ビットコイン(BTC)は一時6万5000ドルまで上昇した(Coin Gecko調べ)。米国とイランの緊張が再燃する中での動き。一方、韓国では暗号資産取引高が急増している。AI半導体銘柄が苦戦するなかでの現象だ。 暗号資産トレーダーは、こうしたマクロ経済の変動に動じていない様子だ。
ビットコインの上昇は、米インフレ指標が市場予想を下回り、FRBによる長期利上げ圧力が和らいだことが背景にある。このため、米国とイランによる新たな軍事衝突が続く中でも、ビットコインは直近数週間の高値に迫る展開となった。
ビットコイン急騰で見えた「イラン疲れ」
トランプ米大統領は先週末、イランへの空爆を命令し、ホルムズ海峡の封鎖再開も警告した。こうした報道が、今年初めには暗号資産価格を大きく下押ししていた。
しかし今回は反応が限定的だった。空爆から数日で、ビットコインは6万3000ドル台を回復した。過去の同様の局面では、こうした報道により価格が急落していたが、今回は対照的な展開となった。
ビットコインの上昇は今週もこの回復水準近辺で維持され、インフレ指標をきっかけに直近高値を試す展開となった。市場は中東の報復合戦に次第に慣れ始め、緊張激化のたびに動揺する様子は薄れている。
こうした動きは、市場全体の資金循環とも重なる。アルトコイン・シーズン・インデックスは58まで上昇し、ビットコインのドミナンスは主要サポート水準へ低下。資金が他のトークンへと分散しつつある。
韓国発「資金回転」の現実味
現実世界でこの現象が最も鮮明に表れているのが韓国だ。KOSPIは6月の最高値から2割超下落し、弱気相場入りした。個人投資家は新たなリターンを暗号資産など他市場に求めている。
この弱さの主因は、わずか2銘柄に集中している。サムスン電子とSKハイニックスがKOSPIの時価総額の約半分を占める。eToroの市場アナリスト、ザビエル・ウォン氏は指摘する。いずれか片方の大幅変動が、いまや全指数を巻き込む状況だという。
一方、今週は韓国最大の暗号資産取引所アップビットにおける取引高が24時間で1318%急増し、42億ドルに達した。株価急落の影響が色濃い。XRP単独でも、ビットコイン以上の取引高を記録した。
ただし、これがすべて「買いの信念」によるものとは限らない。韓国の金融監督院によると、今週は120万ものレバレッジ口座でマージンコール(追加証拠金請求)が発生した。一部は投げ売りに近く、すべてが暗号資産への「賭け」ではないとわかる。
SKハイニックス株の乱高下が映すAIバブル論争
SKハイニックスは、KOSPIの半導体セクター主導の変動の中心にある。その株価推移はAIバブルの縮図のようだ。2026年初頭から6月25日の高値まで、株価は約233%上昇。続く7月13日までに高値から34%超下落した。
株価のボラティリティは、7月10日にSKハイニックスが米ナスダックに米国預託証券(ADR)を上場したことで、一段と高まった。取引規模は265億ドル。米国で歴代最大級の海外上場となった。投資家はAI用メモリ半導体の需要急増を意識する一方、その多くが既に織り込まれているか見極めを急ぐ展開だ。
イラン情勢の緊迫も、AIバブル論争も依然続く。ただし足元では、暗号資産は混乱の矢面に立つリスク資産ではなく、むしろテヘランでもソウルの半導体工場でも「ニュース疲れ」した投資家が資金を寄せる避難先となっている。









