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レイヤー2ブロックチェーンの特徴と代表的コイン

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著者:
Shota Oba

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編集:
Shigeki Mori

28日 10月 2024年 16:30 JST
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ブロックチェーンを使うことでデータの改ざんや不正を防ぐことができますが、その一方で、スケーラビリティ問題やセキュリティ問題などの課題も指摘されています。これらの課題を解決するために開発された技術が、レイヤー2ブロックチェーンです。

本記事では、レイヤー2ブロックチェーンの特徴と代表的コインについて解説します。レイヤー2ブロックチェーンに興味がある人、これからレイヤー2系のコインに投資をしたい人はぜひ最後までご覧ください。

レイヤー 2ブロックチェーンとは?

レイヤー2ブロックチェーンとは、ブロックチェーンの基本層(レイヤー1)とは別に機能し、トランザクションやスマートコントラクトの処理をオフチェーン(ブロックチェーンの外部)で行うことで、トランザクション処理のスピードと効率を向上させる目的で開発されたブロックチェーンです。

ブロックチェーンは多くのメリットを備えていますが、その一方で、スケーラビリティ問題やセキュリティ問題などの課題も指摘されています。レイヤー2ブロックチェーンは、これらの課題を解決するために開発された技術であり、ブロックチェーンの普及と発展に欠かせない技術であり、業界の進展には欠かせないものといえるでしょう。さらに、ソニーやコインベースクラーケンなどの企業や日本発のプロジェクトIntmaxなどがレイヤー2を開発・ローンチしており、その需要は高まっています。

関連記事:レイヤー2ネットワークは失敗するだろう=ヴィタリック・ブテリン氏

レイヤー 2ブロックチェーンの特徴3つ

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Polygon (MATIC)

レイヤー 2ブロックチェーンの特徴3つについて解説します。

  • レイヤー 1ブロックチェーンとの互換性
  • レイヤー 2ブロックチェーン間の相互運用性
  • レイヤー 2ブロックチェーン独自のトークン

レイヤー 2の特徴①:レイヤー 1ブロックチェーンとの互換性

レイヤー2ブロックチェーンでは、オフチェーンでトランザクションを実行し、最終的な結果や証明をレイヤー1ブロックチェーンに送信します。これにより、レイヤー1ブロックチェーンのセキュリティやエコシステムを活用しながら、高速で低コストなトランザクションを提供できています。また、レイヤー1ブロックチェーンのスマートコントラクトと互換性がある場合が多く、既存のアプリケーションやプロジェクトの移行が容易という特徴をもっています。

レイヤー 2の特徴②:レイヤー2ブロックチェーン間の相互運用性

レイヤー2ブロックチェーンは、異なる種類のレイヤー2ブロックチェーン間で相互運用性を持つ場合があります。相互運用性とは、異なるシステムやプラットフォーム間でデータや資産をやり取りできることを指し、相互運用性があれば、ユーザーやサービスの選択肢が広がるという特徴があるため、その仕組みに注目が集まっています。

レイヤー 2の特徴③:レイヤー2ブロックチェーン独自のトークン

レイヤー 2ブロックチェーンは、独自のトークンを発行する場合があり、レイヤー 2ブロックチェーンのガバナンスやステーキングに使用されることが多く、ブロックチェーンの発展に貢献します。例えば、ポリゴン 、オプティズム 、アービトラムなどは、それぞれMATICトークンOPTトークンARBトークンを発行しています。一方で、独自トークンを発行しないレイヤー 2ブロックチェーンもあります。

Dencunアップグレードによるイーサリアムにおけるレイヤー2の繁栄

2024年3月にイーサリアムは「Dencunアップグレード」を実施し、ネットワークのスケーラビリティと取引コスト削減において大幅な進展を遂げました。このアップグレードによりL2(レイヤー2)ソリューションの利用が急増し、1日のトランザクション数と月間アクティブユーザー数が2倍に拡大しています。L2とは、メインブロックチェーン(レイヤー1)の負荷を軽減するために取引を処理するシステムであり、Dencunの導入によりネットワーク全体の効率が劇的に向上しました。

イーサリアムL1収益、L2手数料、ユーザーメトリクス、出典: Token Terminal

しかし、その一方で、イーサリアムのL1収益は減少傾向にあります。Token Terminalのデータによると、Dencun導入後、ETHの収益は3月5日の3550万ドルから8月末には56万ドルへと99%の急落を記録しました。さらに、CoinSharesのレポートによると、L2ソリューションの急速な普及は、イーサリアムL1ネットワークのトランザクション需要を奪うリスクがあると指摘されています。特に「EIP-4844」の影響でL2の取引手数料が低下し、L2の魅力が一段と増しています。

この収益モデルの変化により、今後イーサリアムは取引手数料収入からのシフトが求められるでしょう。

レイヤー 2ブロックチェーンの代表的コイン

レイヤー 2ブロックチェーンの代表的コインについて解説します。

  • ポリゴン (MATIC)
  • オプティズム (OP)
  • アービトラム(ARB)
  • Scroll(SCR)
  • Taiko(TAIKO)
  • ZKSync(ZK)
  • Starknet(STRK)

