ティム・ドレーパー氏は自身のAIバージョンをオンラインに公開した。起業家は24時間いつでもこのAIにピッチできるようになった。
同氏はXでこの「デジタル・ツイン」を発表した。同氏は、このソフトウェアが自身よりもうまく機能する場合もあると明かしている。
ティム・ドレーパーデジタル・ツインの実際の機能
このツールは、シリコンバレーにある同氏のベンチャー企業ドレーパー・アソシエイツの問い合わせページ上に設置。起業家がビジネスモデルを説明すると、ドレーパー氏の投資実績に基づくフィードバックをシステムが返す仕組み。ミッションと市場規模のどちらをどう重視するかなども解説する。
ドレーパー氏は過去40年で数千件のピッチを聞いてきた。テスラ、スペースX、コインベース、ロビンフッド、ホットメールへと投資してきた。こうした実績をチームがモデルに反映。起業家は数週間も面談の順番を待つ必要がなくなった。
このクローン自体は全く新しいものではない。ドレーパー氏は2025年11月にブルームバーグテレビで音声版を初披露。その後、同社はインタビューや講演、投資家向けレターなどを活用し、チャットや音声対応へと拡充した。
毎週、ソフトウェアは有望なピッチを約6件、ドレーパー氏本人に転送。本人のフィードバックによりAIの回答精度も強化される。
ユーザーは匿名で利用できるほか、アカウントを作成すれば会話履歴も保存可能。一部の起業家は繰り返し利用し、“壁打ち相手”としてAIと対話を重ねる。本形式は、Web3領域の起業家が分散型金融よりもトークン化資産をより積極的にピッチする最近の市場動向にも合う。
クローンが本人を上回るとき
ドレーパー氏はこの成果について率直に語った。
「楽しいし、かなりうまくいっている。場合によっては、私よりもうまくいく。確実に私より礼儀正しい」ティム・ドレーパー氏(X)
ただし、礼儀正しさと正確性は別物であることを本人も認めている。ドレーパー氏はPitchBookに対し、「誰もがデジタル・ツインが幻覚(誤回答)することを知っている」と語る。従って、起業家が受け取るのは“フィルター”であり、最終判断ではない。
AIが支持される背景にはタイミングも大きい。生成AIは2026年1-3月期におけるベンチャーファンド資金調達の記録的なシェアを獲得し、案件流入も急増した。
一方で、ドレーパー氏はビットコイン価格予測から、イーロン・マスク氏をサトシ氏に並べる評価まで、話題性も高い。大量ピッチの効率化によるボトルネック解消は、現実的な課題解決になる。
より大きな問いはベンチャー投資の枠を超える。訓練済みのAIクローンは即時回答し、長時間耳を傾け、圧力下でも丁寧さを維持。他の業種、すなわち法律、採用、営業などで同様のモデルが応用される可能性もある。
だが懐疑的な声も少なくない。コインベースのブライアン・アームストロングCEOは最近、悪意あるAIが2年以内にインターネットを混乱させる可能性を警告した。
ドレーパー氏が手がけるAIが、本物の投資家ならではの直感に代わるのか、答えはまもなく明らかになる。









