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ビットコインマイニングとは?

19 mins

ヘッドライン

  • ビットコインマイニングは、新しいビットコインを生成し、取引を承認するプロセスです。高度な計算能力と専門的な機器が必要で、ネットワークの健全性を保つ役割を果たします。
  • マイナーはブロックチェーン技術を使って取引をブロックにまとめ、チェーンに連結します。プルーフ・オブ・ワーク(PoW)を通じて数学的問題を解決し、取引の正当性を確認します。
  • ソロ、プール、クラウドマイニングの3つの方法があり、それぞれに利点とリスクがあります。電力消費や環境影響が大きく、規制の動向にも注意が必要です。

ビットコインマイニングとは、暗号資産ビットコインの取引を承認し、新しいビットコインを生成するプロセスを指します。この作業は高度な計算処理を必要とし、専門的な機器やソフトウェアを用いて行われます。この記事では、ビットコインマイニングの仕組みについてわかりやすく解説します。

ビットコインマイニングとは?

ビットコインマイニングとは、未発行のビットコインを生成する作業であり、取引の正当性を担保する根幹となるプロセスです。ビットコインには発行上限が設定されており、最終的には2100万枚まで発行される予定です。この作業を行う人々を「マイナー」と呼び、マイナーは新しいビットコインを獲得するために競争を繰り広げます。

ビットコインマイニングはビットコインの取引を検証し、ブロックチェーンに追加する作業です。取引が正当であることを確認し、ブロックにまとめ、これをチェーンに連結することで、データの整合性を保ちます。これにより、ビットコインネットワーク全体の信頼性と透明性が維持されます。

マイニングの仕組み

ビットコインはブロックチェーン技術に基づいており、分散型ネットワークで運用されます。各取引はブロックにまとめられ、これがチェーン状に連結されます。プルーフ・オブ・ワーク(PoW)は、マイナーが特定の数学的問題を解くことで取引を承認する仕組みです。このプロセスは膨大な計算能力を必要とし、そのために専門的な機器が使われます。

トランザクションの仕組みと確認プロセス

ビットコインのトランザクションは、ユーザー間で行われる取引情報がネットワーク内のノードによって検証され、ブロックチェーンに追加されます。取引の確認には、通常数分から10分程度かかります。これにより、二重支払いの防止が可能となります。

ブロックチェーンの基本概念

ブロックチェーンは、ネットワーク内で発生した取引の記録を「ブロック」と呼ばれる記録の塊に格納する技術です。各ブロックには取引の詳細が含まれており、これがチェーンのように連結されることでデータが保存されます。この連結されたブロックの集合が「ブロックチェーン」と呼ばれます。ブロックチェーンは分散型台帳技術とも呼ばれ、中央集権的なサーバーや管理者が存在せず、ネットワークに参加する全てのユーザーが台帳を共有します。これにより、情報の信頼性と透明性が確保され、不正や改ざんが難しくなっています。

ノードとその役割

出典:ソフトバンク

ノードとは、ブロックチェーンネットワークに参加する各コンピュータや端末のことです。各ノードはブロックチェーンのデータを保管し、取引の検証を行います。ノードは対等な関係にあり、中央管理者が存在しないため、各ノードがネットワークの信頼性を支えています。ノードは、新しい取引が発生するとそれを検証し、取引が正当であることを確認します。このプロセスにより、全ての取引が正確に記録され、データの整合性が保たれます。また、ノードは新しいブロックが生成される際にその情報を共有し、全体のネットワークが同期する役割も担っています。

マイナーとその役割

マイナーは、ビットコインのブロックを生成するために複雑な計算を行う専門のノードです。マイナーはハッシュ関数を用いて、特定の条件を満たすハッシュ値を見つける作業を行います。これにより、新しいブロックが生成され、取引が承認されます。マイナーはブロックを生成することで報酬を得るため、ビットコインネットワークに貢献します。

