詳細を見る

暗号資産トンコイン(TON)の特徴や将来性について解説

19 mins

ヘッドライン

  • トンコインは暗号資産市場で急速に成長し、現在の時価総額ランキングで第10位に位置しています。
  • Telegramとの深い統合により、トンコインは高速なトランザクション処理能力と分散型アーキテクチャを提供します。
  • TONのエコシステムは、新しいdAppsやサービスの開発を支援する資金提供プログラムにより拡充されています。

トンコイン(TON)は、暗号資産市場で急速に存在感を高め、現在の時価総額ランキングで第10位にランクインしています。Telegramとの深い統合を背景に、トンコインは高速トランザクション処理能力と分散型アーキテクチャにより、ユーザーに迅速で効率的な取引体験を提供します。本記事ではトンコインについて詳しく解説します。

TONとは何か?

TON(The Open Network)は、Telegramによって最初に開発された分散型のレイヤー1ブロックチェーンプラットフォームです。大量のアプリケーションとトランザクションを処理できる高性能なブロックチェーンとして設計されました。

TONは、パヴェル・ドゥーロフ氏率いるTelegramが、そのメッセージングサービスと統合されたブロックチェーンプラットフォームを作成し、安全で高速かつスケーラブルなアプリケーションを可能にすることを目指して立ち上げられました。2018年にTelegramはTelegram Open Networkのホワイトペーパーを公開し、大きな注目と投資を集めました。しかし、米国証券取引委員会(SEC)の介入により、プロジェクトは2020年に停止されました。その後、Telegramはプロジェクトからの撤退を発表しましたが、開発者コミュニティによってTONの技術が引き継がれ、Free TONとして再スタートし、その後The Open Networkとして進化しました。

トンコイン(TON):TONのネイティブトークン

トンコインは、TONエコシステム内で多面的な役割を果たすネイティブトークンです。dApps(分散型アプリケーション)の運用を支える基盤として機能し、トランザクション処理やクロスチェーン取引の手数料支払いに使用されます。ネットワークのセキュリティを強化するためのステーキングにも利用され、TON DNSやTON Proxyなどの分散型サービスの利用にも必要です。さらに、TON VOTEプラットフォームを通じたガバナンスにも使用され、コミュニティの意思決定プロセスに参加することができます。

TONの技術的特徴

パヴェル・ドゥーロフ、ドゥーロフ、テレグラム創設者

1. 自動調整型無限シャーディング・マルチチェーン・アーキテクチャ

TONブロックチェーンは、自動調整型の無限シャーディングマルチチェーンアーキテクチャを採用しています。シャードチェーンとは、トランザクションを効率的に処理するためにブロックチェーンを分割した部分チェーンです。同アーキテクチャにより、TONは各アカウントチェーンをまずシャードチェーンにグループ化し、これらのシャードチェーンが相互に連携することで、複数のチェーン間で同時にトランザクションを処理します。これにより、TONは高い処理能力とスケーラビリティ(拡張性)を実現しています。

2. 非同期メッセージ配信とハイパーキューブルーティングメカニズム

非同期メッセージ配信とは、トランザクションやメッセージを即座に処理せず、後で処理する方法です。TONの非同期メッセージ配信は、ネットワーク内のトランザクションとメッセージ交換を即時に処理せず、別々のタイミングで処理を行うことを可能にします。これにより、トランザクションが独立して同時に処理され、スケーラビリティが向上します。ハイパーキューブルーティングメカニズムは、シャードチェーン間のメッセージを効率的にルーティング(経路選択)する方法であり、これにより遅延を最小限に抑え、全体の処理能力を最大化します。

3. クロスシャード・トランザクション

クロスシャードトランザクションとは、異なるシャードチェーン間でデータや価値を交換するトランザクションのことです。TONは、クロスシャードトランザクションを効果的に処理する能力を持っています。これにより、異なるシャードチェーン間でのデータや価値の交換がスムーズに行われ、ネットワーク全体の処理能力とスケーラビリティを維持することができます。TONは、ハイパーキューブ構造を使用した高度なルーティングメカニズムを通じて、シャードチェーン間のシームレスな通信を実現しています。

4. ダイナミック・シャーディング

ダイナミックシャーディングとは、ネットワークのトランザクション負荷に応じて、シャードチェーンを動的に分割または統合するプロセスです。これにより、ネットワークが効率的に拡張し、トランザクション量に関係なく高性能を維持することが可能になります。

