LINEは2025年1月22日、新たなWeb3アプリプラットフォーム「Dapp Portal」をリリースしました。Dapp Portalは、LINEメッセンジャーと連携し、ユーザーが直接分散型アプリ(DApps)にアクセスできる仕組みです。ゲームや金融サービスなど、さまざまなカテゴリのMini Dappを1つのプラットフォーム上で利用できます。
本稿では、LINEのDapp Portalの概要、特徴、利用方法、そして将来性について初心者投資家にもわかりやすく、詳しく解説します。
LINEのWeb3アプリサービス「Dapp Portal」とは?

LINEは、2025年1月22日に新たなWeb3アプリケーションプラットフォームである「Dapp Portal」を正式にリリースしました。Dapp Portalは、LINE NEXT Inc.が展開するWeb3プラットフォームであり、LINEメッセンジャーと連携することで、ユーザーが直接Web3サービスにアクセスできる環境を提供しています。このプラットフォームは、ゲーム、ソーシャルメディア、エンターテインメント、金融サービスなど、さまざまなカテゴリのMini Dapp(ミニDapp)を利用可能にします。す。
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分散型アプリケーション(DApps)とは?
分散型アプリケーション(DApps)は、ブロックチェーン技術を基盤とした革新的なアプリケーションの形態です。従来の中央集権型アプリケーションとは異なり、分散型ネットワーク上で動作するため、ユーザー同士が直接取引や情報交換を行うことが可能です。中央管理者が存在しないことで、より信頼性の高い運用が実現されます。
現在、DAppsはさまざまな分野で活用されており、特に分散型金融(DeFi)分野では、中央集権的な金融機関を介さずに個人が利用できる新たな金融サービスが登場しています。さらに、NFT(非代替性トークン)、ゲーム、ソーシャルメディア、サプライチェーン管理などの領域でも急速に普及しています。
分散型アプリケーション(DApps)の主な特徴
DAppsが持つ代表的な特徴は以下の通りです。
- スマートコントラクトによる自律的な動作
- 高度なセキュリティ性能
- 高い透明性
- 検閲耐性
- 柔軟なインセンティブ設計
- 1. スマートコントラクトによる自律的な動作
- DAppsは「スマートコントラクト」と呼ばれる自動実行プログラムによって動作します。このプログラムは、契約条件が満たされると自動的に実行され、ブロックチェーン上で稼働するため、中央集権的な管理者を必要としません。この自律性こそが、従来のアプリケーションとの大きな違いです。
- 2. 高度なセキュリティ性能
- DAppsはブロックチェーン技術に基づいており、その分散型データベース構造により改ざんが極めて困難です。不正アクセスやデータ改ざんのリスクが低減されることで、高い信頼性が確保されます。さらに、暗号化技術の活用により、データの保護とプライバシーの強化も実現されています。
- 3. 高い透明性
- 多くのDAppsはオープンソースで開発されており、コードやロジックが公開されています。これにより、ユーザーはアプリケーションの仕組みを確認・検証でき、必要に応じて改善することも可能です。また、ブロックチェーン上に記録される取引履歴は誰でも閲覧できるため、高い透明性が保証されています。
- 4. 検閲耐性
- DAppsは中央管理者が存在しないため、特定の団体や政府が使用制限を課したり、データの改ざんを行うことが困難です。この特性は、自由な情報流通の確保や表現の自由を支える重要な要素となっています。
- 5. 柔軟なインセンティブ設計
- DAppsはトークンエコノミーを活用することで、開発者やユーザーに対して独自の報酬体系を提供できます。これにより、ユーザーの積極的な参加や貢献を促し、コミュニティ主導の発展を支援する仕組みが構築されています。
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Dapp Portalの概要