ブロックの構造

出典:NTTコミュニケーションズ

ブロック、トランザクション、ハッシュ ブロックは、複数のトランザクション(取引記録)をまとめたものです。各ブロックには、前のブロックのハッシュ値、新しい取引のハッシュ値、およびナンス(nonce)値が含まれます。これにより、ブロックチェーンは連続的に結合され、改ざんが極めて困難になります。

ハッシュ値

ハッシュ値とは、任意の長さのデータを固定長の値に変換するハッシュ関数を用いて生成される値です。ブロックチェーンでは、各ブロックが前のブロックのハッシュ値を含むため、一度生成されたハッシュ値を変更することは非常に困難です。わずかなデータ変更でも全く異なるハッシュ値が生成されるため、改ざんが事実上不可能となります。

ナンス値

ナンス(nonce)値は、一度だけ使われる数値を指します。ブロックチェーンにおいては、ナンスはマイニングの際に正しいハッシュ値を見つけるために使われます。マイナーはナンス値を変えながらハッシュ値を計算し、特定の条件(例えば、ハッシュ値の先頭に一定数のゼロがあること)を満たすハッシュ値を見つけることで新しいブロックを生成します。

関連記事:ブロックチェーンの仕組みとは?暗号資産の根幹となるシステムをわかりやすく解説

ハッシュレートの具体的な数値

ビットコインのハッシュレートは、マイニングする際に、電子機器が演算処理をこなす速度でネットワーク全体の計算能力を表す重要な指標です。

難易度調整

出典:BlockChain.com

ハッシュレートと難易度(Difficulty)には相関関係があります。ビットコインのブロック生成時間が「約10分に1度」と一定であるため、マイナー(ハッシュレート)が増えるとナンスの発見が容易になり、10分より早くブロックが生成される可能性があります。これを防ぐため、ビットコインのネットワークはDifficultyを調整し、ナンスを見つけにくくします。逆にハッシュレートが低下した場合はDifficultyを下げてバランスを保ちます。この調整は約2週間ごとに行われます。Difficultyが上昇すると、ビットコインの価格も上昇しやすくなりますが、マイニング報酬が減少し、マイナーにとって報酬獲得が難しくなります。これにより、ネットワーク全体の計算力が変動しても、ブロック生成の速度が一定に保たれます。

一方でビットコインはこれまでに4回の半減期を迎え、マイニング報酬は50BTCから3.125BTCまで減少しています。半減期により報酬が減る一方で、採掘難易度の上昇も影響し、マイニングが難しくなっています。ビットコインの価格と採掘難易度のチャートを見ると、採掘難易度が右肩上がりに上昇していることがわかります。2020年以降、マイニング企業が増加し、1人あたりの成功率が低下しています。加えて、世界的なインフレやロシア・ウクライナ情勢による燃料価格の高騰で電気代が上昇し、マイニングコストが増加しています。これにより、赤字を抱える企業も増え、アメリカの大手マイニング企業「Core Scientific」は2022年末に破産しました。

マイニングの種類と方法

  • ソロマイニング:ソロマイニングは、個人が単独でマイニングを行う方法です。報酬を全て独占できますが、成功する確率は低いです。
  • プールマイニング:プールマイニングは、複数のマイナーが協力してマイニングを行う方法です。報酬は参加者で分配されますが、成功確率が高くなります。
  • クラウドマイニング:クラウドマイニングは、専門業者が提供するサービスを利用してマイニングを行う方法です。初期費用が抑えられ、手軽に始められますが、報酬は業者に依存します。

関連記事:クラウドマイニングとは?/初心者向けガイド

マイニング機器の種類

出典:BitcoinWiki
  • ASIC:SICは高効率なマイニングを実現するための専用機器です。高額ですが、最も効率的にビットコインをマイニングできます。
  • GPU:GPUを利用してマイニングを行う方法です。初期費用が比較的安く、ビットコイン以外の通貨でも利用可能です。
  • CPU:CPUを利用する初期のマイニング手法ですが、現在ではほとんど利用されていません。