レイヤー 2の代表的コイン①:ポリゴン (POL)

ポリゴンは、イーサリアムのトランザクション処理を効率化するレイヤー2のソリューションで、もともと「マティック」として知られていました。現在は「POL」というトークンを用い、イーサリアムと互換性のあるDApp(分散型アプリケーション)の運用や取引手数料の支払い、ネットワークのガバナンスにも利用されています。

ポリゴンは、プラズマチェーンやzkロールアップ、オプティミスティックロールアップなどの技術を活用し、トランザクションをイーサリアムの外でまとめて処理し、データのみをメインネットに記録することで最大65,000件の処理速度を誇り、安価で高速な取引を実現します。、高速かつ安価に取引を行える仕組みを提供します。特にzkロールアップは、トランザクションの証明データだけを送るためガス代を節約でき、安全性も高いです。また、PoS(プルーフ・オブ・ステーク)ブリッジにより、開発者は柔軟にDAppを展開できる環境が整備されています。

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関連記事:ポリゴン(POL・MATIC)価格予測2024/2025/2030

レイヤー 2の代表的コイン②:オプティズム (OP)

オプティズムも、イーサリアムのスケーラビリティ問題を解決するために開発されたレイヤー2ブロックチェーンです。ロールアップ方式を採用しており、トランザクションをオフチェーンでまとめて処理することで、レイヤー1のトランザクション処理の負荷を軽減させているのが特徴です。

さらに、オプティミズムは「スーパーチェーン」構想を打ち出し、複数のブロックチェーンを接続して一つの大規模なネットワークのように機能させることを目指しています。このスーパーチェーンには、Coinbaseが開発するBaseやサム・アルトマン氏率いるワールドコインが参加しており、異なるプロジェクト間での相互運用性が向上します。これにより、より多くのトランザクションが効率的に処理され、全体のスケーラビリティとユーザー体験が大幅に向上します。

関連記事:ユニスワップ、クロスチェーン相互作用を最適化するレイヤー2ユニチェーンを発表

レイヤー 2の代表的コイン③:アービトラム(ARB)

アービトラムも、イーサリアムのスケーラビリティ問題を解決するためのレイヤー2ブロックチェーンで、ロールアップ方式を採用しています。これにより、トランザクションをオフチェーンでまとめて処理し、イーサリアムのレイヤー1の負荷を軽減します。また、イーサリアムのメインネットに依存することで高いセキュリティが確保され、スマートコントラクトやアプリケーションもスムーズに移行可能です。イーサリアム外で取引を処理し、結果のみを記録することで、取引コストを削減しつつトランザクションの高速化が実現され、効率的なスケーラビリティを提供します。

アービトラムとオプティミズムには、ロールアップの方式に違いがあります。アービトラムは「オプティミスティック・ロールアップ」を採用し、不正があった場合のみ証明を行う一方、オプティミズムも同じ手法を用いながら、アービトラムより手数料がやや低くなる設計です。一方で、アービトラムはより複雑なスマートコントラクトの互換性に優れており、プロジェクトの導入数でもリードしています。

関連記事:アービトラム、独自トークンをエアドロップ

レイヤー 2の代表的コイン④:Scroll(SCR

Scrollは、イーサリアムのスケーラビリティを向上させるレイヤー2ソリューションで、zkロールアップ技術を使用しています。zkロールアップとは、トランザクションのデータ量を削減することで処理を効率化し、メインチェーンへの負荷を軽減する手法です。Scrollは特にイーサリアムとの互換性を重視しており、開発者がイーサリアムのスマートコントラクトをそのまま移行できるため、開発の手間を削減できるのが特徴です。

他のzkロールアップとの違いとして、ScrollはイーサリアムのEVM(イーサリアム仮想マシン)をフルに再現しており、完全な互換性を提供することを目指しています。また、Scrollのネイティブトークン「SCR」は、ネットワークのガバナンスや手数料の支払いに使用され、エコシステム全体の安定性と効率性を保つ役割を果たします。

関連記事:スクロール、バイナンス上場前にSCRトークンエアドロップ

レイヤー 2の代表的コイン⑤:Taiko(TAIKO

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Taikoは、イーサリアムと完全互換性を持つことを目指した「タイプ1 ZK-EVM」を採用したレイヤー2プロトコルで、特にEthereumと同等の環境を提供することに注力しています。他のZKロールアップは特定の用途に特化していたり、Ethereumの一部の機能に対応していないものもありますが、Taikoはイーサリアムのすべてのスマートコントラクトを改変なしに利用可能とすることで、既存のEthereum dAppをそのまま移行できるのが特徴です。この完全な互換性が、開発者にとって大きな利便性を提供します。