5. PoSコンセンサスメカニズム

プルーフ・オブ・ステーク(PoS)コンセンサスメカニズムは、トークンを保有するユーザーがトランザクションの検証に参加し、その報酬を受け取るシステムです。TONはPoSコンセンサスメカニズムを採用しています。ネットワーク内のバリデータ(取引の検証者)は、保有するトークンの量に基づいて選ばれ、トランザクションを検証し、新しいブロックを作成します。このプロセスは、ネットワークのセキュリティを強化し、分散化を促進します。

6. BFTメカニズム

Byzantine Fault Tolerance(BFT)メカニズムは、ネットワークが一部の悪意あるノードの存在下でも正確に動作することを保証するアルゴリズムです。TONは、Byzantine Fault Tolerance(BFT)メカニズムを活用しています。これにより、TONは高い耐障害性とセキュリティを実現しています。具体的には、BFTメカニズムはノード間の合意形成を効率的に行い、ネットワークの信頼性を向上させます。

7. TONバーチャルマシン(TVM)

TVM(TON Virtual Machine)は、分散型ネットワーク上の仮想マシンで、スマートコントラクトを実行する環境です。スマートコントラクトとは、条件が満たされると自動的に実行されるプログラムのことです。これは、イーサリアムのEVM(Ethereum Virtual Machine)と同様の役割を果たし、コントラクトアプリケーションからの命令を計算し、実行後にネットワークの状態を変更します。TVMを使用することで、開発者は資産の転送、資産の発行、メッセージの署名などのプロセスを自動化するアプリケーションを作成することができます。

関連記事:イーサリアム仮想マシン(EVM)とは?特徴や仕組みについてわかりやすく解説

8. マスターチェーンとワークチェーンの統合

マスターチェーンとは、ネットワーク全体を管理・調整するチェーンのことです。一方、ワークチェーンは特定のタスクを処理するためのチェーンです。TONは「ブロックチェーンのブロックチェーン」として設計されており、これらのマスターチェーンとワークチェーンの2つの主要なチェーンで構成されています。マスターチェーンはネットワークのコーディネーターとして機能し、バリデータノード(取引の検証者)、ネットワークにステークされた資産、およびネットワーク内の異なるコンポーネントの同期を管理します。一方、ワークチェーンはスマートコントラクトや分散型アプリケーションからのリクエストを処理します。ワークチェーンは複数のシャードチェーンに分割され、各シャードチェーンが並行してトランザクションを処理することで、全体の効率性を高めています。

TONのエコシステムの拡充

TONのエコシステムには、TON DNS、TON Proxy、TON Storageなどの多様なサービスが含まれています例えば、TON DNSは、人間が読みやすい名前をアカウントやスマートコントラクトに割り当てることで、ユーザーエクスペリエンスを向上させます。また、TON Proxyは、分散型VPNやTORのようなネットワークを提供し、ユーザーのプライバシーを保護します。

TONのエコシステムは、今後も拡充し続ける予定です。例えば、TON Foundationは、新しいdAppsやサービスの開発を支援するための資金提供プログラムを運営しています。このプログラムを通じて、多くの開発者がTONエコシステムに参加し、新しいサービスやアプリケーションを開発することが期待されています。これにより、TONの利用がさらに拡大し、エコシステム全体が成長するでしょう。

トンコイン(TON)のトークノミクスと市場動向

TONネットワークには、6月時点で700以上のdAppsが存在し、DeFiの総ロック価値(TVL)は5.7億ドルを超えています。トンコインの最大供給量は50億トークンで、現在の循環供給量は約34.7億トークンです。この供給モデルは、ネットワークの運用ニーズとバリデータおよびステーキングの報酬システムを支えています。

トンコインの経済モデルは、ネットワークへの参加と投資を奨励するように設計されています。バリデータは、ブロックチェーンの維持とセキュリティのためにトンコインで報酬を受け取り、ユーザーはトークンをステーキングして追加の報酬を獲得することができます。これにより、ネットワーク全体の堅牢性が向上します。

