英国が今夏4度目の熱波に突入し、南欧各地で山火事が広がる中、冷却関連株が明暗を分けている。
機関投資家はこのうち2銘柄を買い集め、1銘柄を静かに売却している状況だ。BeInCryptoは3社の資金フローを調査したが、その分岐点は天候よりもデータセンター市場にあった。
キャリア・グローバル(NYSE: CARR)
キャリアはドイツのヒートポンプ大手であるヴィスマンを傘下に持つ。このため欧州の熱波が冷却関連株上昇要因となるはずだが、その投資家は別の市場も織り込んでいる。
両市場の成長が同時進行している。英国では35度の熱波が予想される一方、極端な高温で30万人超が避難しており、同じ気象条件がデータセンターの冷却費用を押し上げる格好だ。
キャリア株は69.33ドルで推移し、年初来で31.21%上昇しているが、直近1か月では約6%下落している。
この下落と資金フローの動きは一致していない。機関投資家の売買動向を示すChaikin Money Flow(CMF)は7月14日以降一貫して上昇し、株価下落時にも買いが入っていることを示す。
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主な材料は7月23日にあった。キャリアはスマートセンサーの75Fを買収し、自社のAI自動化技術をデータセンター向けサーマルマネジメント製品へ統合した。
個人投資家の動きは限定的だ。個人売買を示すMFI(Money Flow Index)は41.81で推移しており、個人投資家が本格的に参入するには43.89を超える必要がある。
アナリスト評価は依然として「やや買い」であり、目標株価平均77.40ドルは現状の株価を上回る。バーンスタインの7月17日付見通し(75ドル)も同様だ。
キャリアは火曜日の寄り付き前に決算を発表予定で、アナリスト予想は1株利益83セント、前年同期比9.8%減まで低下している。
この引き下げられた水準を上回っても十分ではない可能性がある。インテルが今月予想を上回ったにも関わらず売られた事例もある。反発を維持するにはCMFがゼロを再び上抜く必要がある。
IMI(LON: IMI)
IMIは建物用空調システムやデータセンター冷却設備向けバルブ・制御機器を供給する。ロンドン上場で、本記事中唯一の非米系銘柄であり、同テーマへ間接的に投資したい場合の選択肢となる。
株価は2972ペンスで、年初来19.21%上昇。直近1か月の上昇は1.44%にとどまる。
この足踏みはCMFで説明できる。1月中旬に約0.45でピークをつけて以降、現在は0.09まで低下し、下降チャネル内で下値・上値を切り下げている。機関投資家は依然として買いを入れるが、ラリーごとに資金投入は減少傾向。
欧州のヒートポンプ市場が足かせとなっている。2025年に16か国で11%伸びたが、最大市場のフランスでは減少。エネルギー価格高騰により今後、今月ブレント原油が100ドル超えたことでガス暖房が割高となり、風向きが変わる余地もある。
個人投資家は逆の動きをとり、熱波報道の影響で買いを進めている。マネー・フロー・インデックス(MFI)は88.92まで急騰し、90.24に迫る水準となった。80を超える数値は過熱圏とみなされる。
保有構造がギャップを危険にしている。機関投資家がIMIの約92.7%を保有し、一般投資家は5.93%にとどまる。そのため、価格を決めるのは売りが失速している機関投資家となる。
アナリスト3人が「やや買い」と評価しているが、3176ペンスの平均目標価格は上昇余地7%にとどまり、3銘柄の中で最も低い。
RBCは2,850ペンスで「ホールド」(中立)を継続しており、これはきょうの株価を下回る。CMFが0.29を回復すれば、機関投資家の回帰を示唆し、ジェフリーズやJPモルガンの見立てを裏付ける材料となる。
Vertiv Holdings(NYSE: VRT)
VertivはAIサーバーラックの過熱防止のための電源および液体冷却システムを手がけている。夏の気温上昇が、その使命の難易度を高めている。ただし、欧州部門の縮小が進んでおり、監視対象の冷却銘柄の中でも異色の存在といえる。
欧州・中東・アフリカにおける売上高は、2025年半ばの受注減を受け、直近四半期でオーガニックベース29%減となった。経営陣は下期での回復を示唆している。米州市場の売上は18億1000万ドルで、グループ全体の約70%を占め、44%増となった。
投資家は欧州での不振を嫌気した。株価は287.60ドルと6月22日以降で23.99%下落している。
一方、CMFは久しぶりにゼロを上回った。これは、大口資金が経営陣の「第2四半期回復」発言を信じて買いを入れ始めている可能性を示す。
MFIは34.72まで下落を継続。機関投資家は早い段階で買いを進め、個人投資家は売却を続けている。IMIとは真逆の展開である。
この背景には指数需要もある。Vertivは3月にS&P500に採用され、インデックス連動型ファンドによる買いも加わっている。
直近の契約も追い風だ。VertivはNvidiaのGB300向けで、最大142キロワットのラック冷却を供給した。
アナリストの評価はここが最も強気で、12人が「買い」、2人が「ホールド」としている。平均目標価格は391ドルで上昇余地は35.95%。KeyBancは7月23日に360ドルと初値を付けた。
RBCは7月16日に目標株価を435ドルから418ドルに引き下げたが、「買い」継続としており、欧州での低迷を反映した判断となった。
Vertivは水曜日に決算を発表予定。これは米連邦準備制度理事会(FRB)の政策金利決定から数時間後となる。
CMFがゼロを上回る水準を維持すれば反発を裏付ける指標となるが、下回れば6月の安値を再びうかがう展開となる。