さらに、Taikoはzkロールアップの証明方式により、オフチェーンでトランザクションをまとめて処理し、必要最低限のデータだけをメインチェーンに送ることで、スループットと手数料の効率化を実現しています。また、Taikoのネイティブトークン「TAIKO」は、ネットワークのガバナンスや手数料支払いに使われ、分散化とセキュリティを維持する重要な役割を担っています。完全オープンソースであり、誰でもブロック提案者や検証者として参加できる点でも、他のZKロールアップとは異なり、Ethereumの分散性と透明性を強化したプロトコルです。

関連記事:タイコー、「Genesis Airdrop」メインネット先行発売を発表

レイヤー 2の代表的コイン⑥:ZKSync(ZK

ZKsyncは、イーサリアムのレイヤー2スケーリングソリューションとして、zkロールアップ技術を活用し、トランザクションのスループットを向上させると同時に、手数料を削減します。ZKsyncでは他のzkロールアップ、例えばStarkNetは量子耐性を持つZK-STARK技術を使用している一方で、専用の開発言語Cairoを必要とするなど、技術的な違いがあります。

一方で他のzkロールアップのL2と同様に、ZKsyncはEVM互換性が高く、既存のイーサリアムdAppを改変せずに移行可能です。これにより、開発者は容易に既存アプリをZKsyncで利用でき、ユーザーもDeFiなどの複雑なアプリケーションを快適に利用できます。また、Matter Labsにより開発され、分散化とセキュリティを重視した構成が取られています。ZKトークンの導入により、ネットワークのガバナンスや分散化が行われています。

関連記事:ブエノスアイレス、ZKSyncとブロックチェーンデジタルIDで提携

レイヤー 2の代表的コイン⑦:Starknet(STRK

Starknetは、zk-STARK(Scalable, Transparent Argument of Knowledge)という独自のゼロ知識証明技術を採用したレイヤー2ソリューション。これにより、複数のトランザクションをオフチェーンで処理し、STARK証明としてまとめてイーサリアムに記録します。これにより、スループットの向上と手数料の削減が実現され、メインネットの負担が軽減されます。zkロールアップ技術を用いた他のレイヤー2ソリューションと比較して、Starknetは量子耐性とスケーラビリティに優れており、データの信頼性を確保しつつ、高い処理能力を提供します。

Starknetのzk-STARKは、従来のzk-SNARKとは異なり、信頼のある初期設定を必要とせず、透明性が高いのが特徴です。また、Starknetは専用のプログラミング言語Cairoを使用しており、他のzkロールアップと異なり、開発者が新たな学習コストを負う必要がありますが、高度なスケーラビリティを提供します。ネイティブトークン「STRK」は、ネットワーク手数料の支払い、ガバナンス、ステーキングに使用され、ネットワークの維持と成長を支える役割を果たします。

関連記事:Web3業界で注目のブロックチェーン技術「ゼロ知識証明」とは?

レイヤー 2ブロックチェーンの注意点

Cours Bitcoin

レイヤー 2ブロックチェーンの注意点を解説します。

  • セキュリティと信頼性の確保
  • オフチェーンでのトランザクション遅延
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セキュリティと信頼性の確保

レイヤー2ブロックチェーンの注意点①:セキュリティと信頼性の確保

レイヤー2ブロックチェーンの利用に際して、最も重要なポイントはセキュリティと信頼性の確保です。特にzkロールアップは、暗号学的証明を用いてオフチェーンの取引をメインチェーンに安全に送信できるため、イーサリアムのメインチェーンと同等のセキュリティを保ちやすいです。ただし、技術の進化や監視が依然必要であり、特に新たに導入されたレイヤー2ではセキュリティ対策の徹底が求められます。

オフチェーンでのトランザクション遅延

レイヤー2ブロックチェーンの注意点②:オフチェーンでのトランザクション遅延

レイヤー2では、取引がオフチェーンで処理され、メインチェーン上で最終的に確定します。zkロールアップは待機期間なく即時にトランザクションを確定できますが、オプティミスティックロールアップでは、不正取引を防止するためのチャレンジ期間が設定されているため、場合によっては数日かかることがあります。用途に応じて、トランザクションの遅延を考慮することが大切です。

まとめ:レイヤー 2ブロックチェーンは、ブロックチェーンの課題であるスケーラビリティやコストを解決する

本記事では、レイヤー 2ブロックチェーンの特徴と代表的コインについて解説しました。レイヤー 2ブロックチェーンは、ブロックチェーンの課題であるスケーラビリティやコストを解決するために開発された技術であり、トランザクション処理のスピードや効率の向上を目的としたブロックチェーンです。

代表的なコインとして、オプティズム 、アービトラムなどがあり、レイヤー 2ブロックチェーンが連携することで、ブロックチェーンの普及や発展に貢献することが期待されています。今後もブロックチェーン業界全体の動きに、注目していきましょう。

レイヤー 2ブロックチェーンに関するよくある質問

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