グーグルが保有するスペースX株は約940億ドル──その始まりは2015年の一手だった。
一見すると巨大な新規投資のようだが、実際は違う。グーグルがこの決断を下したのは10年以上前、スペースXが大きく成長する前のこと。
グーグルのスペースX投資は2015年に始まった
2015年1月、グーグルとフィデリティがスペースXに10億ドルを出資した。両社で保有した株式は10%弱。これにより、スペースXの評価額は100億ドルを超えた。主導したのはグーグルだった。
その後、スペースXは10年かけて成長した。2024年6月に1株約135ドルで上場。評価額は1兆7700億ドル近く、史上最大のIPOとなった。グーグルの初期投資は約100倍の価値に拡大した。
追加の資金調達ラウンドで、グーグルの持ち分は徐々に減少。現在の保有比率は約5%。
巨額利益でも株価はほとんど動かず
この利益はグーグルの6月期決算に計上された。投資評価額が約990億ドル上昇したことで、純利益は1120億ドルに。AI企業Anthropicへの出資も寄与した。
だが、その大半は実現していない利益。1株利益9.11ドルのうち、6.26ドルは評価益によるもの。これを除けば、純利益は平凡な水準。巨額利益には219億ドルの税負担も発生した。
市場の反応は冷淡だった。グーグルは第2四半期決算でこの利益について1行だけ触れたのみ。社名さえ明かさなかった。株価は結局1.2%下落で取引を終えた。
グーグルはこれまでも同様の手法を取ってきた。2025年初めには、同様に80億ドルの評価益を淡々と計上した。
投資家が注目したのは支出だった。グーグルは3カ月でAI関連に449億ドルを投じ、さらに59億ドルのキャッシュフロー赤字となった。この過去最大規模のAI投資が市場の不安要因となった。アナリストも、事前からリスクに言及していた。
スペースX株の大半は売却制限中
ここに問題がある。グーグルはすぐに株式を売却して資金化できない。開示資料によれば、800億ドル分の株式は当面ロックされている。そのほかもさらに長期の制限がある。
評価額が急減するリスクもある。スペースX株は上場直後、200ドル超まで上昇したが、その後7月23日までに114ドル前後まで下落。最初のロック解除は8月、スペースX決算発表時に予定されている。
つまり、940億ドルは見事な実績だが、現金化できる状況ではない。評価益の大部分が拘束されたまま。真価が問われるのは、ロックアップ解除後にグーグルが売却できる時。