Dapp Portalは、LINEの強力なメッセージング基盤を活用し、ブロックチェーン技術をより多くのユーザーに普及させることを目的としています。従来、Web3アプリは専門的な知識や特別なウォレットの作成が必要で、多くの一般ユーザーにとってハードルが高いものでした。しかし、LINEはその使いやすさと親しみやすさを活かして、この課題を解決し、誰でも簡単にWeb3サービスに参加できる環境を構築しました。
項目 | 詳細 |
---|---|
サービス名 | Dapp Portal, Mini Dapp |
提供元 | LINE NEXT Inc. |
正式リリース日 | 2025年1月22日 |
対応言語 | 日本語、英語、韓国語、中国語(繁体字)、タイ語 |
対象地域 | グローバル |
Dapp Portalの基本構成
Dapp Portalは、以下の3つの主要な構成要素で成り立っています。
- Mini Dapp(ミニDapp):ゲーム、ソーシャルメディア、エンターテインメントなど多様なカテゴリに対応した分散型アプリケーション。
- Dapp Portalプラットフォーム:Mini Dappを簡単に検索・利用できるポータルサイト。LINEメッセンジャー内からアクセス可能。
- ウォレット機能:LINEメッセンジャーと連携したウォレットで、トークンの管理やNFTの取引が可能。
登録ユーザー数と成長目標
Dapp Portalは、正式リリースから短期間で急速な成長を遂げており、2025年2月時点で登録ユーザー数は1000万人を突破しました。さらに、現在32本のMini Dappが提供されていますが、2025年末までに1,000本以上のMini Dappを展開する目標を掲げています。この成長戦略により、Dapp PortalはWeb3市場の中心的な存在となることが期待されています。
LINE NEXTとKaia Foundationが共同で運営するKaia Waveプログラムの一環として、多くの開発者が参加しており、すでに多様なDappが開発・提供されています。LINE NEXTのコ・ヨンスCEOは、アジア市場におけるWeb3普及の可能性について言及しています:
LINE MessengerベースのミニDappsがアジア初の大規模Web3ユーザー導入事例となるでしょう
コ・ヨンスCEO|LINE NEXT
Dapp Portalの特徴

Dapp Portalの最大の特徴は、その利便性とアクセシビリティの高さにあります。特別なアプリをインストールする必要がなく、LINEメッセンジャー内から直接Mini Dappにアクセスできるため、初心者から経験者まで幅広いユーザー層に対応しています。
インストール不要の利便性
Dapp Portalは、LINEメッセンジャー内で直接利用可能であり、別途アプリをインストールする必要がありません。このシームレスな統合により、従来のWeb3アプリが抱えていた参入障壁を大きく下げることに成功しています。
- LINEアカウントだけで利用可能:追加のアカウント登録やウォレット作成の手間が不要で、LINEアカウントがあればすぐに利用を開始できます。
- スマートフォンとPC両方でアクセス可能:モバイル端末だけでなく、PC版LINEからもアクセス可能なため、柔軟な利用が可能です。
- ウェブ版の提供予定:LINE NEXTは、今後ウェブ版Dapp Portalも展開予定であり、さらに多様なデバイスからのアクセスが可能になります。
多彩なMini Dapp
Dapp Portalは、リリース当初から32本のMini Dappが提供されており、今後もさらに拡大していく予定です。これらのアプリは、ゲームだけでなく、ソーシャルメディアやエンターテインメント、教育、健康管理など多岐にわたるジャンルで展開されています。以下Mini Dappの例になります:
Mini Dapp 名称 | ジャンル | 特徴・詳細内容 | 報酬システム |
---|---|---|---|
Captain Tsubasa -RIVALS- | スポーツゲーム | 人気サッカー漫画「キャプテン翼」を題材にしたWeb3ゲーム。NFTキャラクターを育成し、PvPバトルで他プレイヤーと競争。 | 試合勝利やミッション達成でKAIAトークン獲得 |
Bombie | 放置型ゲーム | Pluto Studio開発の放置型ゲーム。自動成長要素があり、エアドロップ報酬が期待できる。 | 放置プレイでの成長報酬、エアドロップでKAIA獲得 |
Cattea | パズルゲーム | 3つの絵柄を揃えるシンプルなパズルゲーム。難易度が高く、毎日の挑戦で報酬を得ることが可能。 | パズルクリアでKAIAトークンを獲得 |
Superz | フィットネス&ウェルネス | 健康管理アプリで、歩数や運動データに基づいて報酬を得られる。健康意識向上と収益化を両立。 | 運動データに基づくKAIA報酬 |
social.meme | ソーシャルメディア | 正式ライセンス提供を受けたミームトークンのみを取り扱うSNS型Dapp。DaoCornトークンなどの取引で高い出来高実績。 | トークン取引やSNS活動で報酬を獲得 |
TGWiz | RPGゲーム | ドリコム社開発の日本製Web3ゲームで、「ウィザードリー」の派生作品。レトロな世界観と新しいゲームメカニクスが特徴。 | クエスト達成やPvPバトルで報酬獲得 |
Dapp Portalの利用方法と報酬の獲得方法

