近年注目を集めているのが、ETNとETFと呼ばれる暗号資産投資商品です。これらの商品は、現物の暗号資産を直接取引するのではなく、指数に連動した債券として発行されるため、従来の暗号資産投資よりも安全で安定的な運用が期待されています。
実際にロンドン証券取引所(LSE)は、暗号通貨取引所上場債券(ETN)の取引を開始することを発表、23年には米国暗号資産業界史上初となるビットコインの現物ETFが承認され、同ETFは24年11月までに5.21%の供給量を掌握しています。さらに、日本の金融サービス大手SBIホールディングスは、米国の投資会社フランクリン・テンプルトンと提携し、日本でデジタル資産運用会社を設立しました。
この取り組みは、日本がビットコインETFを承認する準備の一環とみられます。このように世界中で暗号資産投資商品への期待が高まっています。
そこで本記事では、ETNとETFの違いを解説します。ETNとETFそれぞれの特徴を知りたい人や、ETNとETFの違いを知りたい人は、ぜひ最後までご覧ください。
暗号資産におけるETNとは?
WisdomTree, 21Shares to list crypto products on London Stock Exchange https://t.co/sr2VN72RWt pic.twitter.com/PSRBZuPhIU
— Reuters Business (@ReutersBiz) May 22, 2024
ETN(Exchange Traded Note)とは、上場投資証券と呼ばれる金融商品です。債券や株式の指数に連動するよう設計されており、現物の商品を購入することなく、指数のパフォーマンスに投資することができるのが特徴です。
近年、暗号資産市場の発展に伴い、暗号資産に連動するETNが続々と登場しています。暗号資産ETNは、現物の暗号資産を購入することなく、暗号資産価格の変動に投資することができる点がメリットです。暗号資産市場はボラティリティ(価格変動性)が大きいため、暗号資産ETNは、リスクを分散しながら投資する方法として注目されています。
ETNの特徴
- 現物資産のリスクがない:ETNは、現物資産を保有せずに指数に連動する商品であるため、現物資産の価格下落リスクを負うことなく、指数のパフォーマンスを得ることができる
- 信用リスクが低い:ETNは、多くの場合、格付けの高い金融機関が発行しているのため、発行体の信用リスクが比較的低く、安心して投資することが可能
- 幅広い指数に連動した商品がある:株式だけでなく、債券、金、不動産など、幅広い指数の商品があり、投資家自身の投資目的に合った商品を選ぶことができる
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暗号資産におけるETFとは?特徴
ETF(Exchange Traded Fund)は、上場投資信託と呼ばれる金融商品。株価指数や債券指数などの指数に連動するよう設計されています。2024年1月、米国証券取引委員会(SEC)が現物ビットコインETFを承認。これ伴い、機関投資家や個人投資家の参入が加速しており、ビットコイン価格も2024年に入ってから上昇傾向にあります。
ETFの特徴
- 手軽に分散投資が可能:ETFは、個別の銘柄ではなく、指数に連動する投資信託商品。そのため、1つの商品で複数の銘柄に分散投資することができ、個別に銘柄を選ぶ必要がなく、初心者でも簡単に投資を始められる
- 低コストで運用できる:投資信託の中でもコストが比較的低い商品。運用会社が個別の銘柄を分析する必要がなく、指数に連動する運用を行うため、人件費や調査費用などのコストを抑えることが可能
- リアルタイムで売買できる:ETFは、株式と同じように証券取引所で売買することができ、価格変動に合わせて、いつでも売買することができる
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暗号資産におけるETNとETFの違い
ETFとETNは、どちらも指数に連動する投資信託商品として注目を集めていますが、実は重要な違いがあります。それぞれの仕組みと特徴を表にまとめましたので、詳しく見ていきましょう。
項目 | ETF | ETN |
投資対象 | 暗号資産 | 暗号資産指数 |
仕組み | 現物の暗号資産をバスケット形式で保有 | 指数に連動する債券 |
信用リスク | 運用会社 | 発行体 |
コスト | 信託報酬 | スプレッド |
流動性 | 高い | 比較的低い |
商品数 | 少ない | 多い |
メリット | 現物資産の価格変動リスクがない | 幅広い指数に連動した商品がある |
デメリット | 信用リスクがある | 現物資産のリスクがある |
