BNBチェーンのトレーニング動画用に作成されたウォレットが活動を再開した。BNBチェーンは、元従業員がいまだに秘密鍵を保有しており、社内で承認されていないミームトークンを発行したと説明している。
同社は現在、この人物を提訴中である。トークンの所有も支援も行っておらず、ウォレットの管理権限も持たないと主張する。
トレーニング動画で実際のウォレットが生まれた経緯
発端は1つのレッスンだった。従業員がBNBチェーンのハウツー動画用に、ウォレットアドレスを作成し、トークンも発行した。
そのトークンはデモ用だった。取引利用は想定されていなかった。ウォレットも未使用のまま放置される予定だった。
その後、その従業員は会社を退職した。BNBチェーンは、同氏がウォレットのシードフレーズを保持し続けていたと指摘する。
シードフレーズとは短い単語のリストである。それを持つ者は、ウォレットを永久に所有できる。BNBチェーンによると、元従業員はこの単語を使い、新しい秘密鍵を生成したという。
これがリスクである。従業員は去っても、その単語はノートに残る。一部のウォレット開発者はシードフレーズによるセキュリティリスクがセルフカストディ最大の脆弱性だと指摘している。
BNBチェーン「当社のトークンではない」
数か月後、その旧アドレスが再び現れた。今度は新たなミームトークンと紐付いて登場した。BNBチェーンは公式関与を全面否定した。
「現在、同じアドレスが新しいミームトークンと独立して関連付けられていることを確認しております。BNBチェーンはこのトークンの作成、承認、プロモーション、関与を一切しておらず、トークンやウォレットアドレスを管理していません」とチームは声明で述べた。
なぜ否定声明を急いだのか。ミームコインは、発行主体への期待感で価格が左右されやすいからである。BNBチェーン上のトレーダーは、かすかな公式関与だけで殺到することがある。
これはバイナンス創業者チャンポン・ジャオを冠したトークンで起きたミームコイン取引ブームでも同様だった。今年初めにも、同氏はBNBチェーンのミームコインに関する噂を否定せざるを得なかった。
ウォレットアドレスは承認の証のように見えることがある。しかし、多くの場合、社内で承認された事実はない。
「この人物は詐欺師だ」と、バイナンス創業者・前CEOのチャンポン・ジャオはコメントした。
BNBは土曜日に下落した。本稿執筆時点で579.62ドルと、1日で2%安。時価総額は約772億ドル。
今後の見通し
BNBチェーンは、当該人物や新ミームトークンの名称を公表していない。訴訟の管轄地にも言及していない。法務・警察の双方が関与していることだけ明らかにした。
今回のケースは異例である。従来の暗号資産訴訟はハッキングや詐欺が多い。今回は、元従業員が引き渡さなかった単語のリストが問題となっている。
司法もほとんど前例がない。判事は窃盗、契約不履行、違法アクセスなどと判断する可能性がある。
今回の判断は、暗号資産企業の退職時プロセスのあり方を左右する潜在性がある。まずは訴訟の行方に注目だ。









