金融安定理事会(FSB)は17日、2022年の暗号資産(仮想通貨)市場における相次ぐ不祥事を受け、グローバル規制にむけての勧告を行った。同勧告では主に顧客資産保護や利益相反の回避を強化することが求められた。
FSB(約20カ国の規制当局)は暗号資産の「一貫性のある包括的な」規制を目指し提案を行った。これは、FTXやセルシウス・ネットワークのような企業による不正行為の防止を目的とし、仮想通貨業界における潜在的なリスク指摘。FTXや、セルシウス、テラ、USDCのデペッグ問題などを例に挙げた。これらを踏まえ同理事会では9つの最終提案を行った。
提案の内容は、規制当局が暗号資産市場の監督・規制に適切な権限とツールを活用すること、全体的な規制枠組みを設け、発行者やサービス提供者にリスクに応じた効果的な規制の適用などが含まれる。国内外での情報共有・協力強化、明確なガバナンス枠組みとリスク管理フレームワークの設置、データの収集・保管・報告に対するフレームワーク設置、金融安定リスクの特定・対処、そして複数の機能を持つサービス提供者に対するリスク対応の規制適用についても提案が行われた。
ステーブルコインのグローバル規制強化案も提示
FSBは関係者らのフィードバックを受けステーブルコイン規制強化案も提示し、その一貫した実施の重要性を強調した。ステーブルコインの提案も同様に9つあり、規制当局は、GSC(グローバルステーブルコイン)制度の適切な規制・監督、国際協力の強化、明確なガバナンス・リスク管理フレームワーク、そして確固たる法的請求権提供、迅速な償還、安定化メカニズム要件を満たすことなどが含まれる。
FSBのジョン・シンドラー事務総長は報道関係者に対し、「規制の枠外、あるいは既存のルールに従わずに行う活動をやめる必要がある。我々の枠組みはどのような基準を明確にしているため、企業は規制上の透明性が不足しているとの主張はもはやできない」と語った。
日本の暗号資産業界の規制状況は?
日本では暗号資産の売買・交換・預かりなどを行う場合、適切なライセンスが必要となる。ユーティリティ・トークンの取り扱いには、暗号資産交換業の登録が必須。セキュリティ・トークンや暗号資産関連デリバティブ取引を行う場合は、第一種金融商品取引業の登録、STO(電子記録移転権利)の自己募集を行うには、第二種金融商品取引業の登録が必要となる。
- GSC制度とは、このようなGlobal Stablecoinを発行・管理するための体系やフレームワーク
- ユーティリティ・トークンとは、暗号資産(仮想通貨)の一種で、特定のプラットフォームやサービス内でのみ利用されるデジタルアセットを指す。
- STO(電子記録移転権利)とは企業が資金調達を目的として発行するデジタル証券を指す。
なお、ステーブルコインに関しては6月1日の改正資金決済法施行により、日本円や米ドル等の法定通貨を裏付けに持つステーブルコインが国内でも発行・流通が可能となっている。
金融庁は23年3月31日、無登録で取引所業務を敢行する海外取引所に警告書を発出。金融庁はこれらの取引所に対し、「無登録でインターネットを通じて海外から、日本居住者を相手に暗号資産交換業を行っている」として警告していた。
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