2025年に入り、ビットコイン(BTC)は再び過去最高値圏に迫りつつあります。「もう遅いのでは?」「今から参入しても間に合わないのでは?」と悩むリテール投資家は少なくありません。特に、2017年や2021年のバブル相場を逃した人にとっては、今から億り人(=純資産1億円超)を目指すことに現実味を感じられないかもしれません。しかし、価格予測や成長要因、長期保有によるリターン実績を冷静に分析すると、少額投資からでもチャンスが残されていることが見えてきます。
本稿では、2025年のビットコイン市場を踏まえた“今から億り人になるには遅いのか?”という問いに対し、投資金額別のシナリオや専門家の見解をもとに解説します。
億り人とは何か?

「億り人(おくりびと)」とは、株式やFX、暗号資産(仮想通貨)などの投資・投機によって純資産が1億円を超えた人を指す日本独自の俗称です。
この言葉が広く知られるようになったのは、2017年の暗号資産バブル期。急騰したビットコインやアルトコインにより、多くの個人投資家が1億円超の資産を築きました。実際、2017年には年間で1億円超の所得を申告した暗号資産投資家が日本全国で331人いたと国税庁が発表しています。
関連記事:ビットコインはいつ1億円になる? 最新予測と投資戦略【2025年版】
今から参入する“普通の人”でも億り人を目指せるのか?
結論から言えば、「今からでも遅くはありません」。ただし、それは「少額でBTCをちょっと買えば勝手に億れる」という意味ではありません。
例えば、2025年5月現在のビットコイン価格が約1,400万円だとして、1BTCを保有しておけば、将来価格が7倍(≒1億円)に到達すれば億り人達成となります。ですが、多くの人にとって「1BTC=1,400万円」は現実的な投資額ではありません。
そこで重要になるのが、
- 「どれくらいの金額を、どの期間で、どのように持てばいいのか」
- 「仮に数十万円〜数百万円しか投資できなくても、それがどう膨らむ可能性があるのか」
という視点です。
たとえば、
- 毎月3万円をビットコインに積み立てていけば、1年で36万円、10年で360万円。
- 過去のビットコイン平均年利(年40〜60%)が再現された場合、10年で4〜10倍に成長する可能性もある(例:360万円→1,500万〜3,000万円)。
それでも1億円には届きませんが、「数千万円単位の資産形成」は無理ではありません。また、0.1BTC(=約140万円)だけを購入して保有し、10倍になれば評価額1,400万円。分散投資と合わせれば「サテライト資産戦略」の中で現実的に狙えます。
しかも現在は、
- ドルコスト平均法(DCA)で手軽に積立可能
- 日本の規制も整備されてきており、安全性も以前より向上
- ETF承認などで「個人→機関」の順で資金流入している段階
つまり、「リテール投資家が先に動いておけば、後から大口が支えてくれる相場」になりつつあるのです。
もちろんリスクはあります。価格が一時的に50%以上下がることも普通にあり得ますし、税制もまだ重たいです。ただ、それでもBTCは「時間を味方にした投資」で成果を出してきました。
2025年は、高値圏ではあるものの、“すでに乗り遅れた人たち”にとっての再スタート地点になり得るタイミングです。
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投資金額別に見る「億り人」現実シナリオ

