近年注目すべき暗号資産の新たな潮流として、現実資産(Real World Assets、RWA)をトークン化するプロジェクトが急速に注目を集めています。これらのプロジェクトは、不動産や債券、コモディティなどの現実世界の資産をブロックチェーン上でデジタル化し、よりアクセスしやすく、取引しやすくしています。本記事では、注目すべきRWAプロジェクト6選と、それらの銘柄を日本で購入する方法について紹介します。
RWAとは?現実世界資産のトークン化を徹底解説
RWAとは、不動産、債券、現金など、現実世界の資産をデジタルトークンに変換したものです。このトークンは、ブロックチェーンネットワーク上で発行・管理され、従来の資産とは異なるさまざまなメリットをもたらします。RWAは、物理的な資産所有権の概念を変革し、それらの権利をブロックチェーンネットワーク上で検証および保存できるデジタルトークンに変換するプロセスであり、資産の分割所有権、流動性の向上、セキュリティ、透明性などの利点があります。不動産の分割所有権は、このようなトークン化の優れた活用例の1つです。
RWAのトークン化は24年の注目領域としてさまざまなリサーチ機関が挙げており、ブラックロックのラリー・フィンクCEOも強気の見方を示しました。同氏は11日、米CNBCに対し、「ETFは金融モデルを改革する1段階目のステップだった。トークン化はその第2段階といえるだろう」と述べました。米著名ベンチャーキャピタルのパンテラキャピタルは、24年の暗号資産市場においてRWAのトークン化に関心を示しており、これには伝統的金融(TradFi)の商品のトークン化も含まれます。同社は、暗号資産がTradFi市場での露出を増やすことで、TradFi-DeFi間の橋渡しを実現し、投資家に流動性と多様性をもたらすと見ています。
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日本総研が23年11月に発表したレポートでは、「RWAトークンは資金調達の新手段として注目され、グローバル市場で取引可能な点が魅力だ。一方で、権利の移転や契約の理解が課題。消費者にとってアクセスの難しさや投機的な過熱を防ぐ必要がある」との見方を示しています。ボストン・コンサルティング・グループによれば、30年までのトークン化された資産の市場は約16兆ドルに達すると見込まれており、国際決済銀行(BIS)は「暗号資産業界はRWAのトークン化の成長を見据えているが、仮想通貨は従来の金融システムの役割を代替できるほどの完全なシステムではない」と評しています。
2024年注目のRWAプロジェクト6選
国内暗号資産取引所取り扱い銘柄
チェーンリンク
チェーンリンクは、スマートコントラクトに外部データを供給するための分散型オラクルネットワークです。このネットワークは複数の独立したオラクルノードで構成され、データの信頼性とセキュリティを確保します。これにより、トークン化されたRWAに必要な外部データを安全に提供します。
チェーンリンクは、トークン化されたRWAに対して重要な機能を提供します。例えば、Proof of Reserve機能により、オンチェーンの資産価値が常に最新の状態に保たれ、透明性と信頼性が向上します。また、堅ろうなオンチェーンアイデンティティシステムを通じて、個人情報を開示せずに資産の所有権を証明することが可能です。
具体例として、クロスチェーン相互運用プロトコル(CCIP)を通じて、異なるブロックチェーン間でのデータとトークンの移動を実現しています。例えば、ANZ Bankがトークン化された資産のクロスチェーン取引を成功させ、金融取引の透明性と効率性を高めています。また、23年8月、SWIFTは、BNP ParibasやBNY Mellonなどの主要金融機関とともに、ChainlinkのCCIPを使用してトークン化資産の転送実験を行いました。
チェーンリンクは、RWAのデータ供給と相互運用性を提供することで、金融システムの限界を超えるソリューションを提供し、金融の再プラットフォーム化における重要な役割を果たしています。
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Maker
MakerはEthereum上で動作する分散型アプリケーションで、Maker Protocolは開発者によって設計され、MakerDAOによって運営されています。MakerDAOは、世界中のMKRトークン保有者で構成され、これらの保有者はプロトコルの変更提案に投票し、Daiの安定性と透明性を確保しています。Makerの主な役割は、ステーブルコインDaiを提供することです。Daiは、米ドルにペッグされた分散型のステーブルコインであり、DeFiエコシステム全体の汎用性を高めています。
MakerDAOはRWAのトークン化において重要な役割を果たしています。具体的には、米国財務省債券への投資を通じて収益を多様化し、安定した収益を確保しています。この戦略により、MKR保有者は信頼性の高い投資機会を得ることができます。
さらに、MakerDAOはRWAを4つのセグメントに分類しています:
- キャッシュライク: 中央集権型ステーブルコインや短期政府債。
- クリーンマネー: 再生可能エネルギープロジェクトや持続可能な農業。
- その他のRWA: ERC-20トークンなど。
- 物理的にレジリエントなRWA: 簡単に押収できない実資産。
これにより、RWAの使用が促進され、金融サービスの可能性が広がります。例えば、米国財務省債券への投資により、MakerDAOは安定した収益源を確保し、約80%の収益をRWAから得ています。また、MKR保有者はこれらの資産管理に関する重要な決定に投票することで、プロトコルの運営に直接参加できます。
