欧州連合(EU)は23日、新たな対ロシア制裁で合意し、暗号資産関連プラットフォーム11社を制裁対象に加えた。対象企業名は公表していないが、多くはロシア国外に拠点を置くという。制裁にはロシアの銀行94行やモスクワ取引所も含まれる一方、ビットコイン(BTC)など暗号資産の保有や取引自体は引き続き合法である。
EUがロシアの暗号資産を繰り返し標的とする理由
EUは課題を抱えている。1つの暗号資産プラットフォームを閉鎖しても、ロシア側が新たな取引所を立ち上げる。
そのため対応策も変化する。まず1つの取引所を名指しした。次にロシアの暗号資産業界全体を禁止。その後、海外にあるプラットフォームも標的にし始めた。
例を挙げたい。米国は2022年にロシアの取引所ガランテックスを制裁。EUも2025年初めに追随。2025年3月、警察当局が同取引所のウェブサイトを押収し、2600万ドル超を凍結。しかし数日で、運営チームはほぼ同じ内容の後継取引所としてGrinexを立ち上げた。
このためEUは業界全体の禁止に踏み切った。理由は規模だ。分析会社エリプティックによれば、ルーブル連動型ステーブルコインA7A5は1年で1000億ドル以上の取引を記録。
新しい制裁パッケージはさらに踏み込む。EUは初めて、欧州外の国々全体で暗号資産サービスの提供を禁止できるようになった。これらの国が、ロシア側の次の受け皿となることが多い。
カヤ・カラスEU外務・安全保障政策上級代表は、大規模な制裁措置がロシアの金融システムを標的とし、同国が依存する資金ラインに実質的な制限をかける狙いだと述べた。
ロシアの利用者にとって何が変わるか
まず朗報だ。ビットコインや他のコインは禁止されていない。引き続き保有・取引できる。自身のウォレットで管理すれば資産は安全。
課題はアクセス。大手取引所はEUの暗号資産規制枠組み「MiCA」に従う必要がある。資金の出所確認が義務。制裁対象に該当すれば利用が遮断される。
すでに一部の利用者は影響を実感。A7A5に由来する入金を理由に口座凍結された事例もある。今後も同様の事象が予想される。手数料の上昇、送金遅延、上場廃止となるコインの拡大。これまでの制裁でも一部ロシアの暗号資産が引き出せなくなった。
ロシア政府は独自の対抗策を模索。現在対外貿易での暗号資産利用を認めている。また、新しい暗号資産法のもと、認可取引所の設立も進む。
ただし問題点もある。ロシアが市場を閉鎖するほど、国際社会との接点が弱まる。EUがこうした対策すべてを徹底できるかが次の論点。








