ナンシー・ペロシ氏とキャシー・ウッド氏、取引巧者はどちらか?

  • ナンシー・ペロシ氏の公開株取引は、2014年以降キャシー・ウッド氏のARKを上回っている。
  • クイバーの仮想ペロシ戦略は年率約21%で複利運用され、ARKKの13.4%を上回る。
  • ARK社は日次での透明性を強調するが、ARKKは2022年に約67%下落した。
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ナンシー・ペロシ氏とキャシー・ウッド氏は、市場で最も注目される株式投資家である。両者は正反対のタイミングで投資判断を行うが、10年分のデータを比較すると、明確な優劣が見える。

この7月、その対比が鮮明となった。ARKは、サークル株の大手銀行認可獲得の前日に同株を買い付けた。

ペロシ氏 vs キャシー・ウッド氏:数値で見る比較

Quiver Quantitativeは、ペロシ氏の家族による公開取引報告からポートフォリオを再構築する仮想「ナンシー・ペロシ」戦略を運用している。2026年7月中旬時点で、2014年5月からの年率換算リターンは約21%に達した。

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ナンシー・ペロシ氏の取引履歴 出典:Quiver Quantitative
ナンシー・ペロシ氏の取引履歴 出典:Quiver Quantitative

この数字はあくまでバックテストであり、実際の運用成績ではない。日々再計算される。 同日時点で、仮想ポートフォリオの勝率は約73%、取引回数は731回、最大ドローダウンは約37%だった。

ARKの主力ファンドであるARKイノベーションETF(ARKK)の年率換算リターンは、2014年10月の立ち上げ以降で約13.4%。累計リターンは300%超。

Quiverの試算では、ペロシ氏のバックテストはARKKの成績を2倍以上上回る。S&P500指数も同期間を通じて凌駕した形だ。

ナンシー・ペロシ氏 vs キャシー・ウッド氏:どちらの投資タイミングが優れているか
ナンシー・ペロシ氏 vs キャシー・ウッド氏:どちらの投資タイミングが優れているか

ポール・ペロシ氏の投資が勝ち続ける理由

ナンシー・ペロシ氏自身が株取引を行っているわけではない。実際の運用は、長年投資家として知られる夫のポール・ペロシ氏による。

同氏の投資手法は一貫している。大型テクノロジー企業のコールオプションへの集中投資が中心。

結果は目を見張るものがある。2024年、ペロシ氏のポートフォリオは約70.9%上昇。Unusual Whalesの推計による。S&P500指数の上昇率は24.9%。

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同レポートでは、ペロシ氏が際立つオプション取引の運用者であると指摘された。一方で、議会で積極的に取引を行う国会議員のおよそ半数しか市場平均を上回らなかった。

この優位性は近年に始まったことではない。2011年の研究では、米下院議員の購入株を模倣したポートフォリオが市場平均を年間約6%上回っていた(調査期間は1985年から2001年)。

ただ、こうした証拠には異論もある。2022年の論文では、STOCK法による取引公開義務化以降、議員が市場平均を上回る根拠は見いだされなかった。

投資家がこの戦略を真似したい場合、落とし穴も存在する。STOCK法では、国会議員は最長45日後まで取引開示を延期可能。

書類が開示された時には、すでに有利なエントリー価格は消えている。タイミング良く行われた他の議会関係者の株式取引も同様の議論を呼んでいる。

ARKの透明性ある投資手法とサークル株の事例

キャシー・ウッド氏は2014年にARKを設立。テスラへの大型早期投資で名を上げた。同社はすべての取引をその日のうちに開示しており、公開の姿勢を会社の信条としている。

サークル(CRCL)が最新の試金石。上場から1年足らずの銘柄で、2025年6月の上場時にはIPO価格31ドルから168%高で初値を付けたものの、その後下落。

7月9日、ARKはサークル株約21万7900株を約1370万ドル相当で買い増しした。これは同社の日次開示で判明。同日、ロビンフッド株約980万ドル分を売却した。翌日、サークルは全国規模の信託銀行設立に向け最終的なOCC認可を取得した。

このニュースで、サークル株価はプレマーケットで約15%上昇。ジェレミー・アレールCEOはこの銀行免許獲得を転換点と位置付けた。

「OCCによるCircle National Trust設立承認は、ブロックチェーン技術とデジタル資産を米国金融システムの中核に統合する極めて重要な一歩になる」アレール氏は発表で述べた。

だが、透明性には両面がある。ARKKは2020年の成長ブームで躍進したが、2022年に金利が上昇すると約67%下落した。サークル社の上場後の乱高下は、センチメントが急変しうることを物語る。

結論

両者は完全に同じ運用ではない。1つは遅れて公開される報告書から再構成された、集中度の高いオプション型戦略。もう1つは、リアルタイムで価格が決まる多様なファンド。

どちらも同じテクノロジーや暗号資産テーマに依拠する。こうした共通の傾きが長期ブルラン時の優位性を後押しした。

数字だけを見ればペロシ戦略が優位。しかし、そのオプション活用は個人投資家には再現が難しい。

本当の違いは情報アクセスだ。ARKの動きは数時間以内に公開されるが、ペロシ氏の取引情報は数週間遅れて明らかになる。

もっとも、この情報格差も今後は意味を薄める可能性がある。ペロシ氏は2027年1月の任期満了で引退予定であり、市場で注目されてきた開示の連鎖に終止符が打たれる見通し。

同氏の取引には政治的タイムリミットも迫る。ジョシュ・ホーリー上院議員の法案(当初はPELOSI法と呼称)は、2025年に上院委員会を通過。その後「オネスト法」と改称され、大統領まで対象を拡大した。同法案は議員とその配偶者による個別株保有を禁止する内容だ。

圧力は超党派で強まる。スコット・ベセント財務長官も、議会による株取引の規制強化を呼びかけている

現時点では、リターンではペロシ氏、透明性ではウッド氏に軍配が上がる。来年には、この比較自体が成立し続けるかどうかが問われる可能性がある。


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