金融庁は29日、2023事務年度の金融行政方針を発表し、暗号資産やWeb3に焦点を当てた今後1年の主要施策を公開した。特に注力する4つの方針は、経済と国民生活の安定成長、社会課題解決と経済発展の双方を実現する金融システム、金融システムの安定と信頼性、そして金融政策の進展と深化としている。
同レポートの中では暗号資産・Web3・CBDCなどのデジタル金融に関する施策についても言及金融庁は、「社会課題解決と経済成長」のバランスを目的に、「デジタル社会の実現」を掲げている。そのための施策としては、Web3.0の推進、デジタルマネー、暗号資産(仮想通貨)に関する制度整備や自主規制団体の設立などをあげている。具体的にはステーブルコインの円滑な流通、暗号資産の税制改正、関連企業の会計監査強化が進行中だ。セキュリティートークン(ST)についても、流通と税制の枠組みを検討するとしている。
昨年のFTX破綻を踏まえ、日本の暗号資産法枠を評価し、越境取引に備え各国規制当局と連携を強める。モニタリングの焦点も、利用者保護を強化する方向で再検討する。また、CBDC(中央銀行デジタル通貨)普及に向けての継続的な調査が行われる。フィンテック企業やDX(デジタルトランスフォーメーション)推進のため、ネットワーキング機会の提供とサポートデスク機能の強化を進める。
このほかにも同庁は、地域産業や事業者への総合的な支援を強化し、成長促進の融資方針を明確にする。具体的には資金繰りだけでなく、経営改善や事業再生も視野に入れる。さらに、預貯金を投資に活用し、所得増加と経済成長を連動させる「好循環」を目標とし、金融経済の状況と世界動向を精密に分析し、金融機関に対する「深度あるモニタリング」を推進する。リスク管理においても、マネロンやテロ資金、サイバーセキュリティ強化が焦点となるなどと指摘した。年間計画では「持続的な経済成長を促進する金融法制」がキーポイントであり、関連法案の速やかな国会提出が計画されている。
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