マーク・ザッカーバーグ氏が3年ぶりにX(旧ツイッター)で発言し、Muse Spark 1.1およびMeta Model APIを発表した。外部開発者向けでは初の有償プラットフォームとなる。Metaは、この発表でOpenAI、Anthropic、グーグルに対抗する構え。
このモデルはコスト競争力を持つ。Metaは低価格で開発者の支持を獲得し、競合他社の利益率に圧力をかける戦略。しかし、発表後もMETA株はわずか2%上昇したのみで、大きな動きはなかった。
Muse Spark 1.1の特徴
Muse Spark 1.1は、業界で「エージェンティック・モデル」と呼ばれるタイプ。質問への回答だけでなく、行動するために設計されている。タスク計画、ソフトウェアやツールの活用、デスクトップ・モバイル・ブラウザを横断するコンピュータ操作が可能。
このモデルは、長く複雑な工程にも対応。記憶できるトークン数は最大100万個と、短編書籍に匹敵し、同時並行的に動作する補助エージェントで作業分担も行う。
Metaによれば、コード生成・修正にも強み。テキストだけでなく画像や動画も読み取る。長時間のマルチモーダルタスクにも対応できるという。Meta AIアプリやmeta.aiの「Thinking」モードで利用可能。
「Muse Spark 1.1はエージェントとしての性能、ツール活用、コンピュータ操作で最強である」とザッカーバーグ氏が記した。
エージェンティックモデル市場で価格競争
Metaの主張は「価格競争力」。料金は入力トークン100万個につき1.25ドル、出力トークン100万個につき4.25ドル。AnthropicのClaude Sonnet 5(入力3ドル、出力15ドル)より安く、最廉価モデルClaude Haiku 4.5に近い水準。
ザッカーバーグ氏は、この動きを競合他社の利益率に直撃するものと説明した。
「他社ラボの価格は極端に高く、利益率も非常に高い。当社には最先端や高度な知能を、より手ごろなコストで提供できる力がある」とブルームバーグはザッカーバーグ氏の発言を報じた。
Metaだけではない。イーロン・マスク氏率いるSpaceXAIも、コーディング系スタートアップのCursorと連携し、同日にGrok 4.5を公開。
こちらも低価格なエージェンティックモデルで、入力トークン100万個2ドル。Metaの1.25ドルはそれをさらに下回る。マスク氏は「Jinx」、続けて「Same time」と同時公開を指摘した。
Meta Model APIは木曜日に発表され、外部開発者がMuse Spark 1.1を自らのアプリに初めて組み込める。新規登録者には20ドル分のクレジットが無料付与される。
これは市場シェア拡大のために無料公開していたオープンウェイトのLlamaモデルからの大きな転換。Muse Spark 1.1は、今年4月にSuperintelligence Labsから登場した推論モデルに改良を加えたものであり、このラボは昨年のScale AI買収(143億ドル)でAI担当責任者となったアレクサンドル・ワン氏が率いる。
コードプラットフォームのReplitやClineが初期パートナー。
META株が動かなかった理由
木曜日の取引時間中に株価は一時2%近く上下したが、607ドル近辺の一時的な上昇を戻し、終始横ばい推移。本稿執筆時点でMETA株は614.61ドル。AIへの期待は以前から強かったこと、投資家が費用に注目し続けていることが要因とみられる。
Metaは、2026年の設備投資予算を最大で1450億ドルに引き上げた。2025年に支出した720億ドルのおよそ2倍にあたる。この発表を受け、同社株は6%超下落した。
こうした負担は、いまに始まったことではない。MetaはAI分野への投資を進めるため、本年これまでに約8000人を削減した。大口投資家の一部は、Google株への乗り換えも進めている。
モデルへのアクセス提供は、広告収入以外の新たな収益源である。Metaが急ピッチで整備を進めるAIデータセンターと連動した事業だが、現時点ではまだ規模は小さい。
この反応から、ウォール街が基準値の先を見据えていることがうかがえる。今後数週間で、開発者が競合製品ではなくMetaの低価格サービスを選ぶかが、本当の試金石となる。









