暗号資産（仮想通貨）XDC（XinFin Digital Contract）は、貿易金融や国際送金などエンタープライズ分野での実用化が進むハイブリッド型ブロックチェーンです。特に日本市場では、2023年にSBI VCトレードで国内初の取り扱いが始まり、SBIグループとの合弁会社設立など、規制準拠と実需展開の両面で着実な拡大を見せています。
本稿ではXDCの基本情報から国内外での具体的な買い方、安全な管理方法、そして効果的な運用方法までを初心者にも分かりやすく解説します。
XDCとは？基本情報を簡単に紹介
エンタープライズ向けハイブリッドチェーン
XDC Networkは、パブリック型とプライベート型のブロックチェーンを融合したハイブリッド型設計で、企業や金融機関が既存の金融システムやERPシステムと容易に統合可能です。2019年にメインネットが稼働して以来、トランザクション処理速度（約2秒以内）や極めて低コスト（約0.0001ドル相当のガス代）を実現。特に金融や貿易実務など、迅速な処理とコスト効率が求められる分野で採用が進んでいます。
ISO20022準拠のメッセージAPI
2024年に公開された「XDC Payments」は、銀行間決済や貿易書類のデジタル化を国際標準規格（ISO20022）に基づいて実現しています。これにより、送金や貿易取引に伴うデータ連携や処理効率が向上し、従来のSWIFTベースのシステムとの相互運用性も確保されています。
貿易金融×RWA（現実資産）の実用化
「TradeFinex」などXDCベースのdAppでは、信用状（Letter of Credit）や売掛債権（インボイス）をNFT化することで資金調達や流動性の向上に役立てるケースが増加しています。
高い相互運用性
2025年4月に導入されたLayerZeroのブリッジにより、Ethereum、Arbitrum、Optimismなど複数の主要なL2チェーンとの相互送金がワンクリックで可能になりました。
トークノミクスとステーキング詳細
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 発行上限 | 378億XDC |
| 流通量（2025年4月時点） | 157億XDC |
| コンセンサスメカニズム | XDPoS 2.0（委任型PoS） |
| マスターノード運営条件 | 1ノードあたり最低1000万XDCをステーク、KYCが必須。個人投資家はPrimeNumbers等リキッドステーキングを通じて間接参加可能。 |
| ステーキング報酬 | 基本年利は3〜6％。FathomのaXDCcトークンや特定取引所経由で上乗せ利回りを得ることも可能。 |
国内規制におけるXDCの位置づけ
- 2023年5月、JVCEA（日本暗号資産取引業協会）がXDCを「新規取扱銘柄」として正式承認し、日本国内で合法的な保有・売買が可能になりました。
- 2023年5月、SBI VCトレードが国内で初めて円建て取引を開始。スプレッドやガス代など、日本市場に適した料金体系が導入されています。
日本市場での大型提携──SBIグループとの合弁会社設立
2023年12月、SBIホールディングス（60％）とTradeFinex Tech（40％）が共同出資し、東京（港区）に合弁会社「SBI XDC Network APAC」を設立しました。
主なミッションと具体的な事業内容
- 日本およびAPAC地域における貿易金融分野のDX推進。XDCブロックチェーンを用いた法人向けの決済ソリューション提供。
- SBIグループ傘下の「SBI R3 Japan」と協力し、R3のCordaブロックチェーンとXDCの相互運用性を高めるブリッジの開発。銀行がCorda上で発行した債権をXDC Networkで決済する実証実験（PoC）は既に成功しています。
- 国内取引所への新規上場支援や、法人向けウォレット・APIの日本語ローカライズも進行中です。
提携の戦略的意義
