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メルカリNFTとは?

22 mins
更新 Shota Oba

ヘッドライン

  • メルカリNFTは、2025年1月に開始されたNFTマーケットプレイスで、メルカリの売上金やメルペイを使ってNFTを取引できる仕組みを採用し、初心者でも手軽に利用できる点が特徴です
  • OpenSeaと連携し人気NFTの売買が可能ですが、NFTの外部ウォレットへの出庫は不可で、取引キャンセルもできないなど、利用にはいくつかの制約があります
  • メルカリNFTの普及がWeb3市場拡大の一助になると期待される一方、既存の暗号資産ユーザーからは中央集権的な管理や制限に対する批判もあり、今後の展開が注目されています

メルカリは、従来のフリマアプリとしてのサービスに加え、暗号資産やデジタル資産の分野にも事業を拡大しています。その一環として2025年1月28日に提供を開始したのが、NFTマーケットプレイス「メルカリNFT」です。従来のNFT取引は、専用ウォレットの作成や暗号資産の管理が必要で、初心者にはハードルが高いものでした。しかし、メルカリNFTは、メルカリの売上金やメルペイを使い、アプリ内でNFTの売買ができる仕組みを採用しているため、手軽にNFT取引を始めることができます。

本稿では、メルカリNFTの概要やメリット・デメリット、そしてローンチ後に議論された点の考察などをわかりやすく解説します。

メルカリの暗号資産サービス「メルコイン」とは?

メルカリで暗号資産を扱うサービスは、メルコインが提供する新しい経済体験として、2023年3月にリリースされました。メルカリの暗号資産サービスの最大の特徴は、メルカリ内で得た売上金やお友達招待などで獲得したポイント、金融機関からチャージした残高を使ってビットコイン・イーサリアムを購入できる点です。現金を直接入金する必要がなく、初心者でも手軽に取引を始められます。このほかにもステーキング機能など多様な機能を展開しています。

メルカリアプリ内ですべての取引が完結するため、他のプラットフォームを使う手間がなく、スムーズに管理できます。さらに、ビットコインを使って商品を購入できるため、暗号資産を実生活で活用できる利便性も高いです。

メルカリは暗号資産取引所としても成長を続けており、口座数は「ちょうど昨日時点で300万を超えた」とメルコイン代表取締役CEOの中村奎太氏が24年12月発表しました。そのうち86%は暗号資産取引が初めてのユーザーです。2024年11月に発表された決算によると、メルコインの2025年6月期第1四半期(2024年7-9月期)の暗号資産取引による収益は2億7100万円で、前年同期の3000万円から約9倍に伸びました。

メルカリの売上金の使い道では、「暗号資産の購入」が40.9%を占め、買い物に次いで2位となりました。「メルペイ・メルカードの清算」を上回り、暗号資産への関心の高さがうかがえると中村氏は指摘しています。

関連記事:メルカリを使ったビットコイン投資の始め方

メルカリのNFTマーケットプレイス「メルカリNFT」とは?

メルカリNFTは、メルカリが2025年1月28日より提供を開始したNFTマーケットプレイスです。従来の物品売買に加えて、NFTの取引が可能となりました。

同サービスでは、海外の大手NFTマーケットプレイスであるOpenSeaと連携し、人気NFTの購入・出品ができます。これにより、利用者は特別なウォレットや暗号資産取引の知識がなくても、メルカリの売上金やメルペイを用いて手軽にNFTを取引することが可能です。

メルカリは「あらゆる価値を循環させ、あらゆる人の可能性を広げる」というミッションのもと、月間2,300万人の利用者と累計40億品の出品を誇るマーケットプレイスを展開してきました。さらに、メルペイによる決済・与信事業の拡大や、メルコインを用いた暗号資産取引の提供など、多様な価値循環を生み出しています。同サービスの開始によって、物品や金融サービスに加え、デジタル資産の取引がより身近になりました。

関連記事:メルカリ、NFTマーケットプレイス「メルカリNFT」をローンチ

メルカリNFTの特徴

メルカリNFTには、以下の特徴があります。

  • 簡単な取引
    メルカリの売上金やメルペイ残高を使って、手軽にNFTを購入できます。
  • ブロックチェーンを使わない管理
    通常のNFTはブロックチェーン上で保有情報が管理されますが、メルカリNFTではブロックチェーンを介さずにメルカリ内でNFTの所有情報を管理します。
  • シンプルな出品
    NFTを購入後、そのままメルカリNFTで出品可能です。他のプラットフォームで購入したNFTの出品はできません。
  • 手数料体系の明確化
    購入時の取引手数料は無料ですが、出品したNFTが売れた場合、販売価格の10%が手数料として差し引かれます。

