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イーサリアムの次なる行き先とは|banklessレポート

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暗号資産メディアbankless(バンクレス)は19日、イーサリアムに関するレポートを公開した。2023年の残りの期間におけるイーサリアムのロードマップにある、「EIP-4844・Cancunハードフォーク」、「分散型バリデータ技術」や「提案者・ビルダーの分離」などについて解説している。

イーサリアムは完全なプルーフ・オブ・ステークに移行したと言える。MergeShapellaが終わったことをきっかけに、イーサリアムコミュニティはスケーラビリティの欠如、ブロックバリデータの集中化などの他の問題に取り組むことが可能となった。下落相場が続く中、イーサリアムはどこへ向かっていくのか、次のイノベーションを探っていく。

EIP-4844Proto-Danksharding)・Cancunハードフォークは、イーサリアムのスケーラビリティの問題に対処することを目的とした、次なる大規模なハードフォークだ。昨今、スケーラビリティの問題は、ロールアップチェーン(ArbitrumOptimism)によって緩和されているものの、最も高速なロールアップでさえも、レイヤー1チェーンでの合意形成に大量のデータを提出する必要がある。この問題が原因となり、イーサリアムネットワーク上ではデータ自由に保存できるスペースが確保が非常に難しい。ロールアップのトランザクション手数料の95%は、データ投稿のコストにかかっているという。さらに、このデータをダウンロードする必要があり、ノードにも負担がかかるとされている。

EIP-4844では、ブロックチェーンネットワークを異なるデータベースに分割し、イーサリアム上でトランザクションのスペースを増やすことが目的。この分割は「シャーディング」と呼ばれる。イーサリアムはシャーディングを通じて、スケーラビリティ問題を改善を目指す。Proto-dankshardingが完成すると、イーサリアムブロックは1〜2メガバイトのデータを格納できるようになる(19日時点の容量は50〜100キロバイト)。さらに、EIP4844が実装されると、ロールアップの使用コストが推定20倍低減されるとのこと。EIP-4844は2023年第3四半期から第4四半期の間に実装予定。

分散型バリデータ技術、提案者/ビルダーの分離とは?

イーサリアムのもう一つの重要な技術的イノベーションは、分散型バリデータ技術(DVTの台頭だ。DVTは、分散化を犠牲にすることなく、ノードの検証を簡単にする試み。本稿執筆時、ノードを運用するには、32 ETHを個人でステーキングする必要があった。しかしDVTを使用すると、「集団ステーキング」を可能となり、集団でノードを運営することが可能となる。これはマルチパーティコンピュテーション(MPC)によって実現され、個人のグループがマルチシグのように1つの秘密鍵を共有し、「分散バリデータ」を一緒に実行できることになる。

これにより、個人または小さなDAOがイーサリアムのバリデータとして参加するための金融的な障壁が低下すると見込まれる。DVTはまだ一般には利用できないが、Obolのような企業がメインネットでの展開テストを始めており、2023年第3四半期には準備が整う見込みとなっている。

  • マルチシグ:複数の秘密鍵を使ってトランザクションに署名し、顧客が暗号資産を売買・送金する際に、資産を守る方法
  • MPC:複数の参加者が秘密情報を共有し、それを利用して計算を行う分散型の暗号技術のこと

イーサリアムにおける主要な中央集権化のベクトルの1つは、ブロックの構築方法にあります。ユーザーがウォレットでトランザクションを提出すると、メモリプール(mempool)内の保留中のトランザクションプールに入る。このmempoolを把握できるブロックバリデータはブロック構築への優先アクセス権をアビトラージボットに売ることができ、問題となっていた。

このような価値抽出の手法は、MEV(Maximal-Extractable-Value)攻撃と呼ばれる。これはイーサリアムの分散化の理念に反する深刻な問題である。ブロック採掘者は「Merge」前に推定6億7600万ドルを引き出したとされている。

MEV攻撃とは、取引の実行順序を利用して、ブロックチェーン上のトランザクションから最大限の価値を抽出する攻撃のこと。攻撃者は、取引の順序を入れ替えることで、最大限の利益を得ようとする。

提案者/ビルダーの分離(PBS)は、この問題に対するイーサリアム開発コミュニティの答えとも言える。その名が示すように、PBSはブロック構築における2つの重要なタスク、すなわちブロックの提案と構築の間に分業体制を導入することを目的としている。そうすることで、ブロックの内容は最終的にオンチェーンで構築する同じ事業者によって決定されなくなるため、ブロックバリデータは個々の取引を識別する能力が制限される。PBSは2023年には間に合わず、おそらく実現までにあと2年かかると見込まれている。その間、FlashbotsのMEV-Boostなどのサードパーティの解決策が登場し、ブロック構築のオープンな市場を作ることで、この問題を緩和している。

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Shota Oba
国際関係の大学在籍中に国内ブロックチェーンメディアでのインターンを経て、2つの海外暗号資産取引所にてインターントレーニング生として従事。現在は、ジャーナリストとしてテクニカル、ファンダメンタル分析を問わずに日本暗号資産市場を中心に分析を行う。暗号資産取引は2021年より行っており、経済・社会情勢にも興味を持つ。
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