例 | ProShares Bitcoin Strategy ETF (BITO) | VanEck Bitcoin Strategy ETN (XBTF) |
暗号資産におけるETNとETFの違い①:裏付け資産:現物・約束
- ETF:実際の株式や債券などの現物資産をバスケット形式で保有し、そのポートフォリオ全体のパフォーマンスを指数に連動。運用会社は、指数構成銘柄の売買を通じて、常に指数との連動性を維持するよう努める
- ETN:現物資産は一切保有せず、指数との連動性を約束する証券。発行体は、投資家に対してインデックスパフォーマンスに基づいた支払いを行う義務を負うが、現物資産の売買は行わない
暗号資産におけるETNとETFの違い②:信用リスク:運用会社・発行体
- ETF:運用会社が倒産した場合でも、現物資産は投資家から独立して管理されるため、投資家への影響は限定的。しかし、運用会社の運用能力によっては、指数との連動性が低下する可能性がある
- ETN:発行体が倒産した場合、投資家は元本を失うリスクが高い。ただし、多くのETNは、格付けの高い金融機関が発行しているため、比較的信用リスクは低いと言える
暗号資産におけるETNとETFの違い③:理論値・市場心理
- ETF:ETF価格は常に裏付け資産の価値と一致するはずですが、実際には需給関係の影響で価格乖離が発生することがある。特に、市場心理が不安定な場合や、流動性が低い銘柄が含まれるETFの場合、乖離が大きくなる傾向
- ETN:ETN価格は乖離が発生する可能性は低いと言えるが、市場心理の影響を受けないわけではなく、極端な状況では価格が大きく変動する可能性もある
暗号資産におけるETNとETFの違い④:その他のポイント
- コスト:ETFは、信託報酬などのコストが発生する一方、ETNは信託報酬がかからない代わりに、スプレッドと呼ばれる手数料が発生
- 流動性:ETFは、ETNよりも流動性が高い傾向
- 商品数:ETFの方が、ETNよりも商品数が多い傾向がある。ETFの方が歴史が長く、様々な指数に連動した商品が開発されているため
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暗号資産のETN・ETFに関する動き
ETN関連の情報としては、2024年11月6日、資産運用会社VanEckは、分散型オラクルプロトコル「Pythネットワーク」を基にした新しいETNの取引を開始しました。これは、欧州15ヶ国の投資家を対象としており、暗号資産市場へのさらなるアクセスを提供するものです。また、14日にSUIを基にしたETNも発表され、同様に欧州15ヶ国で取引が可能です。これらの製品は、分散型金融(DeFi)の進展を支える重要なステップとみられています。
VanEckが発表したETNは以下の特徴を備えています:
- 対象となる暗号資産:Pythネットワークトークン(PYTH)、SUI
- 提供地域:ヨーロッパ15ヶ国(EU非加盟国を含む)
- 特徴:分散型オラクルプロトコルを活用した先進的な暗号資産対応
また、ETF関連では、暗号資産市場全体が再び注目を集めるなか、ブラックロックのiシェアーズ・ビットコイン・トラスト(IBIT)が驚異的な成長を記録しています。IBITの運用資産額は425億6000万ドルに達し、他のETFが1253日かけた400億ドル到達を、211日で達成。これは他のETFが同規模に到達するまでに要した時間の6分の1の時間で実現されました。また、CryptoQuantのデータによると、ビットコインETFは採掘済みBTC総供給量の5.33%を管理しており、1月時点の3.15%から大幅に増加しています。これは、物理的に裏付けられたビットコインETFへの需要が急速に高まっていることを示しています。このような加速度的な成長により、IBITはAUM(運用資産額)で上位1%のETFにランクインし、ビットコインETFの市場におけるリーダーとしての地位を確立しています。
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まとめ:暗号資産ETNとETFには明確な違いがある
本記事では、暗号資産投資におけるETNとETFの違いについて解説しました。ETNとETFは、どちらも暗号資産指数に連動した投資商品ですが、仕組みやリスク、コストなどが大きく異なります。ETNは、現物の暗号資産を保有せず、指数に連動する債券を発行することで、暗号資産投資を実現。ETFは、現物の暗号資産をバスケット形式で保有することで、指数に連動するパフォーマンスを実現します。
どちらを選ぶべきかは、投資家のリスク許容度や投資目的により異なります。ぜひ本記事を参考に、ご自身の投資目的に合った商品を選んでみてください。
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