トンコインの価格動向と予測

YearYearly LowYearly High
2025$ 8.03$ 38.16
2026$ 6.69$ 21.41
2027$ 7.34$ 15.09
2028$ 10.86$ 25.71
2029$ 20.76$ 51.68
2030$ 20.49$ 33.22
出典:coincodex

1月時点で、トンコインの価格は2.30ドルからスタートし、4月中旬には$7を超えるまでに上昇しました。これにより同コインの時価総額は220億ドルを超えました。CoinCodexの価格予測によると、トンコインの価格は2024年中に10ドルから27ドルを超える可能性があります。

中長期的な価格予測としては、2024年7月には$26.30に達し、2025年には$37.93まで上昇する可能性があります。さらに2030年には、トンコインの価格が$33.20から$51.65に達することが予測されています。

今後の展望

TelegramのIPO(新規株式公開)の可能性は、トンコインに大きな影響を与えると予想されています。Telegramのエコシステム全体が注目を集め、TONへの投資と採用が増加する可能性があります。さらに、TONの技術とサービスが進化し続けることで、トンコインはますます魅力的な投資対象となるでしょう。

さらに、2024年4月にはテザーがTONブロックチェーン上でUSDTを導入し、TONはテザーをサポートする16のブロックチェーンの中で11位に位置しています。これにより、クロスボーダー取引が無料かつ即時に行えるようになり、個人投資家などにとっても大きな利便性を提供すると見込まれています。現在、トンコインは日本のビットポイントに上場しており、近日中にはOkCoinJapanへの上場も予定されています。

TONのロードマップ

Telegram, Pavel Durov, Notcoin, NOT, Ton Blockchain, TON

TONの発展と拡張のためのロードマップには以下のような主要なマイルストーンがあります。

2023年第4四半期

  • TONベースの自己管理型暗号ウォレット「TON Space」をTelegramに統合。
  • スケーラビリティと速度のデモンストレーション。
  • Ledgerとの統合。
  • The Gateway Conferenceの開催。

2024年の展望

  • TON Foundationは、TONエコシステムのさらなる拡張を目指し、新しいdAppsやサービスの開発を支援する資金提供プログラムを実施。
  • TetherのUSDTおよびTether Gold(XAUT)の導入により、クロスボーダー取引の促進。
  • TON Proxyの拡張によるプライバシー強化。

長期的な目標

  • TON DNSの普及拡大。
  • TON Paymentsのさらなる拡張。
  • TON Storageの機能強化と普及。
  • PoSコンセンサスメカニズムの最適化。

まとめ

トンコインは、その技術的な優位性とTelegramとの統合によるユニークな利点から、暗号資産市場で注目されています。高速トランザクション処理、低手数料、強力なセキュリティ機能を備えたTONは、今後も成長と広範な採用が期待されます。特に、日本市場での上場と普及が進むことで、TONの価値がさらに高まるでしょう。投資家にとっても、トンコインは魅力的な投資対象となり得ます。

ベスト暗号資産取引所
ベスト暗号資産取引所
ベスト暗号資産取引所

Trusted

Follow us on:

X(Twitter):@BeInCryptoJapan
Telegramチャンネル:@BeInCrypto Japan オフィシャルチャンネル

免責事項 - Disclaimers

当ウェブサイトに掲載されているすべての情報は、誠意をもって作成され、一般的な情報提供のみを目的としています。当ウェブサイトに掲載されている情報をもとに読者が取る行動は、あくまでも読者自身のリスクで行うものとします。「Learn」サイトでは、質の高い情報を提供することを第一に考えています。私たちは、読者にとって有益な教育的コンテンツを特定し、調査し、作成するために時間をかけています。この基準を維持し、素晴らしいコンテンツを作成し続けるために、私たちのパートナーは、私たちの記事への掲載に対して手数料を支払う場合があります。しかし、これらのコミッションは、偏りのない、誠実で有益なコンテンツを作成するためであり、私たちの活動プロセスに影響を与えることはありません。

shota_oba.png
Shota Oba
国際関係の大学在籍中に国内ブロックチェーンメディアでのインターンを経て、2つの海外暗号資産取引所にてインターントレーニング生として従事。現在は、ジャーナリストとしてテクニカル、ファンダメンタル分析を問わずに日本暗号資産市場を中心に分析を行う。暗号資産取引は2021年より行っており、経済・社会情勢にも興味を持つ。
READ FULL BIO
スポンサー
スポンサー