日本を代表する金融企業と提携することで、XDCは国内金融インフラにおける信用度と認知度を大幅に向上させることが可能です。また、規制面の透明性が増すことで大手金融機関からの実需が拡大し、結果としてXDCの市場価格・流動性向上にも寄与すると期待されています。
関連記事：国内取り扱い暗号通貨XDCネットワーク、初の貿易取引に成功
XDCを国内取引所で買う方法とメリット
日本国内の暗号資産取引所でXDCを購入する最大のメリットは、円建てで直接取引ができ、金融庁の監督下で安全性が高いことです。特に2023年5月に国内で初めてXDCの取り扱いを開始した「SBI VCトレード」なら、日本円で簡単にXDCが購入できます。
国内取引所で買うメリット（理由）
国内の取引所は資金決済法に基づき登録・監督されており、セキュリティや法令遵守が徹底されているため、初心者でも安心して利用できます。具体的には以下の点が魅力です。
- 円建てで取引できるため、為替手数料や両替の手間がない
- 利用者保護が徹底され、トラブル時の補償や日本語サポートが充実
- 顧客資産の多くは分別管理かつコールドウォレット保管で安全
国内取引所で買うデメリット
一方、国内取引所ならではのデメリットもあります。
- XDCの取扱所が少ない（2025年4月時点でSBI VCトレードのみ）
- 販売所形式のためスプレッドが割高（約2～5％）で、大口取引には不利
- 取扱銘柄数が限られるため、他銘柄も購入したい人には不便
- 口座開設～本人確認まで数日かかる場合があり、即日取引は難しい
SBI VCトレードでの購入手順と特典
①口座開設と本人確認
SBI VCトレード公式サイトで無料で口座開設。本人確認書類（運転免許証等）とマイナンバー登録が必須（金融庁規定のKYC）。
②日本円の入金
承認後、自分の銀行口座から日本円を入金。住信SBIネット銀行なら即時入金が可能です。
③XDCの購入
口座残高が反映されたら「XDC」を選択し、販売所形式で提示された価格で即購入。手数料は明示的には無料ですが、スプレッドに注意が必要です。
④XDCの受け取りと保管
購入後、即座に口座に反映されます。そのままSBI VCトレード内での保管も可能で、外部ウォレットへの出庫は送金手数料無料（ネットワーク手数料のみ負担）です。
長期保有特典（ステーキング）
SBI VCトレードでは、口座にXDCを保有するだけで毎月利回りが得られる「ステーキング」サービスも提供中（2025年2月時点で年利8.0％の実績あり）。長期投資派にとって魅力的です。
関連記事：SBI VCトレードXDCのステーキングサービスを開始＝国内初の例となる
XDCを海外取引所で購入する方法【Bybit・KuCoin・MEXC編】
海外取引所を使えば、XDCを含めた幅広い暗号資産を取引でき、流動性が高く手数料も抑えられるため、効率的な運用が可能です。
2025年現在、XDCが上場している主な海外取引所は次のとおりです。
- Bybit
- 概要: Bybitは使いやすさとセキュリティで知られる人気の暗号資産取引所です。
- 特徴: 多機能なトレーディングプラットフォームで、フィアットから暗号資産への購入も可能です。取引手数料も競争力があり、0.1%程度です。
- 利点: 日本語にも対応しており、ユーザーフレンドリーなインターフェースを提供しています。
- KuCoin
- 概要: 幅広い暗号資産を取り扱い、セキュリティも高い取引所です。
- 特徴: 取引手数料が0.1%と安く、広範な購入方法が用意されています。
- 利点: 多様な暗号資産の取り扱いがあり、流動性が高いため、スムーズな取引が可能です。また、ステーキングやレンディングなどの機能も充実しています。
- BingX
- 概要: 幅広い暗号資産を取り扱い、利便性が高い海外取引所です。
- 特徴: ユーザーフレンドリーなインターフェースで、新規ユーザーにも使いやすいつくりです。
- 利点: マージントレードやその他の高度な取引機能が利用可能です。