Dapp Portalは、Web3の知識がない初心者でも簡単に利用できるプラットフォームです。LINEメッセンジャーとシームレスに連携しているため、アプリのインストールや複雑なウォレット設定が不要で、誰でも手軽に暗号資産の世界に触れることができます。
Dapp Portalの利用開始手順
Dapp Portalの利用を開始するには、以下の手順を踏むだけで簡単にアクセスできます。
LINEメッセンジャーからアクセス

LINEアプリを開き、ホーム画面の「すべて見る」タブから「Dapp Portal」を選択します。この機能は、LINEのホームタブから直接アクセス可能であり、今後はウェブ版の提供も予定されています。
ウォレットの作成と連携

初回利用時には、LINEアカウントと連携したウォレットを作成します。このプロセスは数ステップで完了し、特別な知識は必要ありません。ウォレットの作成は無料で、仮想通貨の専門知識がなくても問題ありません。
Mini Dappの選択とプレイ

Dapp Portal内の「Dapps」タブから、気になるMini Dappを選択し、ワンクリックでプレイを開始できます。アプリのインストールは不要で、LINEアプリ内で完結します。
報酬の受け取りと管理

プレイしたゲームやタスクの達成に応じてKAIAトークンが付与されます。これらの報酬はウォレット内で管理でき、後述する方法で現金化することも可能です。
報酬システムの仕組み
Dapp Portalでは、さまざまな方法で報酬を獲得することができます。主な報酬システムは以下の通りです。
- ゲーム内タスクの達成
各Mini Dappでは、日常的なミッションや特定のタスクが設定されており、これらをクリアすることでKAIAトークンを獲得できます。ゲームごとに異なるミッションがあり、プレイヤーのアクティビティに応じた報酬が得られます。 - 友達招待プログラム
Dapp Portalでは、友人を招待することで追加の報酬を獲得できます。紹介者と被紹介者の両方がボーナスを受け取れるため、コミュニティの拡大に貢献することで収益化が可能です。 - NFT取引による収益化
ゲーム内で取得したNFTは、マーケットプレイスで売買することができます。これにより、ゲームプレイを通じて得たアイテムを収益化することが可能です。 - エアドロップの活用
Dapp Portalでは、定期的にエアドロップイベントが開催されており、特定の条件を満たすことで無料でKAIAトークンを獲得できます。特に人気のあるゲームでは、数百万円規模のエアドロップが実施された実績もあります。 - KAIAリワードミッション
簡単なタスクをこなすことで無料でKAIAトークンを獲得できる「KAIAリワードミッション」も定期的に開催されています。初心者でも手軽に参加できるのが特徴です。
獲得したKAIAトークンの現金化
獲得したKAIAトークンは、暗号資産取引所で売却し、法定通貨に換金することができます。主な現金化の手順は以下の通りです。
- LINE BITMAXへのアクセス
Dapp Portal内の「トレード」タブから、LINE BITMAXにアクセスします。ここでは、KAIAトークンをはじめとするさまざまな暗号資産の取引が可能です。 - KAIAトークンの売却
保有するKAIAトークンを選択し、売却手続きを行います。LINE BITMAXでは1円から取引が可能で、少額からでも簡単に現金化できます。 - 出金手続き
取引所での売却後、銀行口座へ直接出金することができます。日本国内の銀行口座への出金もスムーズに対応しています。
関連記事:LINEの暗号資産取引、マイナンバーカードを利用した本人確認システムを採用
KAIAトークンの詳細

