金融大手のモルガン・スタンレーはこのほど、ビットコインやCBDCなどを含むデジタル通貨の見解を示すレポートを公開した。同社はレポートで米ドルの国際金融システムにおける支配的な地位は、地政学的変化や米国の負債の増加に伴い、再考されつつあると指摘。ビットコイン(BTC)やステーブルコインの取引量の増加、中央銀行デジタル通貨(CBDC)の登場が通貨の在り方に大きな変化をもたらす可能性があるとしている。
米国は世界のGDPの約25%を占める一方で、ドルは世界の外貨準備の約60%を占めている。米ドルはこの優位性にも関わらず、一部の国々は米国の金融政策や経済制裁に反応し、他の通貨への移行を検討している。
同社はブロックチェーンにある規制上の課題の懸念が加味されているものの、同社は各国のビットコインの採用が顕著であると指摘。さらにビットコインの採用は投機目的を超えて進化しているとし、デジタル資産の世界的な認識と使用におけるパラダイムシフトの可能性があるとした。ビットコインは、23年時点でで世界中に約1億600万人の保有者を持ち、エルサルバドルでは法定通貨として採用されている。時価総額はスイスのGDPに匹敵し、ピーク時にはサウジアラビアを超える規模に達した。
モルガン・スタンレーは米ドルに連動するステーブルコインの普及は指数関数的に増加しており、22年にはパブリックブロックチェーン上で約10兆ドルの取引が行われたと指摘。VISAやペイパルなどの金融大手もこの技術を取り入れ始めており、支払いと国際取引におけるブロックチェーンの効率性を活用している。同社はステーブルコインの増加する重要性は、国際金融の在り方変える可能性があり、ドルを世界の基軸通貨としての地位を強化する可能性を示唆しているとした。SBIホールディングスは11月、USDCの日本国内発行の予定を明かしていた。
CBDCの開発国の総GDPは世界全体の95%を占める
同社は中央銀行デジタル通貨(CBDC)への世界的な関心が高まっていると主張。23年半ばには、111カ国がCBDCを開発しており、これらの国々は世界GDPの95%以上を占める。CBDCは、中央集権化された基盤インフラで管理されるデジタル化された国の通貨であり、中央銀行によって発行・規制される。これにより、効率性の向上と取引コストの削減が目指されている。中国は20年にデジタル人民元を導入し、取引は1.8兆元に達した。ブラジルもデジタル通貨DREXのパイロットを計画しており、これはトークン化された銀行預金に基づく取引を目的とする。同社はCBDCの普及は、国境を越えた支払いにおける新たな標準を設定し、従来の仲介業者への依存を減らす可能性があるとした。一方で、米前大統領のドナルド・トランプ氏は18日、CBDCの発行に反対すると表明した。デジタル通貨の動向をめぐっては11月に控える大統領選に注目が集まるところだ。
デジタル資産、暗号通貨は将来的に主流化する
モルガン・スタンレーは国家がドルの代替通貨を模索するなかで、デジタル資産、暗号通貨の発展は米国の外交および金融政策やグローバル競争の影響を受けており、越境取引や中央銀行の準備高からドル離れの動きを促進しているとした。米国では暗号資産に対する厳しい規制体制から、関連関係者からのロビー活動費は23年第3四半期には最高値を更新した。
同社はさらに、デジタル通貨の初期採用が徐々に進み、将来的に主流化するとみている。このため、グローバル市場と金融技術の変革に対応する戦略の適応がグローバル投資家にとって重要となると指摘。法定通貨、ビットコイン、Eマネー、ステーブルコイン間の相互作用を理解することが、国際貿易および金融の未来において重要であると説いた。
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