メルカリNFTの利用方法

購入方法

メルカリNFTの購入は、以下の支払い方法で可能です。

支払い方法詳細
メルカリポイント貯まったポイントを利用可能
メルペイ残高メルカリの決済システムを活用
メルペイのスマート払い(翌月払い)翌月一括で支払えるサービス
メルカード(翌月払い)クレジットカード感覚で利用可能

なお、一部の支払い方法は利用できない場合があります。

出品方法

  1. 購入したNFTを「持ち物・出品」画面で確認
  2. 出品価格を設定し、出品手続きを進める
  3. 販売成立後、売上金を受け取る

出品時に追加の手数料は発生しませんが、販売成立時に10%の販売手数料が発生します。

メルカリNFTの注意点

  • 同サービスではコメント機能や取引メッセージ機能が利用できません。
  • 購入手続き後のキャンセル・返金はできません。
    「購入完了までに20分以上かかることもある」という報告もあり、慎重な取引が求められます。
  • 海外では利用できません。
    日本国内でのみサービスが提供されており、海外ユーザーは利用できません。
  • NFTの外部ウォレットへの出庫は不可です。
    メルカリNFT内での取引に限定され、他のウォレットにNFTを送ることはできません。
  • メルカリサービスの利用制限が適用される可能性があります。
    メルカリの利用が制限されている場合、NFT取引も制限されることがあります。
  • メルカリNFTでは、誤ったウォレットアドレスを申告し、そのアドレス宛にNFTが送付された場合でも、同社は一切の責任を負わないと明言しています。誤送付されたNFTは取り戻すことができず、返金にも対応できません。
  • クリエイターへのロイヤリティも提供されません。

メルカリNFTの通知機能

メルカリNFTでは、以下のタイミングで通知が届きます。

  • 商品を購入したとき
  • 商品が売れたとき
  • 商品がキャンセルされたとき

通知はメルカリ内の「あなたへのお知らせ」で確認できます。

プッシュ通知やメール通知をオフにする場合は、「マイページ>お知らせ・機能設定」の「取引関連」の項目をオフにしてください。

メルカリNFTのアクセス方法

メルカリNFTにアクセスする方法は以下の2つです。

  1. メルカリアプリまたはWebブラウザで「マイページ>メルカリNFT」をタップ
  2. Webブラウザで「https://nft.jp.mercari.com/」にアクセス

※アカウントのログインが必要です。

メルカリNFTの退会・相続手続き

退会方法

  • メルカリNFT単体での退会はできません。
  • メルカリのアカウントを削除することで退会可能です。
  • 退会時にNFTを保有している場合、その権利は放棄されます。
  • 退会フォーム上で「NFTに関する権利を放棄します」に同意する必要があります。
  • 退会後にアカウントを復活しても、保有していたNFTを再び利用できません。
  • 出品中のNFTは、退会時に自動で取り下げられます。

「メルカリNFTの利用料は無料なので、NFT機能を使わずにメルカリの利用を続けることを推奨します。」と記載されています。

相続時の手続き

  • アカウント名義人が亡くなった場合、保有NFTは相続可能です。
  • 所定の手続き完了後、相続先アカウントへ移管できます。
  • 相続手続きの詳細については、メルカリの公式ガイドを確認する必要があります。

メルカリNFTのメリット・デメリット

項目メリットデメリット
ウォレット管理運営がウォレットを一元管理するため、ユーザーがウォレットを作成する必要がなく、ハッキングリスクがほぼゼロ自分のウォレットで管理できないため、NFTの自由な移動が制限される
ガス代取引時にガス代が不要で、追加コストを気にせず売買できる他のNFTマーケットプレイスと異なり、ブロックチェーン上での直接取引ができない
決済方法日本円での決済が可能で、メルカリの売上金を使ってNFTを購入できる暗号資産を用いた決済には対応していない
海外NFT市場との連携OpenSeaと連携しており、海外のNFTプロジェクトにもアクセス可能OpenSeaなどの他マーケットプレイスへの出庫や同時出品ができない
クリエイター向け機能多くのユーザーにアプローチできるため、新規顧客を獲得しやすいクリエイター向けのロイヤリティ制度がなく、二次流通での収益化が困難
NFTの出庫現物償還NFTは出庫対応済み一般的なNFTは外部ウォレットに出庫できないため、利用用途が限定される
アプリ対応Webブラウザで簡単に利用可能モバイルアプリでは利用不可
ブロックチェーンゲーム(BCG)との連携一部のNFTは出庫可能なため、将来的な活用の可能性あり現状、ゲームでの利用が難しく、最も需要のあるNFT市場をカバーしきれていない

