Bitwiseのマット・ホーガンCIOは、金融アドバイザーが暗号資産に依然として関心を持っているものの、現在はビットコインよりもステーブルコインやトークン化により注目していると指摘した。同氏は、1日の営業活動で40人を超えるアドバイザーと対話した結果、この結論に至った。
データ分析会社アルテミスも同様の傾向を示している。SECへの提出書類や投資家向け資料でステーブルコインが言及された件数は、2026年第1四半期に約1000件と過去最多となった。
ステーブルコインとトークン化が主役に
ホーガンCIOは、これらの議論について6月10日に発表したメモで振り返った。同氏によると、月曜日には8組のアドバイザリーチームと会ったが、同氏のBitwise着任以来最も多忙な1日だったという。
ビットコインについて議論を深めることは難しかったと同氏は認めた。ビットコインの価格が6万ドル近辺と長期投資家には魅力的な水準だったとしても、関心は低調だった。
会話はむしろ、決済や資本市場、トークン化資産に繰り返し戻った。
ホーガンCIOは、関心の移行要因として2つを挙げる。
- 法定通貨の価値棄損を意識した取引が弱まり、金の価格も過去最高値比で約2割下落している
- SECのポール・アトキンス委員長やブラックロックのラリー・フィンクCEOによるステーブルコインの議論が、金融専門番組で恒常的に取り上げられている
「次のサイクルで金融アドバイザーが暗号資産の純買い手となると考えているなら、最初に資金が流れるのは、ステーブルコインやトークン化と結びついた投資先になるだろう」とホーガンCIOはメモに記した。
同氏は、イーサリアム(ETH)やソラナ(SOL)などトークン化の基盤となるブロックチェーン、ステーブルコインと連動したサークル(CRCL)やコインベース(COIN)の株式が今後恩恵を受けるとみている。
この傾向は、2022年の暗号資産暴落から立ち直らせたスポットETFの進展など、過去サイクルのパターンを想起させると同氏は指摘する。
注目度のピークか、新たな普及段階か
アルテミスは、エピソードに加えて定量的データも示している。ステーブルコインへの言及は企業情報開示の中で2026年第1四半期に過去最高水準を記録した。
規制動向もこのタイミングを後押しした。2月19日にはSECが、ブローカーディーラーが決済用ステーブルコインに対し2%の資本割引(ヘアカット)を適用でき、ほぼ現金同等物とみなす方針を発表した。
この指針は、2025年に制定された決済用ステーブルコインの連邦区分を新設したGENIUS法を受けている。
利用状況もこれを裏付ける。ファイヤーブロックスが2025年3月に295人の金融機関幹部を調査したレポートによれば、機関投資家の49%はすでにステーブルコインを決済に活用しているという。
状況の変化には2つの側面がある。
- アドバイザーの関心は新たな資金がステーブルコインやトークン化関連銘柄に向かう可能性を示している
- 一方で、言及件数がピークに達したことは、企業の発信の中でテーマがすでに飽和している兆しともいえるが、株式や金、米国債などがピッチ資料上だけでなく実際にオンチェーン化されつつある
現実資産のトークン化も、昨年の下落局面を乗り越えた例となっている。
ホーガンCIOは、インベストメント・アドバイザー協会によれば175兆ドル超の運用資産を管理する金融アドバイザーを、新たな投資家層と位置付け、2026年の下落局面を終わらせる存在になる可能性に言及した。
したがって、同氏が以前に行った「クリプト冬」予想が的中したことを踏まえると、今回の動きは一層重要になっている。
第1四半期の言及急増が飽和を示しているのか、実装段階の幕開けなのかは第2四半期の提出書類が出揃うことでより明確になる見通し。
当面は、アドバイザーの需要が市場にとって具体的な普及シグナルとなる。









