金融庁は30日、シンガポール通貨当局(MAS)・スイス金融市場監督機構(FINMA)・英金融行動監督機構(FCA)と提携し、債券・為替商品・現実資産(RWA)のトークン化のパイロット実験を行うと発表した。4機関は同日、政策立案者と規制当局間のさらなる国際協力の必要性の高まりを受け、MASが22年5月より推進するプロジェクトである「Project Guardian」の政策立案グループを設立した。
Project Guardianは、MASが昨年5月より推進するプロジェクト。金融業界との共同イニシアチブで、RWAのトークン化および、DeFi(分散型金融)の応用の実現可能性を検証しつつ、金融の安定性と完全性へのリスクの管理が目的。政策立案グループでは以下の項目の改善を目的とする:
- デジタル資産の法・政策・会計上の取り扱いに関する議論の促進。
- トークン化に関連する法律の潜在的なリスクやギャップの特定。
- 各管轄区域で暗号資産ネットワークの共通基準や市場のベストプラクティスの開発。
- グローバルなデジタル資産開発をサポートする高い互換性の基準の推進。
- 規制のサンドボックスを通じてデジタル資産の業界試験の促進。
- 規制当局と業界間の知識共有。
MASはこれまで、Project Guardianの下で15の金融機関と協力し、債券などの金融商品の資産トークン化に関する試験を実施してきた。22年11月にはSBIやJPモルガンなどとともに、卸売市場におけるDeFiでのトークン化された資産の取引を検証する実験が実施されている。金融庁は6月、Project Guardianにオブザーバーとしての参加を表明していた。
MASのレオン・シン・チョン副専務理事は、「MAS・FSA・FCA・FINMAとの提携は、政策立案者の間でデジタル資産の革新に起因する機会とリスクを理解する強い願望を示している」と語った。
RWAのトークン化のこれから
政府関係機関のほか、国内外でさまざまな機関がRWAのトークン化を試みている。国際銀行間通信協会(SWIFT)は8月、複数のブロックチェーンにまたがるトークン化資産の移動に関する実験結果を公表。ロンドン証券取引所グループ(LSEG)は9月、RWAのトークン化資産などを含むブロックチェーン基盤の取引を行う計画を示した。国内ではソニー銀行や三菱UFJ信託銀など多種多様な企業が取り組んでおり、トレーディングカードから証券などの幅広い資産のトークン化が試みられている。
世界最大手資産運用会社ブラックロックのラリー・フィンクCEOはこのほど、「私は、市場・証券の次の潮流はトークン化になると信じている」と述べ、トークン化への強気な姿勢を示した。大手金融機関シティバンクグループは23年初頭のレポートで、RWAのトークン化は30年までに民間市場で80倍に成長すると予測している。一方で国際決済銀行(BIS)は9月、「暗号資産業界はRWAのトークン化の成長を見据えているが、仮想通貨は従来の金融システムの役割を代替できるほどの完全なシステムではない」との見解を示していた。
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