イーサリアムは、ブロックチェーン技術を活用したDApps(分散型アプリケーション)の開発に広く利用されていますが、イーサリアムのメインチェーンは、取引処理速度の遅さや高額な取引手数料などの問題を抱えています。これらの問題を解決するために、イーサリアム上のレイヤー2ソリューションの開発が進んでいます。その中でも、アービトラムは、低コストで高速な取引処理を実現できる有望なプロジェクトとして注目されています。
そこで本記事では、アービトラムの概要や仕組み、特徴、メリット・デメリットなどを解説します。アービトラムやイーサリアムのスケーラビリティ問題に興味がある人は、ぜひ最後までご覧ください。
アービトラム(ARB)とは?仕組みや特徴
アービトラム(Arbitrum)とは、イーサリアムブロックチェーンのためのレイヤー2スケーリングソリューション。レイヤー2とは、メインチェーンとは別に並行して存在するブロックチェーンのことで、メインチェーンの負荷を軽減して、スケーラビリティや処理速度を向上させる目的で開発されています。
アービトラムでは、オプティミスティック・ロールアップ(Optimistic Rollup)と呼ばれる技術を使用しており、オプティミスティック・ロールアップでは、メインチェーンからオフチェーン(メインチェーン外)に取引データを集約し、オフチェーンで処理を行うのが特徴。アービトラムのガバナンストークン「ARB」は、DAOプロジェクトの運営や意思決定に関わるガバナンス投票に使用することができます。
アービトラムのネイティブトークン「ARB」の最大供給量は100億枚で設定されており、その後の新規発行分における年間インフレ率は最大2%に設定されているのも特徴的です。最初のインフレは2024年3月15日開始することが想定されています。
アービトラムの特徴
アービトラムの特徴は、以下のとおりです。
- 低コスト:取引手数料が非常に安価で1回の取引で約0.000001 ETH(約0.001円)程度の手数料で済むのが特徴。オプティミスティック・ロールアップと呼ばれる技術を使用しているため、イーサリアムの取引手数料と比べて、約100万分の1程度のコスト
- 高速処理:取引の処理速度も非常に速い。オプティミスティック・ロールアップでは、メインチェーンからオフチェーンに取引データを集約し、オフチェーンで処理を行うため、1秒間に数万件の取引を処理することができる
- DAOが立ち上げられている:運営の分散化(非中央集権化)のためにDAO(分散型自律組織)が立ち上げられ、2023年3月にDAOのガバナンスに用いられる独自トークン「ARB」もローンチ。ARBの保有者は、DAOにおいて運営の意思決定に関わる投票に参加可能に
また、アービトラムの開発を行うアービトラム・ファウンデーションは日本初のWeb3特化型インキュベーターFracton Venturesと戦略的事業提携を締結しました。この提携によって、アービトラムは日本におけるアービトラムエコシステムの拡大を加速させています。
アービトラムのメリット
アービトラムのメリットを解説します。
- 低コストな取引手数料
- セキュリティ
- スケーラビリティの向上
アービトラムのメリット①:低コストな取引手数料
アービトラムの取引手数料は、非常に安価で、1回の取引で約0.000001 ETH(約0.001円)程度の手数料で済みます。イーサリアムのメインチェーンの取引手数料と比べて、約100万分の1程度のコスト。
低コストで実現できるのは「オプティミスティック・ロールアップ」を使用しているためで、オプティミスティック・ロールアップは、メインチェーンからオフチェーンに取引データを集約し、オフチェーンで処理を行う仕組み。オフチェーンでの処理は、メインチェーンに比べて大幅にコストを抑えることができます。アービトラムの低コストは、イーサリアムベースのアプリケーションやサービスにとって、大きなメリットとなっています。
アービトラムのメリット②:セキュリティ性が高い
アービトラムは、メインチェーンと連携しているため、セキュリティが担保されています。メインチェーンは、PoS(プルーフ・オブ・ステーク)と呼ばれるコンセンサスアルゴリズムによって、ブロックの承認が行われており、ステークホルダー(保有者)による投票によってブロックの承認が行われるため、高いセキュリティが保たれています。
アービトラムのメリット③:スケーラビリティの向上
アービトラムは、メインチェーンからオフチェーンに取引データを集約することで、メインチェーンの負荷を軽減し、スケーラビリティを向上させることができます。メインチェーンに直接取引データを書き込むのではなく、オフチェーンに取引データを集約することで、メインチェーンの負荷を軽減し、スケーラビリティを向上させることができます。
アービトラムのデメリット
アービトラムのデメリットについて解説します。
- セキュリティリスク
- コンセンサスアルゴリズムの問題
アービトラムのデメリット①:セキュリティリスク
アービトラムは、メインチェーンと連携しているため、セキュリティが担保されています。しかし、オフチェーンでの処理には、メインチェーンよりも高いセキュリティが求められます。
オフチェーンはメインチェーンから分離されるため、一部の攻撃がオフチェーンで発生する可能性があり、ハッキングなどのセキュリティリスクが高くなります。そのため、アービトラムを使用するアプリケーションやサービスは、オフチェーンのセキュリティを十分に確保することが重要になります。
アービトラムのデメリット②:コンセンサスアルゴリズムの問題
PoSは、ステークホルダー(保有者)による投票によってブロックの承認が行われるため、セキュリティが保たれていまが、PoSには、ステークホルダーが集団で投票することで、ブロックチェーンの運営を独占する可能性があるという問題があります。
アービトラムでは、この問題を解決するために、ステークホルダーの割合を制限するなどの対策が取られていますが、完全に問題を解決することは難しいと考えられています。
アービトラムを購入できる国内取引所
アービトラムを購入できる国内取引所について解説します。
- OKCoinJapan
- bitbank
アービトラムを購入できる国内取引所①:OKCoinJapan
OKCoin Japan(オーケーコイン・ジャパン)は、OK Groupの日本法人である暗号通貨取引所。ユーザーフレンドリーなインターフェースと低い取引手数料で注目を集めており、近年ユーザーが増加傾向にあります。
OKCoinJapanでは、2023年8月21に国内初のARBの取扱いを開始。決まった金額の暗号資産を自動で定期的に購入できる積立サービスでの「ARB」の取り扱いも決定しました。
アービトラムを購入できる国内取引所②:bitbank
ビットバンクは、取り扱い銘柄数を強みにしている取引所で、現在31種類の通貨を販売所で購入できます。
ARBの取り扱いは、2023年12月14日から開始しており、国内で2例目の取り扱いとなっています。ビットバンクは、取引所での注文によって手数料が発生するのではなく、手数料が還元されるという仕組みを導入しており、またオフラインのコールドウォレット採用しているため、マルチシグでハッキング対策も万全となっています。
まとめ:アービトラムはレイヤー2ソリューションとして、価値が高まっていく可能性が高い
本記事では、アービトラムの概要や仕組み、特徴、メリット・デメリットなどを解説しました。アービトラムは、イーサリアム上で動作するレイヤー2スケーリングソリューションです。オプティミスティック・ロールアップと呼ばれる技術を使用しており、メインチェーンからオフチェーンに取引データを集約することで、低コストで高速な取引処理を実現しています。
今後は、イーサリアムの普及とともに、アービトラムの利用も拡大していくと考えられます。アービトラムは、イーサリアムやブロックチェーン業界にとって、重要なプロジェクトの一つと言えます。今後の開発や普及に注目です。
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