ステーブルコインは、米ドルや日本円などの法定通貨に価値が連動するように設計された暗号通貨です。価格変動が激しい暗号資産の課題を解決する可能性があり、近年注目を集めています。
日本でも、ステーブルコインに対する動きが活発化しており、国内での注目度も高くなっています。そこで本記事では、日本のステーブルコインに対する動きと取り組みについて解説します。ステーブルコインについて詳しく知りたい人や、暗号通貨への投資を考えている人はぜひ最後までご覧ください。
ステーブルコインとは?
ステーブルコインとは、価格が安定するように設計された暗号通貨のことです。法定通貨やコモディティなどの価格と連動(ペッグ)するようになっており、目的は、価格変動が激しい暗号資産の決済手段としての実用性を高めることです。 ステーブルコインには、裏付け資産の種類によって「法定通貨担保型、暗号資産担保型、アルゴリズム型」などの種類があります。
ステーブルコイン3種類のアルゴリズムについては「ステーブルコインの3つの仕組みと特徴について」にて詳しく解説しています。
日本のステーブルコインに対する動きと取り組み

日本のステーブルコインに対する動きと取り組みについて解説します。
日本のステーブルコインに対する動きと取り組み
日本では、2022年6月に金融庁がステーブルコインに関する規制方針を公表し、この方針では、ステーブルコインが金融システムに与えるリスクを軽減するため、発行体や取引業者に対して一定の規制を導入することが示されています。
2022年5月には、日本銀行がデジタル円の研究開発を開始。日本銀行は、デジタル円を導入することで、金融システムの安定化や国際競争力の向上を目指しており、日本のステーブルコインに対する関心は日々高まりつつあると言えます。
そして、2023年6月に「改正資金決済法」が新たに施行され、国内でのステーブルコイン発行が可能になりました。
改正資金決済法では、海外発行のステーブルコインについても日本国内での流通を解禁する方針とのこと。海外発行のステーブルコインとしては、米ドルに連動したUSDTやUSDCなどがあり、これらは、Web3.0やデジタルアートなどの分野で利用されています。
ステーブルコインの展望
ステーブルコインの発行が解禁されることで、国内外の企業間決済の効率化が進むことが期待されています。企業間決済市場は1000兆円前後とされており、企業と個人間の取引市場の約3倍の規模となっています。
ステーブルコインは、法定通貨と連動した価値を持つデジタル通貨なため、手数料が安価で、企業間決済の効率化につながることが期待されています。またステーブルコインの導入により、グローバルな取引が増加すれば、特に多国籍企業間の決済においての新しい収益源を確保することが可能になります。
ステーブルコインを利用したトークン化や直接取引が普及すれば、取引の透明性と効率性が向上するため、国内の金融業界におけるイノベーションの加速が期待されます。
ステーブルコインを導入するメリット3つ

ステーブルコインを導入するメリット3つを解説します。
- 決済手段としての利便性が高まる
- 金融システムのイノベーションが加速する
- 環境負荷が低減される
ステーブルコインのメリット①:決済手段としての利便性が高まる
ステーブルコインは価格変動が少なく、安定しています。また、ブロックチェーン技術を利用しているため、高速で安全に送金でき、これにより、国内外の決済手段としての利便性が高まります。 例えば、日本円と連動するステーブルコインであれば、為替リスクや手数料を気にせずに海外で買い物することが可能です。銀行口座やクレジットカードがなくても、スマートフォンやウォレットアプリがあれば決済できるため、金融サービスにアクセスできない人々にもメリットがあります。
ステーブルコインのメリット②:金融システムのイノベーションが加速する
ステーブルコインはブロックチェーン技術を活用しており、既存の金融システムと連携することで、さまざまなイノベーションが促進される可能性があります。 結果的に、デジタルアイデンティティや信用スコアを管理したり、スマートコントラクトを使って自動的に契約や支払いを実行したりすることが可能に。また、ほかの暗号通貨とも相互運用性が高く、DeFi(分散型金融)などの新しい金融サービスにも対応できる点がメリットです。
ステーブルコインのメリット③:環境負荷が低減される
ステーブルコインはブロックチェーン技術を利用していますが、その中でもエネルギー消費が少ない方式を採用しているものが多いです。ステーブルコインはマイニングを行わない、あるいはより効率的なマイニング方式を採用しており、これにより、環境負荷が低減されます。
ステーブルコインの懸念点

ステーブルコインの懸念点について解説します。
- 信頼性や安全性が未確立
- 規制に不適切さがある
ステーブルコインの懸念点①:信頼性や安全性が未確立
ステーブルコインは法定通貨や暗号通貨などを担保にして発行されるものが多いですが、その担保の実態や管理状況が不透明な場合があります。例えば、テザー(USDT)は米ドルを担保にしていると主張していますが、その証明書類や監査報告書が公開されていません。
ステーブルコインの懸念点②:規制や監督に不適切さがある
ステーブルコインは国境を越えてグローバルに流通する可能性がありますが、その規制や監督の枠組みはまだ整備されていません。通貨としても金融商品としても扱われることがありますが、その位置づけは明確ではなく、マネーロンダリングやテロ資金などの不法活動に悪用される恐れもあるのが現状です。
日本の主要ステーブルコイン

日本の主要ステーブルコインを紹介します。
- JPYC
- GYEN
- Progmat Coin
日本の主要ステーブルコイン①:JPYC
JPYCは、JPYC株式会社が発行する日本円ステーブルコインで、資金決済法に基づき、第三者型前払式支払手段として発行されています。2021年4月に発行され、現在、国内の暗号通貨決済サービスなどで利用されています。
JPYCについては 「JPYCとは?国内初の日本円ステーブルコインについて解説」にて詳しく解説しています。
日本の主要ステーブルコイン②:GYEN
GYENは、GMOインターネットグループのGMOコイン株式会社が発行する円ペッグのステーブルコイン。Zilliqaという高速かつ安全なブロックチェーン上で発行されており、低コストで高速な決済や送金が可能で、1GYENは常に1円の価値を保つよう設計されています。2022年1月に発行され、日本の金融庁に認可されたステーブルコインであり、日本円を担保としています。
日本の主要ステーブルコイン③:Progmat Coin
Progmat Coinは、三菱UFJ信託銀行が開発を進める円ペッグのステーブルコインです。Progmat Coinは、法定通貨の円を100%裏付けとして発行されており、1Progmat Coinは常に1円の価値を保つよう設計されています。
ステーブルコインのよくある質問
Q1:ステーブルコインは日本でどのように利用されていく予定ですか?
Q2:ステーブルコインの投資は、どのようなリターンが期待できますか?
Q3:ステーブルコインは安全なのですか?
まとめ:日本のステーブルコイン市場は今後拡大していく可能性が高い
本記事では、日本のステーブルコインに対する動きと取り組みを解説しました。ステーブルコインは、法定通貨と価値が連動するデジタル通貨で、金融サービスや決済手段としての利用が期待されています。その一方で、消費者保護や金融安定などの観点から、適切な規制が必要になるでしょう。
しかし、規制が整備されることで、ステーブルコインは安全に利用できるようになり、また、暗号通貨の普及につながることが予想されます。ステーブルコインに関心がある人は、実際にステーブルコインに触れてみつつ、今後の動向に注目していきましょう。
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