ビットコイン財務戦略を掲げるTwenty One(XXI)のジャック・マラーズ氏は21日、最高経営責任者(CEO)の役職を退任した。同氏は数か月前、マイクロストラテジーのビットコイン戦略を巡り、mNAVの算出方法やデジタル金利についてマイケル・セイラー氏へ公開質問を投げかけていた。
ストライク創業者でもあるマラーズ氏は、経営方針を巡る取締役会との対立が退任の理由であると説明した。市場では、今回の退任は同氏が年初の講演で示したビットコイン財務戦略への問題提起と一連の流れにあるとの見方が広がっている。
マラーズ氏、Twenty OneCEO退任へ=取締役会と対立
マラーズ氏は今週、その決断を発表した。XXIは2025年12月9日に上場し、同氏の在任期間はわずか7か月であった。上場時には約4万3500ビットコイン、当時の時価で約40億ドルを保有していた。テザー、ビットフィネックス、ソフトバンクが支援していた。
テザーは2026年5月にソフトバンクの全株式を取得し、完全子会社化した。
同氏は投稿でさらに詳細を説明した。「会社の将来像について取締役会と合意できなかったため、退任した」と述べた。
また、XのGrokチャットボットが指摘した「1億4080万ドルの報酬を受け取った」との主張も否定した。手放したストックオプションはすべて無価値になると説明した。
今回の退任により、2番目に大きい企業ビットコイントレジャリーが完全にテザーの支配下となった。XXIは既にビジネスモデルの見直しに着手している。新任CEOのラファエル・ザグリー氏は、単なるビットコインの買い増しではなくキャッシュフローの創出に注力する考えを示している。
退任後に再燃したセイラー氏への問い
今回の退任が波紋を広げる背景には、今年プラハで開催されたBTCイベントで、マラーズ氏が聴衆席からセイラー氏にmNAVの計算方法について質問した経緯がある。mNAVはトレジャリー企業が保有する1ドルのビットコインに市場がどれだけ支払うかを示す指標。
同氏の懸念は単純だった。転換社債などの証券を、実際には株式化が遠いにもかかわらず資本(エクイティ)として計上し、mNAV指標を実態以上に大きく見せている企業があるという。イベントのインタビューで、セイラー氏へ投げかけた質問を改めて説明した。
「…行使価格を大きく上回る転換社債を、資本として計上することに同意しますか?これにより資本価値が水増しされ、mNAV指標がより魅力的に見えてしまう明らかな原因となります」とマラーズ氏は指摘した。
その例として、XXIが発行した転換社債を挙げた。13ドルで株式化されるが、当時株価は約5ドルだったため、現実的に転換は遠い状況だった。
同日別のパネルで、マラーズ氏はデジタル金利商品にも疑問を呈した。これらは毎年大きな配当を支払い、途切れることがないという説明で販売されてきた。
ストラテジー社が売り出すStretchは、マラーズ氏が登壇した当時、年率11.5%だった。SECへの提出書類によると、この利率は7月に12%へ上昇している。疑問はシンプルだ。「本当の収益源がないのに、誰がその利払いを賄っているのか」という点だ。
「経済活動でキャッシュフローを生まないなら、おばあちゃんに配るお金をどうやって捻出するのか。誰が負担しているのか?」とパネルで問いかけた。
当時、セイラー氏は長文で応じ、mNAVは複数ある指標の1つだと説明し、自社モデルの計算根拠を擁護した。
こうしたやり取りが再び注目を集めている。多くの人が、マラーズ氏は退任以前からこの業界の「中核的な計算ロジック」に疑念を抱いていたという証拠と受け止めている。
「ラグプル」批判への強い否定
市場の反応は迅速だった。XXI株は火曜日に4.60ドル近辺で取引を終え、1日で13.5%下落した。初期投資家は1株10ドルを支払っていたため、投資額の半分以上を失った計算になる。
X上では一部の批判者が「ピークから85%の損失」と主張し、またマラーズ氏に「株主を見捨てた」と非難する声も上がった。
これに対し、同氏は強く反論した。
「ラグプル?誰が何を引き抜いたのか?私は自発的に辞任し、退職金も受け取らず、ストックオプションも放棄し、正しい判断で身を引いた。CEO在任中、トゥエンティワンはATM経由で株式を売却したこともない」とマラーズ氏はX上で反論した。
市場の受け止めは3つに分かれた。投資家のマイク・アルフレッド氏は、この決断を「明確化と整合性の証」として評価した。BnkToTheFuture創業者のサイモン・ディクソン氏はさらに踏み込み、マラーズ氏が「ラップド証券からの完全な決別」と指摘した。
3番目の見方として、デジタル資産トレジャリー(DAT)分野全体への警鐘とする声もある。プレミアムが拡大している間はモデルが強固に見えるが、mNAVが縮小し資金が流出し始めた時に本当の試練が訪れるとの指摘が出ている。
ランキングも変動する可能性がある。Metaplanetは7月に4万3000ビットコインを突破した。この数値はXXIの保有約4万3500ビットコインにほぼ並び、2位の座が入れ替わる可能性が出てきた。
この議論はビットコイン(BTC)が火曜日におよそ6万6600ドルと5週間ぶりの高値圏で行われている。一方、マラーズ氏はストライク業務に再び全面的に注力している。そこでは、希薄化ではなくキャッシュフローによるビットコイン買いを目指している。
マラーズ氏の警告が正しかったかどうかは、テザー傘下でのXXIの今後にかかっている。再編後の企業が、同氏が疑問を呈した指標なしでも成果を出せば、その批判も元となった下落局面とともに色あせる可能性がある。









