スペースX(SPCX)の株価は水曜日に12%上昇し、149.29ドルとなった。過去5営業日で36%の上昇、時価総額で5000億ドル超が新たに加わった。
上昇のきっかけはロケットではなく、ソフトウェアだった。スペースXのAI部門であるSpaceXAIがGrok 4.6をリリースした。同部門は前四半期に12億6000万ドルの赤字を計上している。
イーロン・マスクCEO「Grok 4.7はAnthropicを上回る」
イーロン・マスクCEOは、Grok 4.7を3~4週間後に公開するとした。トレーニングは完了し、スペースXの社内データを今後投入すると説明した。この計画は7月に初めて示唆されていた。
「Grok 4.7は現行すべてのモデルを超える。ただしAnthropicも素晴らしい企業であり、近く進化したモデルが出る可能性は高い。しかしスペースXのトレーニングコーパスは圧倒的で独自性があり、工学分野で4.7を超えるモデルが現れれば逆に驚きだ」とマスク氏は水曜日に投稿した。
マスク氏は先月、Anthropicの優位を認めていた。Grok 4.6は未だそれを覆せていない。Artificial Analysisのインテリジェンス指数でGrok 4.6は61を記録。Claude Opus 5は63、Claude Fable 5は62となる。
アナリストのマイルズ・ドイチャー氏は「価格面での勝利」であり、「性能面の勝利ではない」と評価する。
「つまりGrok 4.6を使えば ・Fable 5が80%割引 ・GPT-5.6 Solは60%割引(100万トークンあたり2ドル/6ドル vs 5ドル/30ドル) ・どちらよりも高速応答 唯一の注意点はコンテキストウィンドウが50万だということ、そしてコーディング能力ではFableが依然最強」とドイチャー氏は指摘している。
本稿執筆時点でスペースX株(SPCX)は149.29ドル、1日で12%上昇した。Market Watchのエコノミストは、この値上がりをGrok製品のリリースと結び付けている。
上昇が続いているものの、SPCXは上場初値150ドルを依然下回り、過去最高値226ドル付近からは35%安い。最新の上昇でイーロン・マスク氏は、出荷前のモデルに対し5000億ドル分を市場で積み増した格好となる。
モルガン・スタンレー「投資家はスペースXのAIをゼロ評価」
モルガン・スタンレーのアナリスト、アダム・ジョナス氏は7月27日、この乖離に言及した。「話を聞く多くの投資家がAI部門にゼロ、あるいはマイナスの価値しか認めない」と述べ、その理由として資金需要の大きさを挙げている。
ジョナス氏は異なる見方だ。同氏の目標株価300ドルのうち半分以上はAI部門が支える。強気のケース(600ドル)は価値のうちAIが6割超を占める想定だ。
従って今回の株高は、そのギャップを市場が埋めつつある証左。ただし、その埋め方はスペースX内で赤字の部門で起きている。
AI部門の前四半期売上は25億6000万ドルで、247%増。グループ全体の設備投資184億ドルのうち158億3000万ドル(86%)をこの部門が占める。売上比では33%にあたる。
同部門は12億6000万ドルの赤字を計上。接続サービス部門(主にStarlink)が16億6000万ドルの営業利益でそれを補う。
AI関連の2つのニュースが大きな押上げ要因となった。アーガスのアナリスト、スティーブン・シルバー氏は8月7日にSPCXを「買い」へ引き上げた。その根拠は247%の成長率と一部AI機器への1年未満での回収見通し。結果、株は15.8%上昇し、時価総額2400億ドル増となった。
水曜日のGrok 4.6関連でさらに1900億ドルが加わった。2日間で値動き全体の83%を占める。
残る部分は機械的な要因だ。8月6日に9億1150万株のロックアップが解除され、SPCXは6%上昇。月曜日には上場時価格135ドルを回復した。
また、ベースも異例の低さであった。SPCXは8月5日に、初の四半期決算説明会での一言がチップ投資家の不安を招き、13.6%下落した。