※2025年5月時点の想定為替:1ドル=140円、1BTC=10万ドル(約1,400万円)
「ビットコインは今からでも遅くない」と言われても、実際いくら投資すれば億り人を目指せるのか、見通しを立てづらい方も多いはずです。そこで、以下に金額別の想定シナリオをまとめました。将来価格が5倍〜15倍になった場合の評価額を比較しながら、現実的な目標を見極めましょう。
投資額 | 保有BTC目安 | 5倍(50万ドル) | 10倍(100万ドル) | 15倍(150万ドル) | 億り人到達? |
---|---|---|---|---|---|
10万円 | 約0.007BTC | 約50万円 | 約100万円 | 約150万円 | ✕ 無理 |
100万円 | 約0.071BTC | 約500万円 | 約1,000万円 | 約1,500万円 | ✕ 厳しい |
1,000万円 | 約0.71BTC | 約5,000万円 | 約1億円 | 約1.5億円 | ◎ 達成可能 |
月3万円×10年 (総額360万円) | 約0.25BTC | 約2,500万円 | 約5,000万円 | 約7,500万円 | △ 近づける |
リテール投資家にとっての“現実的な道筋”
- 10万円以下の少額投資は「未来のチケット」感覚。期待値より参加経験が目的になるケースが多い。
- 100万円前後の投資は“億”には遠いが、10年スパンで数倍を狙える範囲。副収入化や学びの入口として最適。
- 1,000万円規模の投資で初めて“億り人”が現実的に見えるゾーン。ただし生活資金を切り崩してまで投じるのは危険。
- 月3万円積立(DCA)でも、長期で続ければ5,000万円以上の資産形成が見込める。初心者にとっては最も実行しやすく、心理的負担も小さい。
1. 10万円の投資で“億り人”は無理?
10万円で買えるBTCは、現在価格(1BTC=10万ドル=約1,400万円)ではわずか0.007BTC程度。たとえビットコインが10倍(100万ドル)に上がっても、評価額は約100万円ほどです。
▶ 現実的には「価格上昇の恩恵を受けてみたい」「保有経験を持ちたい」といった“参加チケット”としての意味合いが強い金額です。
2. 100万円の投資でどこまでいける?
100万円なら約0.071BTCの保有が可能。将来的に1BTC=100万ドル(約1億4,000万円)になれば、評価額はおよそ1,000万円前後に。
▶ 億り人には遠いものの、長期で数倍〜10倍のリターンを狙える可能性があります。DCAと分散投資を組み合わせれば、現実的な資産形成手段に。
3. 1,000万円を一括で投資したら?
約0.71BTCが手に入るため、将来的にBTCが70万ドルを超えれば評価額は1億円に到達。
▶ ハードルは高いですが、「BTC価格がARK社の2030年目標(50〜240万ドル)に達する」という前提を信じるなら、“億り人最短ルート”といえるでしょう。ただし、フルベットは避け、リスク分散や税制理解は必須です。
4. 月3万円の積立(DCA)を10年継続した場合
- 積立額:360万円
- 仮に平均購入単価:20万ドル/BTC(≒2,800万円)
- 将来BTCが100万ドル(≒1.4億円)なら、評価額は約1,800万円前後に成長可能
▶ 無理なく続けられる範囲で10年ホールドすれば、“1,000万円を超える資産形成”も現実味を帯びてきます。価格変動に一喜一憂せず、時間を味方に付けるDCA戦略は初心者に特に有効です。
主要なビットコイン価格予測(2025年〜)
ビットコインの今後について、多くの著名金融機関や投資家が強気な予測を出しています。特に2025年は大幅上昇を見込む声が目立ちます。
主要機関・専門家の予測まとめ
予測主体・人物 | 価格予測(時期) | 主な根拠・コメント |
---|---|---|
スタンダードチャータード銀行 | 20万ドル(2025年末) | インフレ・高金利で法定通貨離れ、機関マネー流入、ETFなど供給減少 |
Bitwise | 20万ドル(2025年) | 現物ETF承認による新規マネー流入 |
ARKインベスト | 71万ドル(2030年) | 金代替・ネットワーク効果・需給タイト化 |
Fundstrat | 25万ドル(2025年強気) | ETF承認による供給ショック、極端なケースでは準備資産採用も |
VanEck | 18万ドル(2025年強気) | 富裕層・オフショア資産の流入、ETF承認の制度進展 |
Bloomberg Intelligence | 13.5万ドル(2025年) | 金ETF等との比較、ボラ低下・成熟化前提 |
J.P.モルガン | 14.5万ドル(2025年) | 金とのリスク調整後価値、機関投資家の受容拡大 |
ロバート・キヨサキ | 25万ドル(2025年) | 法定通貨崩壊へのヘッジ、「BTCで資産防衛」 |
アーサー・ヘイズ | 100万ドル(2028年) | 米国債価値低下・資本逃避、FRBの金融緩和 |
予測の背景・共通点
- 機関投資家の参入とETFの普及が価格押し上げの主因とされる
- インフレ・金融不安で法定通貨離れが進み、ビットコインの「デジタルゴールド」需要が拡大
- 需給タイト化やクジラの買い集めで流通量が減りやすい環境
- 長期的には複数市場での需要拡大や新興国需要も指摘されている
実際、25年5月時点で、ビットコインが米国国債および伝統的金融(TradFi)リスクに対するヘッジとしての役割を担っていることが指摘されています。スタンダードチャータード銀行のデジタル資産リサーチ責任者ジェフ・ケンドリック氏がBeInCryptoへ以下のように語っています:
ビットコインはTradFiと米国国債リスクの両方に対するヘッジだと思う。ビットコインのポートフォリオにおける第一の目的は、既存の金融システムに対するリスクに対するヘッジであり、その分散型台帳によるものだ
関連記事:ビットコイン、時価総額でグーグルとアマゾンを逆転 | 米国暗号資産ニュース
実現した場合のインパクト
多くの専門家が「2025年には今の2倍~5倍」「長期的にはさらに上振れ」と強調。1BTC保有で“億り人”達成も現実味を帯びてきています。
今後も、ETF承認動向やマクロ経済の変化が大きな鍵となりそうです。
長期保有戦略のリターン:過去実績と将来性

