アリババ株(NYSE: BABA)は7月8日に約11%上昇し、ほぼ109ドルを記録した。これは過去10か月で最大の上昇幅。
決算発表前の業績更新で、不採算の配送事業が改善し、利益も安定していたと判明したため。但し、買いが集まる一方で、大手銀行各社は目標株価をひそかに引き下げていた。
アリババ株が急騰した理由
きっかけは決算発表前の説明会。アリババは、不採算が続く即時配送事業の損失が前四半期に縮小し、全体の利益は安定したと説明。
注:アリババは中国企業だが、BABAはニューヨークでドル建てで取引される米国上場のADR(米国預託証券)。本稿ではこの価格を基準とする。
他にも2つの要因が寄与。クラウド部門は生成AI需要で成長が続き、米国の裁判所の勝訴により、ワシントンによる制裁や上場廃止への懸念が和らいだ。
この楽観ムードは、米国上場の中国テック株にも波及した。韓国・台湾の半導体メーカー株が売られる中、投資家は中国ネット関連銘柄に資金をローテーション。米国上場の同業JDドットコム(NASDAQ: JD)やバイドゥ(NASDAQ: BIDU)も上昇。グループ最大手のアリババは、中国のEC低迷が底打ちしつつあるとの期待から波に乗った。
しかし、市場参加者ほど専門家(アナリスト)は興奮していない。
「買い」評価は維持も、目標株価は引き下げ
ここに捻りがある。株価が急上昇する中、モルガン・スタンレーは目標株価を190ドルから180ドルに、シティは208ドルから192ドルに、大和は200ドルから175ドルに、HSBCは176ドルから170ドルにそれぞれ引き下げた。いずれも「Buy(買い)」は据え置き。
なぜ引き下げながらも強気を維持するのか。目標株価は将来の利益を見込んだ水準。アリババは生成AIへの投資で足元の利益が圧迫される一方、中国の消費者が引き続き慎重で主力の広告・コマース収益が鈍いことも響く。
投資が増え、売上も鈍い状況では、長期的なAI成長ストーリーに期待が残っても、現時点の公正価値は低くなる。そのためアナリストはアリババに好意的ではあるものの、以前ほどの上昇余地は見込んでいない。大衆が反発を買い進める一方、ウォール街の専門家は静かに上値を抑えている。
市場テープが示すもの
買いが本物で、単なるブームではない可能性がある。機関投資家の資金流入を示す「チャイキン・マネー・フロー(CMF)」は、株価が最安値をつけた後も6月16日以降上昇。こうしたプラス乖離は、静かな買い集めの兆候。
出来高もこれを裏付け、急騰時には3900万株近くまで膨らんだ。オプション市場も上昇傾向で、ベア派とブル派の比率を示すプット・コールレシオは、出来高が0.37、未決済建玉が0.58といずれも1を下回る。
それでも、この反発は6月に株価が下落した領域へと正面から突き進んでいる。
注目すべきアリババ株の価格水準
アリババ株価は5月初め以降下落傾向が続き、本格的な反発は52週最安値近くの92ドル付近から始まった。以下、全てBABAの米ドル建て水準で記載。
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反発を維持するには、BABAは109.86ドルを回復し、110ドル台を維持する必要がある。主要な壁は112.89ドル付近で、現値から約4%上の水準。これを明確に突破すれば122.33ドル、さらに147.09ドルも視野に入る。
一方、112.89ドルで反落した場合は反発が失速する。下値支持は96.82ドルとなり、これを割り込むとさらに下落余地が広がる。112.89ドルは、本格反騰と再下落を分ける分岐点。









