ビットコインマイニングは、暗号資産の世界で利益を上げるための人気のある方法の1つです。しかし、成功するためには適切な準備と知識が必要です。このガイドでは、ビットコインマイニングを始めるための基本的なステップと必要な情報を提供します。
ビットコインマイニングとは?

ビットコインマイニングとは、未発行のビットコインを生成する作業であり、取引の正当性を担保する根幹となるプロセスです。ビットコインには発行上限が設定されており、最終的には2100万枚まで発行される予定です。この作業を行う人々を「マイナー」と呼び、マイナーは新しいビットコインを獲得するために競争を繰り広げます。
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ビットコインマイニングはビットコインの取引を検証し、ブロックチェーンに追加する作業です。取引が正当であることを確認し、ブロックにまとめ、これをチェーンに連結することで、データの整合性を保ちます。これにより、ビットコインネットワーク全体の信頼性と透明性が維持されます。
マイニングの仕組み
ビットコインはブロックチェーン技術に基づいており、分散型ネットワークで運用されます。各取引はブロックにまとめられ、これがチェーン状に連結されます。プルーフ・オブ・ワーク(PoW)は、マイナーが特定の数学的問題を解くことで取引を承認する仕組みです。このプロセスは膨大な計算能力を必要とし、そのために専門的な機器が使われます。
マイニングのやり方は主に3種類

マイニングにはいくつかの種類があります。1人でやってみたり、複数でやってみたりするやり方がありますので、それぞれ確認していきましょう。
個人で行う「ソロマイニング」
ソロマイニングとは、個人で機材をそろえ、1人でコツコツとマイニングするやり方です。しかし、資金力のあるマイナーが集中しているビットコインなどのマイニングは、難易度が非常に高くなっています。例えば、高性能なGPUを搭載したパソコンでソロマイニングをするとすれば、500年に一度報酬がもらうことができればラッキーでしょう。導入や運用などコストを考えると、ビットコインのソロマイニングはとても現実的とはいえません。しかし、あまり名の知られていないコインなら、マイニングの競争をする相手も少ないため、高性能マシンが必要ない場合もあります。
チームで行う「プールマイニング」
マイニングプール内で複数人が計算能力を提供しあい、チームとしてマイニングを行うスタイルをプールマイニングといいます。チームの計算能力を結集して得られたマイニング報酬は、提供した計算能力に応じて分配されます。ソロマイニングよりも大規模な計算能力が得られるために、マイニング成功率は高まります。報酬は、チームメンバーが提供している計算能力に従って分配されるので、収入を安定させることができます。その反面、たとえ個人のマイニングの実績が高くても、報酬はメンバー内で分配するために、大きな報酬を得にくいというデメリットがあります。
業者に任せる「クラウドマイニング」
クラウドマイニングは、ビジネスとしてマイニングを行っている組織や企業に出資することで、マイニングの報酬を配当として受け取るというスタイルです。自分自身でコンピュータや電力を用意する必要がなく、専門知識がなくても手軽に始めることができます。マイニングというよりも、マイニング会社に対する投資と考えるとわかりやすいでしょう。ただ、業者を十分に注意して見極める必要があります。過去には、お金を騙し取られる「マイニング詐欺」などの事件もありました。
ビットコインのマイニングは個人での始め方は?マイニングに必要なものを解説

