ソラナ(SOL)は、一時「オワコン」とも揶揄されましたが、今や新たな成長軌道に乗っており、暗号資産市場での存在感を増しています。過去には技術的なトラブルやセキュリティ問題、さらにFTXの破綻による市場の不安定化に直面しましたが、独自の高速処理技術やエコシステムの拡大によって立て直しが進んでいます。企業との提携や分散型アプリケーション(dApps)市場での需要も増加しており、2025年にかけて米国でのETF承認が期待されるなど、強気の見通しが広がっています。
本記事では、ソラナの特徴から過去の課題、オワコン化の真相、そして将来性を詳しく解説します。
ソラナ(SOL)とは?
ソラナは、2017年にアナトリー・ヤコヴェンコ氏が設立したレイヤー1ブロックチェーンプラットフォームで、高速かつ低コストでのトランザクション処理が可能です。独自のプルーフ・オブ・ヒストリー(PoH)メカニズムにより、毎秒数千件のトランザクションを処理し、スケーラビリティ問題を解決しています。CoinGeckoのレポートによると、ソラナは主要なブロックチェーンの中で最も高い処理能力を持つと評価されています。この仕組みにより、ソラナは、分散型アプリケーション(dApps)開発において、イーサリアムと比べて優れたパフォーマンスを発揮しています。
さらに、タワーBFT(Tower Byzantine Fault Tolerance)プロトコルを導入し、通信オーバーヘッドを削減しながら、迅速なコンセンサスと高いセキュリティを確保。この技術の組み合わせにより、ソラナはDeFiやNFT市場で高い評価を獲得しています。
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ソラナがオワコンと呼ばれていた要因は?
ソラナは、低コストで高速なトランザクション処理が可能なブロックチェーンとして人気を博していますが、2022年には多くの問題が重なり、「オワコン」とささやかれるまでになりました。これらの問題は、技術的な課題、中央集権化に対する懸念、さらに「FTXショック」とも称される暗号資産取引所FTXの破産に伴う衝撃など、多岐にわたります。以下、ソラナが直面した主な課題について詳述します。
技術的な問題と頻発するネットワーク障害
ソラナは、そのスピードとコストの低さで注目を集めている一方で、設立以来、複数の技術的な障害に見舞われました。特に2021年9月、急激なトランザクションの増加によりシステムが過負荷となり、ネットワークが停止する事態が発生しました。これにより、ソラナのネットワークの拡張性や信頼性に疑念が生じ、安定性への懸念が浮き彫りとなりました。
2022年、2023年そして、24年と続く障害の発生もまた、ソラナの評価を揺るがしました。コード上のバグや高負荷時の処理能力の限界が原因で、繰り返しネットワークが停止する状況が続きました。これによりソラナは「信頼性が低い」というレッテルを貼られることとなり、コミュニティからの信頼を損なう結果になっています。
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FTX破産による価格暴落と影響
ソラナにとって2022年最大の痛手は、暗号資産取引所FTXの破産でした。当時、FTXは取引高で世界第2位の規模を誇っており、ソラナとも密接な関係を持っていました。
特にFTXが運営していた分散型取引所「Serum」がソラナチェーン上に構築されており、FTXの創設者であるサム・バンクマン=フリード氏とも深い関係にありました。バンクマン=フリード氏およびFTXはソラナの支持者として認知されており、FTXの経営破綻はソラナへの懸念を一気に高める要因となりました。
2022年11月、FTXの破産申請が行われた際、SOL価格は急落し、数日で約36ドルから14ドルにまで暴落しました。この出来事は「FTXショック」として広く知られるようになり、ソラナの価格に大きな打撃を与えただけでなく、暗号資産業界全体に不安を引き起こしました。
FTXショックを契機に、ソラナブロックチェーン上で稼働していたいくつかのプロジェクトも離脱を決意しました。NFTプロジェクト「Degods」や「y00ts」はそれぞれイーサリアムチェーンとポリゴンチェーンへ移行し、ソラナの信頼性への懸念が一層強まりました。
繰り返されたハッキング被害
ソラナは、2022年以降、複数のハッキング被害に遭い、セキュリティ面での信頼性に疑問が生じました。2022年8月には、ソラナ基盤のウォレット「Slope」や「Phantom」で約8億円相当の暗号資産がハッキングにより流出しました。これはサプライチェーンの脆弱性が原因で、ユーザーの秘密鍵が漏洩したために発生したものです。