ビットコインで“億り人”を目指すなら、短期売買より長期保有(HODL)が有効であることは過去のデータが証明しています。
ここでは、実際のリターン実績と今後の展望を簡潔に整理します。
過去のリターン実績

- ビットコインは他資産を圧倒
過去5年の平均年リターンは約155%。同期間の金(ゴールド)は7%程度で、大きく上回っています。
10年スパンでも平均49%の年リターンと、主要な株価指数を凌駕しています。
ビットコイン誕生以来、累計で数万%超の上昇を記録し「史上最高の投資対象」とも呼ばれます。 - 4年以上の長期保有で全てプラス
ビットコインは乱高下が激しい一方、いかなる4年間でもトータルでプラスの実績。
例:- 2017年末の高値(約2万ドル)で買って暴落しても、4年後の2021年末には約2倍(+133%)。
- 2013年末の最高値$1,242で買った場合も、2017年末には8倍(+694%)に。
深刻な暴落を挟んでも、十分な期間ホールドすれば最終的に利益が出ていることが歴史で裏付けられています。
- 過去実績が未来を保証するわけではないが
2010年代から約13年間、長期保有戦略が功を奏してきた事実はデータで証明されています。
専門家も「4年は寝かせる心構え」が肝心と指摘しています。
一方でアナリストのウィリー・ウー氏は、ビットコインの複利年間成長率(CAGR)は今後8%程度で安定すると予測しています。

ウー氏は、「2017年には年率100%以上だったビットコインのリターンが、2020年以降は30〜40%に急落した」とチャートをもとに指摘。この時期は企業や政府といった主要な機関投資家によるビットコインの蓄積が本格化したタイミングでもありました。
人々はBTCを無限に月光で上昇する魔法のユニコーンのように考えている。これが実際のCAGRチャートだ。我々は2017年の100%以上の成長を見た年をはるかに過ぎている
ウー氏は、今後15〜20年かけてビットコインのCAGRはさらに低下し、最終的には8%程度で安定すると見ています。この数字は長期的な貨幣成長率(5%)やGDP成長率(3%)と同程度です。
それでもウー氏は、「CAGRが低下してもビットコインは他の多くの公開取引資産を上回る」と強調しています。
関連記事:ビットコインはまだ利益を生むか 分析者がBTCの将来を議論
ハイリスクな近道:「レバレッジ」や「先物取引」の危うさ