先ほどご紹介した「ソロマイニング」のように、個人でも機材さえあればビットコインのマイニングは可能です。ビットコインのマイニングに必要なものはASIC(エーシック)です。マイニングにはCPU(中央演算処理装置)、GPU(グラボ)、FPGAなどのマシンでも対応できますが非効率です。適切なマシンかは、コインに使われているハッシュアルゴリズムなどによって違ってきます。
一方で、採掘難易度はハッシュレートによって自動計算され、マイナーの増加により難易度が上昇しています。これにより、マイニングの成功率が低下しています。また、ライバルに勝つためには高い計算能力と安価な電力が必要です。大量の電力を使うため、電気代の高い地域では利益が減少します。
マイニング機器の種類
- ASIC: 高効率なマイニングを実現するための専用機器です。高額ですが、最も効率的にビットコインをマイニングできます。
- GPU: GPUを利用してビットコインマイニングを行う方法です。初期費用が比較的安く、ビットコイン以外の通貨でも利用可能です。
- CPU: CPUを利用する初期のマイニング手法ですが、現在ではほとんど利用されていません。
GPUマイニングまたはASICマイニングを選択した場合、自宅で必要な機器を揃え、設定する必要があります。一般的に、マイニングを始めるには以下の手順が必要です。
マイニングリグを入手
計算を終えたら、マイニングリグを購入しましょう。さまざまなレビューサイトなどを見て、自分に最適なマイナーを選びましょう。現在人気のマイニング機器には以下のようなものが挙げられます。
- Antminer S19 Pro
- 消費電力: 3.25 kW
- ハッシュレート: 110 TH/s
- 価格: 約$10,000 – $19,600
- AvalonMiner 1246
- 消費電力:3.43kW
- ハッシュレート:90TH/s
- 価格:$4,000 – $5,300
- AvalonMiner A1166 Pro
- 消費電力:3.4 kW
- ハッシュレート:81TH/s
- 価格:$2,200-$2,850
- WhatsMiner M32-62T
- 消費電力:3.348kW
- ハッシュレート:62TH/s
- 価格:$1,075-$1,400
- WhatsMiner M30S++
- 消費電力:3.472kW
- ハッシュレート:112TH/s
- 価格:$9,900-$14,000
- Ebang EBIT E11++
- 消費電力:2kW
- ハッシュレート:44TH/s
- 価格:$2,024
- Bitmain Antminer S5
- 消費電力:0.56 kW
- ハッシュレート:62TH/s
- 価格:約$500
ウォレットの用意
マイニングで獲得した報酬を受け取るため、セキュリティ性に優れたエアギャップウォレットなど、対応する暗号資産ウォレットを用意しましょう。ブロックの検証に貢献して承認されると、報酬はこのウォレットに送金されます。
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マイニングプールへの参加
ビットコインのような暗号資産をマイニングする際は、マイニングプールへの参加が一般的に推奨されます。暗号資産マイニングプールに参加すれば、採掘速度を上げ、難易度を下げることができるため、より効率的に報酬を得られるのがメリットです。プールを選ぶ際には、以下の点に注目しましょう。
- 報酬分配方法
- マイニング手数料と出金手数料
- ブロック発見頻度・プールの実績
- 出金の手軽さ
- プールの安定性と透明性
比例分配マイニング
この報酬分配システムでは、マイナーの採掘努力量に応じて報酬が支払われ、報酬額はプールがブロックを採掘できたかどうかによって決まります。この方式は、ビットコイン価格が急騰している時には利益が出やすく、ビットコイン価格の上昇から得られる報酬は、難易度が上がっても利益を保証してくれます。
従量課金マイニング
報酬はプールの総マイニングパワーに応じて分配され、プールは利益をプール内で均等に分配するため、プールがブロックを採掘できなくてもマイナーは利益を得ることができます。この報酬体系は定額報酬を保証しており、ビットコイン価格が低い時に適しています。
マイニングソフトウェアの入手
最後に、マイニングソフトウェアが必要です。これはマイニング作業を制御するプログラムです。プールによっては専用のソフトウェアがありますが、そうでない場合もあります。ほとんどのマイニングソフトウェアは無料なので、出費を心配する必要はありません。操作性に合ったものを選んで準備完了です。
個人でプールマイニングを行う方法

前述のとおり、現在は競争が激化した状況のため自分1人で行うソロマイニングは現実的でないと言えるでしょう。ここではプールマイニングを行う方法を解説します。
ビットコインマイニング用のパソコンを用意
マイニング用のパソコンは「GPU(Graphics Processing Unit)」搭載のものが望ましいでしょう。この分野は「NVIDIA(エヌビディア)社」や「AMD(アドバンスト・マイクロ・デバイセズ)社」製のシェアが高いです。GPUは「グラフィックボード(グラフィックカード)」と呼ばれるモジュールに組み込まれていることが一般的です。CPUのみ搭載した一般的なパソコンでもマイニングは可能ですが、GPUと比較し処理能力に劣ります。プールマイニングは提供した処理能力に応じて報酬が分配されるため効率が悪いです。
専用のソフトウェアをインストール
パソコンの準備ができたらマイニング用のソフトウェアのインストールを行います。ソフトウェアはマイニングプール運営者などが提供しています。ソフトウェアを通じマイニングプールに参加し、パソコンを稼働させればプールマイニングが始まります。脆弱性のあるソフトウェアもあるため最新の注意を払って選びましょう。
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クラウドマイニングを始めるステップ