さらに、2022年12月にはソラナ上の分散型取引所「Raydium」においても大規模なハッキングが発生し、約5.5億円相当の資産が不正流出しました。攻撃者はRaydiumの「オーナー権限」を奪取し、不正な出金が行える状態にしていました。2022年2月にはソラナと他のブロックチェーンを繋ぐ「Wormhole」ブリッジがハッキングされ、約340億円相当の資産が盗まれています。この事件は当時最大級のDeFiハッキングとされ、クロスチェーンプロトコルの脆弱性が浮き彫りになりました。
イーサリアムなどの主要なブロックチェーンでも過去にハッキング被害は発生していますが、ソラナのように立て続けに被害が起こることは稀であり、ソラナのセキュリティ体制に対する信頼が揺らぐ要因となりました。
本当にオワコン?|ソラナの強みと今後の可能性
一時オワコン視されていたソラナですが、24年11月時点ではその状況は一変。現在ソラナはイーサリアムに続く第3位のプロジェクトとして位置しています。わずか2年ほどで大きな逆転劇を見せたソラナにはどのような背景があるのでしょうか?
エコシステムおよび技術の進展
ソラナの急成長は、技術力とエコシステムの拡大が主な要因です。特にDeFiやNFT市場の発展に伴い、取引量とユーザー数が急増し、24年10月末にはソラナ上の分散型取引所(DEX)が手数料でイーサリアムを凌駕。また、独自のスマートフォン「Saga」の提供もエコシステムの拡大に寄与しています。2024年には、ソラナが暗号資産投資家の関心を49.3%集め、最も注目されるエコシステムとなりました。
技術開発面でも25年に実装予定の、トランザクション処理能力を向上させる新しいバリデータクライアント「Firedancer」の開発が進められており、さらなる性能向上が期待されています。さらに、分散型物理インフラ(DePIN)プロジェクトへの参加も加わり、ソラナはその技術進化とエコシステムの拡大によってブロックチェーン市場で大きな注目を集めています。
市場の強気姿勢
ソラナへの強気の見方は投資家にとどまらず、アナリストや機関投資家にも及んでいます。ETF申請をおこなっているVanEckは23年10月、ソラナは強気シナリオの場合、30年に3211.28ドルに到達する可能性があると示唆しています。24年10月の英金融大手スタンダードチャータード銀行の予測では、トランプ氏が再選する場合、SOL価格が25年末までに5倍に上昇する可能性あると主張しました。
#Solana is looking a lot like July 2021… $1,000 $SOL coming soon! pic.twitter.com/J0Yx5npfiS
— Ali (@ali_charts) July 26, 2024
アナリストのアリ・マルティネス氏は今回の半減期による上昇相場により、ソラナは1000ドルに到達する可能性があると示唆しています。この価格帯はスタンダードチャータード銀行の予測と概ね一致しています。
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大企業によるソラナの採用
フランクリン・テンプルトンは24年9月に開催されたカンファレンス「ブレイクポイント」で、ソラナで共同ファンドを立ち上げる計画を明らかにしました。フランス大手銀行ソシエテ・ジェネラルは同日、EURCVステーブルコインに対するSolanaのサポートを発表しました 。さらにPayPalは同年8月、PYUSDステーブルコインをSolanaブロックチェーンに拡張することを決定しました。またソラナは23年のVisaとの提携により、USDCを利用したクロスボーダー決済の速度向上も注目されています。
このような大企業の参入や活用を通じて、ソラナエコシステムはさらに拡大し、今後も利用範囲が一層広がると期待されています。
米国でのソラナETF承認の可能性
ソラナETFへの期待も市場での同資産への信頼感を確固たるものにしています。ソラナETFとは、暗号資産ソラナをベースにした上場投資信託(ETF)のことで、投資家が証券取引所を通じてソラナに間接的に投資できる金融商品です。
このETFは、特定の資産やそのグループの価格に連動するよう設計されており、投資家はその資産を直接持たずに価格の変動にアクセスすることができます。ソラナETFの大きな利点は、暗号資産市場における複雑な技術的知識を避けながら、規制された市場での透明性や流動性といったメリットを享受できる点にあります。