海外取引所は日本円を直接入金できないため、国内取引所で購入した暗号資産（USDTやBTC）を送金する必要があります。特にUSDT（TRC20）は手数料が安く、送金に向いています。クレジットカードでの購入機能もありますが、手数料が割高なためおすすめできません。
日本在住者が海外の暗号資産取引所を利用することは違法行為となるのか
結論から述べると、日本の居住者が海外の暗号資産取引所を利用すること自体は違法ではありません。現行の日本法では、暗号資産取引所の運営者に対して金融庁への登録義務が定められていますが、取引所を利用する側の個人ユーザーについては規制が適用されていません。
法的な根拠について
日本における暗号資産取引に関する法的根拠は、「資金決済に関する法律」（平成21年法律第59号）に記されています。同法の第63条の2によれば、暗号資産交換業務を行う者は必ず内閣総理大臣（実務は金融庁）の登録を受けなければなりません。
暗号資産交換業は、内閣総理大臣の登録を受けた者でなければ、行ってはならない。（資金決済法 第63条の2）
ここで重要なポイントは、この法律が規制対象としているのはあくまで取引所の運営側、つまりサービス提供者に限られるということです。従って、日本で登録を受けていない海外の暗号資産取引所が国内向けにサービスを提供すること自体は違法行為になりますが、それを利用する日本の個人ユーザーが処罰されることはありません。
ただし、日本の金融庁は無登録業者の利用について繰り返し警告を出しており、ユーザーが予期せぬトラブルに巻き込まれるリスクも存在するため、利用にあたっては十分な注意が必要です。
仮想通貨XDCの購入手順（Bybit編）
以下に、海外暗号資産取引所のBybitを使用した具体的な購入手順を紹介します。
国内取引所の口座を開設
- 国内暗号資産取引所（例: bitFlyerやCoincheck）で口座を開設し、暗号資産（例: リップル / XRP）を購入します。
海外暗号資産取引所の口座を開設
- Bybitの公式サイトにアクセスし、アカウント作成手順に沿ってを作成します。
- 必要な情報を入力し、本人確認（KYC）手続きを完了させます。
国内取引所からXRPをBybitに送金
- 国内取引所で購入したXRPをBybitに送金します。
- Bybitアプリを開き、「資産」タブから「入金」を選び、XRPの入金先アドレスを確認します。
- 国内取引所の出金手続きを行い、確認したアドレスにXRPを送金します。
BybitでXRPをUSDTに売却
- Bybitで「XRP/USDT」ペアを選択します。
- 成行注文でXRPをUSDTに売却します。これにより、XDCを購入するためのUSDTが手に入ります。
売却したUSDTでXDCを購入
- Bybitアプリの検索バーで「XDC」と入力し、「XDC/USDT」ペアを選びます。
- 初心者であれば成行注文（マーケット注文）で現在価格で即購入するのが簡単です。
- 数量（USDT建ての購入額 or XDC枚数）を入力し、買いボタンを押せば注文が成立します。
- 指値注文で特定の価格まで下がるのを待って購入することも可能です。
購入後、短期で売買するなら取引所保管も可能ですが、長期保有ならMetaMaskやLedgerなど外部ウォレットに移してリスクを抑えると安心です。
関連記事：Web3ウォレット16選
国内 vs 海外取引所の比較ポイントまとめ
| 比較項目 | 国内取引所（SBI VCトレード） | 海外取引所（Bybit・KuCoin・Gate.io） |
|---|---|---|
| 規制・信頼性 | 金融庁登録で法規制遵守 | 日本の規制対象外（取引所ごとに差） |
| 取扱通貨数 | 約20～30種（XDC取扱はSBI VCのみ） | 数百～1,000種以上（XDC取扱済み） |
| 入出金方法 | 日本円の直接入出金可 | 日本円は非対応（暗号資産入出金） |
| 売買手数料 | 販売所スプレッドが広い（数％）、取引所形式は0.01～0.15％ | 手数料は0.1～0.2％と低コスト |