短期間で資産を何倍にも増やそうと、レバレッジ取引や先物取引に手を出す個人投資家は後を絶ちません。しかし、その実態は極めてリスクが高く、軽い気持ちで踏み込めば一瞬で全資金を失う危険性と隣り合わせです。
レバレッジをかければ、確かに少額で大きな取引ができるものの、相場が思惑と逆に動けば損失も一気に膨らみます。10倍のレバレッジなら価格が10%動いただけで資金は全て吹き飛びます。実際、暗号資産オンチェーン分析企業CryptoQuantのCEOであるキ・ヨン・ジュ氏は、高いリスクを伴うレバレッジ取引を行う投資家に対して次のように警告を発しています::
2倍以上のレバレッジは絶対に使うな。本当に、やめておけ。大量のレバレッジを勧めながら生き残り、成功を収めた投資家を見たことは一度もない
「ハイリスク・ハイリターン」という言葉は、資産を失うリスクの裏返しです。ボラティリティの大きい暗号資産市場では、熟練のトレーダーでさえ損失を避けきれません。億り人を目指して安易にレバレッジ取引へ走ることは、結果的に資産を失う“近道”になりかねません。
ビットコイン長期保有者が増加する背景
2024年から2025年にかけて、ビットコイン(BTC)の長期保有者(HODLer)が増加傾向にあります。主な要因は以下の通りです。
- 2024年に米国で初の現物ビットコインETFが承認されたことや、4度目の半減期到来、米大統領選・金融政策転換といったイベントが重なり、市場に強気ムードが広がりました。
- 機関投資家による資金流入が加速し、ビットコインをインフレヘッジや「デジタルゴールド」として長期保有する動きが強まっています。
- 日本でも2017年の改正資金決済法でビットコインが合法化され、取引所インフラが整備。個人投資家も安心して参加できる環境が整いました。
オンチェーンデータでも、2023年末時点でビットコイン供給の過半数を長期投資家が保有し、2025年5月にはLTH(長期保有者)の総保有量が1,437万BTC(推定発行済みの7割超)に到達。この間、短期保有者が売ったBTCより長期保有者の買い増しペースが上回り、市場を下支えしています。
金融緩和期待やビットコインの希少性・規制整備による安心感も重なり、「売らずに持ち続ける」投資家が今後も市場を支える存在となっています。実際、米国財務省はビットコインの主な役割について次のように述べています:
ビットコインの主な用途は価値の保存、すなわち分散型金融(DeFi)の世界における『デジタルゴールド』であるようだ
この見解からも、ビットコインは分散型金融の中核的な価値保存手段として認識されていることが分かります。
関連記事:FOMCとビットコイン価格|米金融政策がBTCを揺さぶる理由
ビットコインで“億り人”への現実的な道筋

今の価格から「1億円」到達に必要な条件
現在(1BTC=約1,400万円)から1億円達成には7倍超の価格上昇が必要です。ARKインベストが予測する2030年の70万ドル到達なら、1BTC保有で億り人となります。0.5BTC保有なら、価格が140万ドル付近まで上昇すれば達成です。
専門家の予測ライン
2025年末の多くの専門家予測(15万~25万ドル)ではまだ億り人到達には至りません。しかし、長期的には複数の専門家が100万ドルを超える強気予測を示しており、そのシナリオが実現すれば少額保有でも億り人は現実的に狙えます。
市場成熟と投資対象としての価値
かつてのような爆発的な価格急騰は期待薄ですが、市場が成熟し、資産クラスとしての安定性と信頼性は向上しています。株式などの伝統資産より高い成長ポテンシャルは依然として魅力的であり、長期保有の価値は健在です。
リテール投資家がとるべき現実的な戦略
10万円未満の投資は参加経験が主目的ですが、100万円規模なら長期的に数倍~10倍の成長が見込め、副収入化を狙えます。1,000万円規模でようやく億り人が視野に入りますが、無理な資金投入は避けるべきです。最も現実的なのは月3万円の積立(DCA)を10年継続する戦略で、心理的負担も少なく数千万円単位の資産形成が可能です。
リスク管理を徹底した長期保有が王道
ビットコインは4年以上の保有で必ずプラスリターンとなってきました。短期的なハイリスク取引(レバレッジ、先物)は大きな損失リスクがあり避けるべきです。専門家も「短期的な一攫千金ではなく、将来性を信じて長期的に保有すること」を現実的な億り人への王道として推奨しています。
まとめ:ビットコインで億り人はもう遅いわけではないが長期戦略が重要

2025年現在、ビットコイン価格は高値圏にありますが、それでも“億り人”を目指すことが不可能になったわけではありません。確かに、過去のような数十倍の爆発的成長は見込みにくくなりましたが、専門家の予測や市場の成熟度、そしてETF承認をはじめとする制度的な追い風を踏まえると、今からでも十分に資産を数倍に伸ばせる可能性は残されています。
ただし、その実現には冷静な判断と長期的な視野、そして自分の投資スタイルに合った金額設定が不可欠です。10万円であれば将来の“種”として、100万円〜1,000万円であれば現実的な成長戦略として、また毎月の積立であれば心理的にも無理なく資産形成を狙えます。
大切なのは「いくら増えるか」ではなく、「いくらなら納得して投資を続けられるか」。焦らず、欲をかかず、時間と分散を味方にして、今このタイミングから自分なりの戦略で一歩を踏み出すことが、“億り人”への最も現実的なスタートラインとなるでしょう。
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