23年には暗号資産業界史上初となるビットコインの現物ETFが承認され、同ETFは24年11月までに5.21%の供給量を掌握しています。その影響の強さからアルトコインETF承認は強気材料とみなされています。
これまで米国ではCanary Capital、VanEckと21Sharesによる申請が行われ、Franklin TempletonもソラナETFを検討していると噂されています。SECの決定期限は2025年3月中旬となっています。なお、ブラジルでは24年8月にソラナETFが承認されました。
VanEckのデジタル資産リサーチ責任者であるマシュー・シゲル氏は、ソラナETFの承認において、SEC委員長のゲーリー・ゲンスラー氏の姿勢が大きな影響を持つと指摘しています。シゲル氏によれば、ゲンスラー氏が暗号資産への規制にどのように対応するかが、ソラナETFの承認に直接関わっていると述べています。
しかし、11月の大統領選でゲンスラー氏の解任を約束したドナルド・トランプ氏が当選したことから、同ETFの承認に対する楽観論が広まっています。暗号資産マーケットメーカーのGSRマーケッツは、ソラナETFがビットコインETFの資金流入の14%を取り込むと仮定した場合、SOL価格が「8.9倍」になると推定しています。
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ソラナの今後の課題
中央集権化に対する懸念
ソラナは、その高性能なトランザクション処理を可能にするために、中央集権的な構造になっているとの批判を受けています。特に、プライバシー活動家エドワード・スノーデン氏も、ソラナの構造が分散性を欠いている点を問題視しています。
バリデータ(取引の承認者)になるためのハードウェアや通信環境のコストが非常に高いため、誰もが気軽に参加できるネットワークではなく、特定の大規模な参加者によって支配されやすい仕組みになっていると指摘されています。こうした中央集権化の傾向は、ソラナの理念とされる「分散型ブロックチェーン」との矛盾を露呈させており、信頼性や透明性への懸念が残る要因です。
他のブロックチェーンとの競合
ソラナはその高速な取引処理能力と低コストで注目を集めてきましたが、近年、AptosやSuiといった「ソラナキラー」と称される新興ブロックチェーンが台頭しています。これらのプラットフォームは、ソラナを上回るトランザクション処理能力や独自の技術的特徴を持ち、分散型アプリケーション(DApp)の開発者やユーザーからの関心を集めています。
例えば、Aptosは1秒間に最大16万件、Suiは29万7,000件のトランザクション処理が可能とされています。このような競争環境の中で、ソラナはさらなる技術革新やエコシステムの強化を通じて、これらの新興勢力を凌駕する成果を上げることが求められています。
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さらにスタンダード・チャータードのアナリストは、ソラナが24年時点でイーサリアムよりも割高に評価されている可能性があると指摘しています。具体的には、ソラナの時価総額とネットワーク手数料収入の比率は250で、イーサリアムの121を大きく上回ります。
また、ソラナのトークン供給は年間で約5.5%増加しているのに対し、イーサリアムのインフレ率は約0.5%と低めです。この供給量の差が、ソラナの実質的なステーキング利回りを1%にとどめる一方で、イーサリアムは2.3%の利回りを確保しています。さらに、ブロックチェーン開発者の38%がイーサリアムに注力しているのに対し、ソラナのシェアは9%にとどまっています。
アナリストのケンドリック氏は、ソラナの高い評価は将来的な成長がすでに織り込まれた結果であり、スループットが100~400倍に増加する見通しが反映されているとコメントしました。
まとめ:ソラナはオワコンではない
ソラナは、過去に技術的な課題やFTX破産の影響、セキュリティ問題に直面しましたが、依然として成長が期待されるブロックチェーンです。独自の高速処理技術と低コストの取引で、DeFiやNFT分野で多くの支持を集めており、エコシステム拡大も順調です。
また、企業との提携や2025年に期待されるETF承認も含め、ソラナは今後の暗号資産市場で大きな役割を果たすと見られ、イーサリアムに次ぐ有望なプロジェクトとして注目されています。
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