マイニングプール

パラグアイの暗号資産マイニング

暗号資産マイニングプールに参加すれば、採掘速度を上げ、難易度を下げることができるため、より効率的に報酬を得られるのがメリットです。実際、暗号資産の採掘難易度が上がるにつれて、プールに参加するマイナーが増えています。主な方式は2つあります。

比例分配マイニング

この報酬分配システムでは、マイナーの採掘努力量に応じて報酬が支払われ、報酬額はプールがブロックを採掘できたかどうかによって決まります。この方式は、ビットコイン価格が急騰している時には利益が出やすく、ビットコイン価格の上昇から得られる報酬は、難易度が上がっても利益を保証してくれます。

従量課金マイニング

報酬はプールの総マイニングパワーに応じて分配され、プールは利益をプール内で均等に分配するため、プールがブロックを採掘できなくてもマイナーは利益を得ることができます。この報酬体系は定額報酬を保証しており、ビットコイン価格が低い時に適しています。暗号資産は価格が常に変動しているため、マイニングを収益化させるためには常に価格の変化に対応する必要があります。

マイニングの電力消費量とコスト

ビットコインマイニングには高度な処理能力を持つコンピューターが必要であり、これを24時間稼働させるための電力コストが発生します。ケンブリッジ大学の研究によると、2023年5月時点でビットコインマイニングによって消費される年間の推定電力量は141.89テラワット時(TWh)です。日本の2021年の年間電力消費量の約15%に相当する電力量がビットコインマイニングに費やされています。

各国のマイニング事情

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中国でのマイニング事情

中国ではかつてビットコインマイニングが盛んに行われていましたが、政府の規制により公式には禁止されています。それでも、多くのマイナーがVPNを使用して規制を回避し、秘密裏にマイニングを続けています。これにより、中国は依然として世界のマイニング市場において重要な役割を果たしています。

アメリカの事例

アメリカでは、ビットコインマイニングが合法であり、特に電力コストの低い州で盛んに行われています。バイデン政権は環境への影響を懸念し、マイニング企業に対する課税を提案しています。

日本の事例

日本でもビットコインマイニングが行われており、東京電力パワーグリッドが100%出資するアジャイルエナジーXが、コンテナ型分散データセンターを利用したビットコインマイニングの実証実験を行っています。これにより、再生可能エネルギーの利用が進められています。

ブラックロックの投資事例

さらに米資産運用大手ブラックロックが2023年上半期、ビットコイン(BTC)マイニング大手4社へ大規模な投資を行っていたことが明らかとなりました。同社はビットコイン・マイニング時価総額上位5社のうち4社に出資し、現在、この4社の第2株主となっています。

  1. Riot Blockchain(RIOT):1074万9369株(6.14%)
  2. Marathon Digital Holdings(MARA):1億0930万8032株(6.44%)
  3. Cipher Mining(CIFR):220万0654株(0.88%)
  4. TeraWulf(WULF):483万1312株(2.28%)

同社によるビットコイン・マイニング企業への投資額は4億1150万ドルに達し、これは2022年に発表されたブラックロックの保有資産1176億ドルのうち、0.35%に相当します。

まとめ

Bitcoin

ビットコインマイニングは、高度な計算処理を伴う複雑なプロセスであり、成功するには深い知識と初期投資が必要です。環境への影響や規制の動向にも注意が必要ですが、新しい技術の導入により、持続可能な未来が期待されています。初心者でも適切な方法を選べばマイニングに参加できますが、リスクとコストを十分に理解した上で取り組むことが重要です。

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Shota Oba
国際関係の大学在籍中に国内ブロックチェーンメディアでのインターンを経て、2つの海外暗号資産取引所にてインターントレーニング生として従事。現在は、ジャーナリストとしてテクニカル、ファンダメンタル分析を問わずに日本暗号資産市場を中心に分析を行う。暗号資産取引は2021年より行っており、経済・社会情勢にも興味を持つ。
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