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XinFinネットワーク(XDC)
XDCネットワークは、貿易金融の効率化を目指し、企業や金融機関などエンタープライズに特化したブロックチェーンです。独自のコンセンサスアルゴリズムであるDPoS(Delegated Proof of Stake)を改良し、高速かつ低コストな取引を実現しています。 XDCネットワークは、貿易金融やサプライチェーン管理、クロスボーダーペイメントにおけるブロックチェーン技術の活用を推進しています。またトークン化を通じて、貿易金融資産や米国財務省債券のデジタル化を実現し、金融システムの透明性と効率性を向上させています。
XDCネットワークは、トークン化において具体的な役割を果たしています。XDCネットワークでは、トークン化された米国財務省債券(USTYトークン)が一例です。Blackrockが管理する米国財務省ETFに裏付けられたUSTYトークンは、伝統的な金融資産とデジタル資産の橋渡しを実現しています。また、プライベートクレジットのトークン化を通じて、不動産、消費者金融、フィンテックなどの多様なローンをデジタル化し、企業はより効率的な資金調達手段を得ることができます。さらに、RWA.xyzのような分析ツールを活用し、これらの資産のパフォーマンスや市場動向をリアルタイムで把握することが可能です。
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海外暗号資産取り扱い銘柄
Ondo Finance
Ondo Financeは、ブロックチェーン技術を用いて伝統的な金融資産をトークン化し、デジタルと伝統金融の融合を目指す企業です。主な目標は、機関投資家向けの高品質な金融商品を提供することです。Ondoは、トークン化されたRWAの実用性と透明性を向上させることで、投資家に新たな投資機会を提供しています
例 Ondoの代表的なRWA製品には以下のものがあります:
- USDY(USドル・イールド・トークン):
- 短期米国財務省債券と銀行預金によって裏付けられ、安定した米ドル建て収益を提供。
- 日次で独立機関による検証が行われ、透明性と信頼性を確保。
- OUSG(ブラックロック短期米国財務省ETFに基づくトークン):
- 米国財務省債券をトークン化し、高い流動性と安定性を提供。
- Flux Financeプロトコル:
- トークン化された資産を効率的に貸付市場に組み込み、不動産や消費者金融など多様なローンをデジタル化。
Centrifuge
Centrifugeは、RWAのトークン化に特化し、特に中小企業向けの資金調達を支援するための分散型プラットフォームです。これにより、投資家は安定した収益を得る機会を提供されます。CentrifugeはPolkadotとEthereumの両方に対応し、広範なエコシステムと統合しています。
Centrifugeの代表的な製品であるTinlakeは、企業が不動産や請求書などの資産をNFTとしてトークン化し、これを担保にして迅速に資金を調達することを可能にします。投資家はDAIなどのステーブルコインをTinlakeのプールにロックし、リスクに応じてTINまたはDROPトークンを受け取ります。TINトークンは高リスク・高リターン、DROPトークンは低リスク・低リターンを提供します。
Synthetix
Synthetixは、ブロックチェーン上で合成資産(Synths)の作成と取引を可能にするDeFiプロトコルです。合成資産とは、RWAの価値をデジタルで表現したものです。Synthetixは、これによりユーザーが多様な資産に投資できるようにし、暗号市場のボラティリティから保護します。
SynthetixのネイティブトークンであるSNXは、合成資産を担保にします。例えば、ユーザーは金や不動産の価値を追跡する合成資産を作成し、これを取引できます。これにより、投資家は安定した収益を得つつ、リスクを分散させることができます
日本でRWA銘柄を購入する方法:取引所と手順
海外取引所(例:Bybit)
- アカウントの作成
- Bybitの公式サイトでアカウントを作成し、本人確認(KYC)を完了させる。
- XRPの購入と送金
- 国内取引所(例:コインチェック、ビットバンク)でXRPを購入する。
- 購入したXRPをバイビットのウォレットに送金する。
- RWA銘柄の購入
- バイビットの取引画面で、XRP/USDTの取引ペアを選択。
- 成行注文または指値注文でRWA銘柄を購入する。
日本の取引所(例:コインチェック、ビットバンク)
- アカウントの作成
- コインチェックやビットバンクの公式サイトでアカウントを作成し、本人確認(KYC)を完了させる。
- 日本円の入金
- 銀行振込やクレジットカードで取引所のウォレットに日本円を入金する。
- RWA銘柄の購入
- 取引画面で、JPYの取引ペアを選択。
- 成行注文または指値注文でRWA銘柄を購入する。
まとめ
2024年の注目すべきセクタの1つは、RWAのトークン化と言えるでしょう。本記事では、RWAトークン化の利点や課題に加え、注目のプロジェクト6選を紹介しました。RWAトークン化は、資産の所有権の分割、流動性の向上、透明性をもたらし、金融の未来を形成します。日本でも取引所を通じて簡単にRWA銘柄を購入できるため、投資家にとって新たな投資機会が広がっています。
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