クラウドマイニングは前述したように、ビットコインマイニングを行う企業に出資し、報酬を配当として受け取るスタイルです。自分でコンピュータや電力を用意せずに始められ、専門知識も不要です。いかがクラウドマイニングを行うステップです。
- ステップ1:クラウドマイニングプロバイダーを選ぶ 信頼できるプロバイダーを選ぶことが重要です。評判と信頼性、契約条件、サポート体制を確認し、詐欺のリスクを避けましょう。
- ステップ2:プランを選ぶ プロバイダーが提供するプランから、自分の予算と目的に合ったものを選びます。契約期間、ハッシュレート、料金体系などを考慮します。
- ステップ3:アカウントを作成し、契約を開始する プロバイダーのウェブサイトでアカウントを作成し、必要な情報を入力、支払い方法を選択して契約を開始します。
- ステップ4:マイニング状況を監視する 契約開始後、プロバイダーのプラットフォームでマイニング状況を監視し、収益は定期的にアカウントに反映されます。
- ステップ5:収益を受け取る マイニング収益はプロバイダーのウォレットに蓄積され、引き出し手続きを通じて受け取ります。
信頼できるプロバイダーを選ばないと詐欺のリスクがあります。ビットコイン価格やマイニング難易度の変動により収益が変わるため、契約条件をよく確認しましょう。
マイニングの電力消費量とコスト
ビットコインマイニングは基本的に高度な処理能力を持つコンピューターが必要であり、これを24時間稼働させるための電力コストが発生します。ケンブリッジ大学の研究によると、2023年5月時点でビットコインマイニングによって消費される年間の推定電力量は141.89テラワット時(TWh)です。日本の2021年の年間電力消費量の約15%に相当する電力量がビットコインマイニングに費やされています。
マイニングの収益性を計算する

採掘する暗号通貨を選んだら、まず調査が必要です。マイニングしようとしている資産が価値があることを確認する必要があります。マイニング収益性は、通常、以下の要素によって左右されます。
- 現在の報酬システム:マイニングによって獲得できるトークンの数
- マイナーのハッシュレート:希望するマイナーの計算能力
- マイニング難易度:エコシステム内のアクティブなマイニングパワーに基づいて、特定の時点における資産のマイニングの難易度を表す数値
- 電気代:1キロワット時あたりの電気代
- 消費電力:マイニングデバイスの消費電力
- プール手数料:プールを通じてマイニングする必要があるため、手数料を考慮
- 資産価格:収益と 総出費と比較
計算例
仮に以下の条件で収益性を計算してみます。
- マイニング機器:Bitmain Antminer S19 Pro
- ハッシュレート:110 TH/s
- 消費電力:3,250W
- 電気代:$0.10/kWh
- ビットコイン価格:$30,000
- マイニングプール手数料:2%
- 1日の電力消費量: 3,250W × 24時間 = 78,000Wh = 78kWh
- 1日の電気代: 78kWh × $0.10/kWh = $7.80
- 1日のビットコイン収益: 1日あたりのビットコイン生成量(現在のネットワーク難易度を考慮):0.0007 BTC 0.0007BTC × $30,000/BTC = $21
- マイニングプール手数料(2%): $21 × 0.02 = $0.42
- 1日の純利益: $21 – $7.80 – $0.42 = $12.78
- 月間の純利益: $12.78 × 30日 = $383.40
マイニングで得たビットコインは「所得」とみなされる

暗号資産交換業者でビットコインの売買をして利益を得た場合だけではなく、マイニングによって取得した場合も「所得」とみなされることに注意しましょう。なお、国税庁は、「取得時点の価額(時価)からマイニングに要した費用(機材の購入費、電気代など)」を差し引いた金額が所得に該当する」という主旨の見解を示しています。パソコンの購入費用や電気代、手数料などは「必要経費」として計上することが可能なので、領収書を大切に保管しておきましょう。
一定以上の所得がある場合、確定申告および納税をしなければなりません。
ビットコインのマイニングによる所得は、基本的に「雑所得」に区分されます。なお、所得があったとしても確定申告・納税が必要とは限りません。以下に、確定申告をしなければならないケースを示します。
- 個人事業主が副業としてマイニングを実施し、所得を得た場合
- 年収2,000万円を超える給与所得者がマイニングを実施し、所得を得た場合
- 年収2,000万円以下の給与所得者がマイニングを実施し、20万円を超える所得を得た場合
これらに該当する方は、税法に基づいて適切に確定申告・納税を行いましょう。
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まとめ

ビットコインマイニングは高度な計算能力と大量の電力を必要とするため、個人で行うにはコストがかかりすぎる場合があります。そのため、個人でビットコインマイニングを始める場合は、クラウドマイニングやプールマイニングを検討するのが現実的です。また、マイニングに参加する場合は、ビットコイン以外の暗号資産を選ぶことも一つの方法です。
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