ビットコインのキャリートレードが、米国債の利回りを上回った。8月7日、シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)のビットコイン(BTC)先物キャリーの年率換算利回りは5.69%から7.89%。これは同日の2年物米国債利回り4.19%を大きく上回る水準。
この逆転は債券市場にとって難しい局面となった。長期米国債利回りは2007年以来の高水準となっており、予想値は引き続き引き上げられている。
債券アナリストは利回り見通しを引き上げ続ける
ロイターの調査では今後債券市場が落ち着くという見方が示された。中央値は10年物利回りについて、3カ月後4.5%、1年後4.34%と見積もる。2年物は3.8%まで低下する予想。
しかし同調査で警戒感も浮き彫りになった。22人中18人のストラテジストが「10年物利回りは、予想を下回るよりも上回る可能性が高い」と回答。
こうした慎重な姿勢には実績が影響している。今年3月、同じ調査シリーズでは、10年物利回りの1年後水準を4.25%と予想していた。しかし5カ月後の現在は4.7%を超えて推移。
一方、長期債は既に独自の動きを見せている。30年物利回りは火曜日に5.27%へ上昇し、2007年以来の高値。BeInCryptoでも7月末、30年物米国債利回りが2007年の高値を更新したニュースを報じた。
実質利回りの上昇が主因であり、インフレ期待が要因ではない。言い換えれば、米国の財政赤字や大規模債券発行に対するリスクプレミアムが拡大している現状。
ビットコインのキャリートレード、2年債を上回る
キャリートレードの仕組みは単純。現物ビットコインを購入し、CME先物を売り建てる。2つの価格差がリターンとなり、期日に向けて収束した際に差益が得られる。暗号資産版の「クーポン」といえる。
8月7日、この価格差が米国債利回りを上回った。6万4880ドルのCMEニューヨーク現物指標に対し、8月物先物は6万5175ドルで決済。年率換算すると7.89%。
9月物は6.25%、12月物は5.69%。一方、米財務省の公式データによると、同日2年債は4.19%、8月10日には4.25%。
ポジション動向もこの流れが本物であることを示唆。CMEデータによれば、ヘッジファンドが今月、ビットコインに対し数年ぶりに強気な姿勢を取った。
歴史的に、これらファンドはネットで先物を売り建てる傾向があり、保有現物やETFのヘッジとして利用してきた。
ETFへの資金流入進むも、その内訳が重要
現物側にも新たな資金が流入している。Farsideによると、米国のビットコイン現物ETFは8月7日までの1週間で8億6500万ドルの資金流入があり、全取引日がプラスとなった。うちブラックロックのIBITが約6億9400万ドル、全体の約8割を占める。
ただし、こうした資金流入だけでは動機は判断できない。ETFの買いと先物ヘッジの関連を示す公的データは存在せず、商品先物取引委員会(CFTC)の統計でもトレーダー区分別の合計ポジションしか集計されない。
また、グロス利回りは取引条件を実際より好条件に見せる。資金調達や証拠金、手数料など諸費用の控除前数値であり、デスクが最終的に得る利益はさらに少なくなる。国際決済銀行(BIS)の調査によれば、暗号資産キャリーはブーム期に年率40%超に達した事例もあるが、証拠金調達コストのため裁定資本が完全には流入しきっていないという。
ビットコイン価格はおよそ6万3930ドル、直近1日で0.3%上昇。注目点は諸経費差し引き後のネット利回りで、CMEの建玉やETFフローと合わせて注視が必要。水曜日発表予定の7月CPIで、市場動向が変化する可能性がある。









