フィデリティはSpaceXの新規株式公開(IPO)への参加条件を最大50万ドルからわずか2000ドルへ大幅に引き下げ、今年最大規模となる株式上場を数百万の個人投資家に開放した。今後は、5つの証券会社によるフリッピング規則が、そのアクセス維持を左右する。
この動きは、SpaceXが提供株式の最大30%を個人顧客向けに確保したことを受けたもの。これは、通常割り当てられる小口比率を大きく上回る。今回の決定により、一般投資家は総額約1兆7700億ドル規模の上場案件に希少な形で参入できる。
フィデリティ、SpaceXのIPOを個人投資家に開放
フィデリティは今週、参加条件の引き下げを認め、個人割当枠の拡大を強調した。50万ドルだった最低参加額を2000ドルまで下げることで、既存の参加障壁の約99.6%を取り払う。フィデリティは、枠の拡大によって一般顧客向けの配分が大幅に増えると説明している。
SpaceXは、約5億5560万株を1株あたり135ドルで売り出す予定。規制当局への提出書類によれば、資金調達額は約744億ドル、引受業者によるオプション行使時は最大857億ドルとなる。
同社株はナスダックで銘柄コードSPCXで取引予定。上場日は6月12日に予定されている。本IPOは過去最大の上場案件となり、サウジアラムコを上回る見込み。
個人配分の拡大は大きな変化だが、購入条件では短期転売よりも長期保有を優遇する。参入を検討している投資家には、事前にSpaceX株を取得する方法も複数ある。
IPO参加資格を失う恐れのある5つの証券会社のフリッピング規則
引受業者は、IPO割当株をすぐに売却する投資家を好まない。この“フリッピング”行為に対し、多くの証券会社が将来のIPOへのアクセス制限といった処分を科している。
この行為は規制上も明確に定義されている。米ウォール街の監督当局であるFINRAは、IPO株の取得から30日以内の売却をフリッピングと扱っている。
2011年施行のルール5131では、引受業者がシンジケートへのペナルティビッドを科さない限り、証券会社はフリッピング株に関する担当者の歩合報酬を差し引いてはならないと定めている。
証券会社はこの圧力を自社ルールにより顧客に転嫁している。フィデリティはSpaceXのIPOで独自の定めを設ける。
- 上場初日から15日以内の売却で、顧客は“フリッパー”に認定される。
初回違反では半年間の取引停止、2回目は1年間、3回目は社会保障番号と紐づく永久停止となる。
16日目以降は自由に売却できる。15日の指定期間は本規定の中で最短で、FINRAの基準期間(30日)の半分。
- ロビンフッドは30日以内の売却すべてをフリッピングとする。
違反者は全IPO案件で60日間アクセス権を失う。
- SoFiも30日ルールを適用。
違反時は180日、続いて365日、さらに永久停止へと段階的に制裁が強化される。
またSoFiは、上場120営業日以内の売却に対し50ドルの手数料を課す場合がある。
この手数料は、規定期間内の後半の売却では5ドルに減額。
- チャールズ・シュワブは、案件ごとに参加条件を設定。
早期売却には今後のIPO参加資格制限が伴う場合が多く、初回フリッピングでおおむね半年間が目安。同社はその都度、条件の確認を推奨している。
- E*Tradeはフリッパー認定アカウントに注意喚起しており、一定期間IPO参加権が剥奪される。
これらの規則は、株式本確定前から投資家に適用される。IPO申込時には「購入希望申請(条件付きオファー)」を提出しなければならない。
この申請を出すことは、その案件の反フリッピング規則への同意を意味する。
投資家は必ずSpaceX専用の適用条件を証券会社に確認することが重要。
IPOごとに個別規則が設けられる場合があり、上記のペナルティも変更される可能性がある。初日に小さな利益を狙った結果、次回話題の上場案件に参加できなくなるリスクもある。
需要とボラティリティが個人投資家向け機会に影を落とす
注目すべき点として、アクセスが広がっても必ずしも割当が得られるわけではない。対象となるのは約5億5560万株。時価総額1兆7000億ドル(1株あたり135ドル)の試算では、発行済株式数はおよそ130億株となる。
結果として、フリーフロートは約4%にとどまり、供給が極めて限定されるため、初値段は大きく変動する可能性がある。
この評価額は、急速な成長を前提にしている。ゴールドマン・サックスは投資家に対し、スペースXのAI収益が2030年までに約100倍に拡大すると伝えており、これが時価総額1兆7800億ドルの根拠とされている。
こうした予測は裏付けがなく、赤字のxAI部門への依存度が高い。
それでも、ウォール街の需要は非常に強い。JPモルガンのジェイミー・ダイモンCEOは自ら顧客に案件を紹介する予定であり、同行は90拠点で2500人超を対象としたライブセッションを計画している。
バンク・オブ・アメリカも同様のイベントを主催した。この状況から、小口投資家の注文は大幅に調整される可能性が高い。
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ただし、熱狂の一方で慎重姿勢も色濃い。スペースXは直近で四半期赤字を計上し、イーロン・マスク氏は全株式を366日間ロックし、議決権の約85%を維持している。
個人投資家にとって計算は明快。長期保有者はフリップペナルティの影響を受けず、短期売却者は今後の重要案件への参加資格を失うリスクがある。





