アップルがOpenAIを提訴、ChatGPT開発元が未発表ハードウエアに関わる営業秘密を不正取得したと主張。訴状では、OpenAIのハード機器推進を主導した元アップル社員2名も名指しした。
この訴訟は、OpenAIにとって1か月で2件目の大型法廷闘争となる。数週間前には、イーロン・マスク氏のxAIからの営業秘密侵害訴訟を退けたばかりだったが、今回はさらに大きな相手と対峙する格好だ。
アップルがOpenAIを提訴した理由
アップルは7月10日、カリフォルニア州北部地区連邦地裁に訴状を提出した。被告にはOpenAI、そのハード機器部門io Products、元アップル社員2名が挙げられている。
アップルは今回の事態の重大さを強調している。
「技術スタッフから最高ハードウエア責任者に至るまで、OpenAIはビジネスパートナーと連携しながら、アップルの営業秘密や機密情報をあらゆるレベルで盗用してきた」とアップルは訴状で主張した。
この最高ハードウエア責任者はタン・タン氏。2024年初めにアップルを退職するまで、iPhone、Apple Watch、AirPodsの設計を主導した。アップルによると、同氏は面接時にバッテリーや基板などの部品を持参させていたという。
訴状は元エンジニアのチャン・リウ氏にも言及。退職後に業務用ノートパソコンを持ち出し、不具合を利用してアップルのクラウドストレージにアクセスし、数十件のファイルをダウンロードしたとされる。アップルは現在400人超の元社員がOpenAIに在籍していると明かした。
アップルはOpenAIによる秘密情報の使用差し止めと、損害賠償の支払いを裁判で求める構えだ。優秀な人材確保を巡る大手テック企業同士の法廷闘争が続いている。
OpenAI、2度目の大型訴訟
OpenAIは直前にも似た紛争を回避したばかり。6月15日、判事がxAIによる営業秘密訴訟を棄却した。それ以前には、カリフォルニアの陪審がマスク氏の「理念違反」訴訟を2時間足らずで時効を理由に却下した。
今回の争いは、競合AIモデルをめぐる激しい対立が相次ぐ1年を象徴する。OpenAIがハードウエア事業を強化した背景には、ジョニー・アイブ氏の新興企業io買収がある。昨年の買収額は約65億ドル。
これに対し、アップルは潤沢な資金力と何十年にも及ぶハード分野の営業秘密を擁する。争いはOpenAIの上場計画にも影を落とす。
両社は現在も提携関係にあり、ChatGPTはアップル端末に組み込まれ、GPT-5へのアップグレードも年内予定となる。OpenAIは本稿執筆時点で訴えに公に回答していない。今後の提出書類次第でアップルの証拠の信頼性が問われる見通し。