メルカリNFTは、ウォレット不要・ガス代不要・日本円決済対応といった利便性の高さから、初心者でも手軽にNFTを取引できる点が大きな強みです。また、OpenSeaとの連携により、国内市場にとどまらずグローバルなNFT市場とも接続されています。

一方で、NFTの出庫が制限されている点や、クリエイター向けのロイヤリティ制度がない点など、自由度の低さが課題となっています。特に、ブロックチェーンゲーム(BCG)との連携が弱いため、現状では主要なNFTのユースケースに対応しきれていません。しかし、すでに現物償還NFTの出庫には対応しており、今後の機能拡張によってさらに利便性が向上する可能性があります。

関連記事:NFTはオワコンなのか?NFTの使い道を解説

メルカリNFTローンチ後に飛び交う批判と擁護

暗号資産インフルエンサーのJoe Takayama氏は、メルカリNFTに対して否定的な立場を取っており、その背景にはメルカリの過去の暗号資産関連の取り扱いがあると指摘しています。特に、メルカリが「外部に出せないBTCのようなものを高額なスプレッドを乗せて販売している」ことを問題視し、これが暗号資産業界の信頼を損なう可能性があると懸念しています。同様に、NFTの販売においても高い手数料を設定し、暗号資産コミュニティの価値観とは異なる形で提供されていることが批判の要因になっていると述べています。

同氏によると、こうした状況に対し、暗号資産ユーザーの間では「スキャム(詐欺)に近い」との認識が広がり、受け入れられにくくなる可能性があるといいます。一方で、2000万人以上のメルカリユーザーにとっては、新たなNFT市場への入り口ともなり得ると見ています。

同氏は、メルカリNFTの今後の展開次第では、現在の形に不満を持つユーザーが、より分散型の方法でNFTを管理する方向に移行する可能性があると見ています。この流れはETFの導入と似た側面を持ち、ブロックチェーン技術への関心を高めることが重要だと述べています。ただし、現在NFT市場で活動しているユーザーと、メルカリNFTを通じて参入する新規ユーザーは、当面は交わらないだろうとも分析しています。また、メルカリNFTの影響で既存のNFTプロジェクトがユーザーを奪われる可能性についても言及し、業界内の既存プレイヤーが競争力を高める必要があると指摘しています。

フィナンシェの國光宏尚CEOは、一部の批判があるものの、メルカリNFTは市場拡大に貢献するとし、ポジティブに評価しています。特に、メルカリの参入がNFTの普及を加速させると期待しています。

同氏は、メルコインの暗号資産アカウント数が2年弱で300万を超え、ビットフライヤーやコインチェックを上回ったことを挙げ、メルカリの影響力の大きさを強調しています。また同氏は、「今年のテーマはマスアダプション」と述べ、メルカリやLINEといった大手企業の参入が、一般層への普及を加速させる要因になると見ています。

また、DeFimans & Messari Japan共同代表のMitsushi Ono氏は、メルコインが1年で200万口座を突破した点を挙げ、日本でWeb3の普及を最も推進した事業者の一つと評価しています。メルカリのNFTサービスについても、一般消費者の行動を踏まえた設計になっているとし、暗号資産ネイティブ層の評価だけではビジネスは成立しないと指摘しています。

同氏自身、既存のNFTマーケットプレイスとは異なる仕様に一瞬驚いたものの、ターゲット層に応じた多様なサービスの必要性を認めています。さらに、オンチェーンDeFiユーザーには理解しにくい仕様でも、直感的に使えるサービスの方が普及しやすいとし、メルカリNFTの方向性を肯定的に評価しています。

関連記事:NFTマーケットプレイスとは?使い方や注意点を解説

まとめ:メルカリNFTのローンチによる市場動向に注目

メルカリNFTは、メルカリが提供する手軽なNFTマーケットプレイスであり、OpenSeaの人気NFTを購入・出品できる点が最大の特徴です。支払いはメルカリの決済方法を利用でき、特別なウォレットは不要なため、初心者でもNFT取引を始めやすい環境が整っています。しかし、ブロックチェーン上での管理がないため、従来のNFTとは異なる仕様である点には注意が必要です。また、キャンセル不可・海外利用不可・外部ウォレット非対応などの制約もあるため、利用する際にはルールをよく確認することが重要です。メルカリNFTを利用することで、より多くの人がNFTの世界に触れる機会が増えることが期待されます。

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Shota Oba
国際関係の大学在籍中に国内ブロックチェーンメディアでのインターンを経て、2つの海外暗号資産取引所にてインターントレーニング生として従事。現在は、ジャーナリストとしてテクニカル、ファンダメンタル分析を問わずに日本暗号資産市場を中心に分析を行う。暗号資産取引は2021年より行っており、経済・社会情勢にも興味を持つ。
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