KAIAトークンは、Dapp Portal内の経済活動を支える主要な暗号資産であり、LINEとKakaoが共同開発した「Kaiaブロックチェーン」を基盤としています。Mini Dapp内での取引、報酬の受け取り、NFTの購入など、幅広い用途に活用されています。
項目 | 詳細 |
---|---|
トークン名 | KAIA |
ブロックチェーン基盤 | Kaia(Finschia + Klaytn統合) |
主な用途 | Mini Dapp内での取引、報酬、NFT購入、DeFi活用 |
取引所 | LINE BITMAX、その他主要取引所で対応予定 |
KAIAトークンの特徴
KAIAトークンは、以下のような特徴を持っています。
- 即時ファイナリティと高速トランザクション処理
- Kaiaブロックチェーンは、Practical Byzantine Fault Tolerance(PBFT)を改良したコンセンサスアルゴリズムを採用しており、トランザクションの即時ファイナリティ(確定性)を実現しています。1秒ごとのブロック生成と最大4,000トランザクション/秒の処理能力により、エンタープライズ向けの高い信頼性とパフォーマンスを提供します。また、ガス代はイーサリアムの約1/10と非常に低コストであることが特徴です。
- EVM互換性と開発の容易さ
- Kaiaはイーサリアム仮想マシン(EVM)と完全互換であり、Solidityで記述されたスマートコントラクトの移植が容易です。また、Kaia独自のKaia Virtual Machine(KVM)により、既存のEthereum開発ツール(Remix、Hardhat、Foundryなど)もそのまま利用可能です。これにより、開発者は最小限の変更で既存のDAppをKaia上で展開できます。
- 多様なユースケースと高い相互運用性
- KAIAトークンは、DApp Portal内の報酬だけでなく、外部のDeFiプラットフォームやNFTマーケットプレイスでも活用可能です。さらに、KaiaはEVM-SDKベースの他のブロックチェーンとの相互運用性を備えており、クロスチェーン取引やスマートコントラクトの実行がシームレスに行えます。
Dapp Portalの将来性と展望

Dapp Portalは、LINEの膨大なユーザー基盤とKaiaブロックチェーンの技術を活用し、Web3の普及と新たなビジネスモデルの創出を目指しています。今後、世界規模での拡大、Mini Dappの急成長、DeFiやNFT市場との連携が期待されています。Dapp Portalは、DeFiサービスとの統合により、ステーキングやレンディングなどの金融サービスを提供予定です。また、NFTマーケットプレイスを拡充し、ゲーム内で取得したNFTの取引を容易にするほか、将来的にはメタバースとの連携も視野に入れています。
LINE NEXTは今後、Web3開発者との提携を進め、北米、ヨーロッパ、東南アジアへの展開を強化する計画です。登録ユーザー数は既に1000万人を突破しており、2025年末の目標を突破していることから今後の動向が注目されています。
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まとめ:LINEの今後のWeb3の市場展開注目

Dapp Portalは、LINEの巨大なユーザー基盤と最先端のブロックチェーン技術を活用することで、Web3の普及を加速させる革新的なプラットフォームです。アプリのインストール不要で手軽にMini Dappを利用できる利便性、多彩な報酬システム、そして今後の拡張性を兼ね備えたこのサービスは、Web3市場において中心的な役割を果たすことが期待されています。
特に、2025年末までに1,000本以上のMini Dappをリリースするという目標、グローバル展開の加速、そして新たなビジネスモデルの創出は、Dapp Portalの将来性を示す重要なポイントです。また、KAIAトークンを中心とした経済圏の拡大により、ユーザーはWeb3の恩恵をより身近に感じることができるでしょう。
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