取引所とマーケットを連携し、同サービス内でNFTを取引できるようにしています。2021年8月に開設された国内初のNFTマーケットプレイス「Coincheck NFT」では、日本円でNFTを購入・販売することができます。また、コインチェックのアプリから直接NFTを閲覧・管理することもできます。コインチェックは、NFTの普及に向けて、様々なクリエイターや企業とのコラボレーションやオリジナルコンテンツの提供などを行っています。
参考サイト:https://coincheck.com/nft
国内のNFTユースケース②:ナッジ株式会社
ナッジは、クレジットカード利用でNFTをプレゼントし、NFT販売の実証実験を行いました。2021年9月にローンチされた「Nudge NFT」というサービスでは、ナッジのクレジットカードを利用すると、毎月抽選で限定のNFTアートが当たります。
また、2021年10月に日本初のNFTオークションイベント「Nudge NFT Auction」を開催。このイベントでは、人気クリエイターが制作したNFTアートやグッズが競売にかけられました。ナッジは、NFTを通じてクレジットカードの利用促進やブランド力向上を目指しています。
参考サイト:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000100.000073456.html
国内のNFTユースケース③:株式会社Coin Post
コインポストは、暗号通貨(仮想通貨)やブロックチェーンに関するニュースメディアで、2021年12月にサイト内の広告枠をNFT化すると発表しました。NFT化した広告枠は、OpenSeaという世界最大のNFTマーケットプレイスで販売され、広告主は自分のウォレットに保管したNFTを使って自由に広告内容を変更できます。
また、広告枠のNFTは再販や交換も可能で、広告主同士で価値を共有できるという特徴があります。コインポストは、この取り組みによって、広告主とメディアの関係性を変革し、NFTの可能性を示すことを目指しています。
参考サイト:https://coinpost.jp/
国内のNFTユースケース④:タグピク株式会社
タグピクは、所属タレントのNFT制作をサポートし、クリエイターのNFT開発をスムーズにしました。2021年9月には「Tagpic NFT」というサービスを開始し、タグピク所属のタレントやクリエイターが制作したNFTを販売しています。
Tagpic NFTでは、NFTの制作から販売までを一括でサポートしており、クリエイターは自分の作品に集中することができます。タグピクは、NFTを通じてタレントやクリエイターの活動を支援し、ファンとのコミュニケーションを促進することを目的にしています。
参考サイト:https://tagpic.jp/
国内のNFTユースケース⑤:パシフィックリーグマーケティング 株式会社
パシフィックリーグマーケティングは、プロ野球パ・リーグ6球団の記憶に残る名場面やメモリアルシーンの映像をNFTとして提供しています。2021年12月には、「パ・リーグ Exciting Moments β」というサービスを開始しました。「パ・リーグ Exciting Moments β」では、パ・リーグ6球団の選手や監督が選んだ名場面やメモリアルシーンの映像をNFTとして販売しています。
NFTの所有者は、自分だけのコレクションとして閲覧することができ、今後は商品ラインナップの拡大やブロックチェーンを応用したサービスの展開などを行っていく予定です。パシフィックリーグマーケティングは、NFTを通じてプロ野球ファンの満足度向上や新規ファン獲得につなげることを目指しています。
参考サイト:https://www.pacificleague.jp/
NFTを活用することのメリット

NFTをビジネスや事業に活用することのメリット3つを、解説します。
- デジタルコンテンツの価値を高めることができる
- 国や地域、プラットフォームに関係なく取引ができる
- 多方面にビジネスチャンスがある
NFT活用のメリット①:デジタルコンテンツの価値を高めることができる
NFTはデジタルデータに所有権や権利者の情報を記録することで、唯一無二の本物であることを証明できます。これによって、デジタルコンテンツに希少性や付加価値を付与でき、資産価値を高めることができます。
また、NFTはプログラム可能な性質を持ち、作品が権利者の手を離れたあとも手数料収入を得られるなど、様々な設定や条件を付けることができます。これはアーティストやクリエイターにとってもメリットが大きく、NFTを促進させる要因になります。
NFT活用のメリット②:国や地域、プラットフォームに関係なく取引ができる
NFTはブロックチェーン技術によって管理されているため、国や地域などにとらわれず取引できます。2021年の調査によれば、NFTはアジア・北米のほかヨーロッパや中南米などでも幅広く利用されており、世界市場をターゲットにできる点がメリットと言えます。
また、多くのNFTは共通の規格で発行されているため、同じ規格であればさまざまな場所で相互的に運用可能。例えば、ゲーム内アイテムを対象にしたNFTにおいて、Aというゲームのゲーム内アイテムをBというゲームでも使うことが可能です。
NFT活用のメリット③:多方面にビジネスチャンスがある
NFTは代替不可能なデジタル資産であるため、ジャンルを問わずデジタルデータや資産を取引できます。現在はアート作品やゲームアイテムの取引が主流ですが、他の分野にも広がっており、例えばファッション業界では、「DOLCE&GABBANA」がNFTのオークションを開催し、総落札額は6億円に達しました。
ファッション以外にも、スポーツやエンターテイメント業界など、幅広いジャンルで活用が進んでいます。さらに暗号資産やメタバース(仮想空間)とも親和性の高いNFTですが、アートやゲーム以外にも、あらゆるジャンルの新たなビジネスチャンスとなる可能性は高いでしょう。
NFT活用事例まとめ
NFTとは、ブロックチェーン技術を用いてデジタルデータに唯一性を持たせることで、資産として扱えるようにする技術です。この記事では、国内・海外のNFT活用事例10選を紹介しました。NFTはアート作品や音楽作品などのクリエイティブ分野だけでなく、金融、不動産、チケット販売、ゲームなど、さまざまな分野で活用されています。
NFTを活用することで、デジタルデータの所有権が証明でき取引に透明性が生まれる、販売方法を柔軟にカスタマイズできる、所有権が明確なデジタルデータを出品して利益を得られるといったメリットがあります。NFTはまだ発展途上の技術であり、その可能性はまだまだ広がっていきます。ぜひ、NFTに触れてみてください。
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