| セキュリティ対策 | 信託保全、コールドウォレット管理など充実 | コールドウォレット対応だが、国内よりリスク高め |
| サポート言語 | 日本語（電話対応あり） | 英語が基本（一部日本語UI対応） |
総じて、安全性重視なら国内、手数料・銘柄の豊富さなら海外取引所が優位と言えます。
国内・海外暗号資産取引所の税制と報告義務
日本居住者は、国内・海外を問わず、暗号資産取引で得た利益に対して日本で課税されます。ここでは国内外取引所の税制と報告義務を比較しながら、わかりやすく解説します。
課税方法（雑所得・累進課税）
暗号資産取引の利益は原則として「雑所得」となり、給与など他の所得と合算して最大税率55％の累進課税が適用されます。株式やFX取引のような分離課税（一律20％）は適用されません。
- 国内取引所：金融庁に登録済みのため、将来的な税制優遇（分離課税）の対象になる可能性があります。
- 海外取引所：金融庁の登録がなく規制外のため、税制優遇措置（分離課税）が適用される可能性は低いとされています。
金融庁は2025年4月、暗号資産に関する分離課税の導入を検討していると表明。これにより、国内の暗号資産取引所は規制を遵守している点で恩恵を受ける可能性があります。
一方で、海外取引所にとっては不利な展開となる可能性も。これは、信頼性の確保やCARF（暗号資産に関する報告枠組み）による情報交換への対応など、複数の課題が残されているためです。背景には、2022年に起きたTerra-LUNA崩壊や、海外取引が全体の約70%を占めるという国税庁の調査報告など、規制強化を後押しする材料が存在します。
損益計算と円換算
国内外いずれの取引所でも、取引時の損益は日本円で計算する必要があります。
- 国内取引所：日本円建て取引が主流で、自動的に年間損益報告書を発行してくれるため、計算が容易です。
- 海外取引所：USDTやBTC等の外貨建て取引が主流なため、自分で円換算を行う必要があります。一般的には購入時にTTSレート、売却時にTTBレートを採用します。レートの記録は必ず保存しましょう。
確定申告の義務と注意点
暗号資産取引による年間利益が20万円超の場合、確定申告が必要です。
- 国内取引所：年間取引報告書が提供されるため、比較的簡単に申告が行えます。
- 海外取引所：取引報告書が自動で提供されないため、自分でCSVデータを管理・集計し、損益計算する必要があります。
申告漏れや無申告の場合、追徴課税・延滞税（年14.6％）・重加算税（最大40％）が課されるリスクがあるため注意してください。
海外取引特有の報告義務
海外取引所利用時は、国内にはない特別な報告義務が発生します。
- 国外送金等調書
- 国内金融機関を通じて海外へ年間100万円超の送金または海外からの受金があれば、金融機関が税務署に報告します（例：国内口座⇔海外取引所間の送金）。
- 国外財産調書
- 毎年12月末時点で、海外資産（暗号資産含む）の合計が5,000万円超の場合、翌年の確定申告期限までに税務署への提出義務があります（未提出の場合罰則あり）。
国内と海外の取引所の違い
国内取引所と海外取引所の税務面での主な違いは以下の通りです。
| 項目 | 国内取引所 | 海外取引所 |
|---|---|---|
| 課税方法 | 雑所得（総合課税） | 雑所得（総合課税） |
| 損益計算 | 日本円建てが主流で簡単 | 外貨建てが多く円換算が手間 |
| 確定申告 | 年間損益報告書あり | 自分で取引履歴を管理 |
| 特有の報告義務 | 特になし | 国外送金等調書・国外財産調書あり |
| 税制優遇の可能性 | 高い（登録済みのため） | 低い（未登録のため） |
関連記事：暗号資産の税金には抜け道がある？正しい節税方法と注意点
購入後のXDCの安全な保管方法
XDCを購入した後は、安全に管理できるウォレットを選ぶことが重要です。取引所に預ける方法もありますが、自己管理（セルフカストディ）が推奨されます。以下では、保管に適したウォレットを解説します。
ソフトウェアウォレット（ホットウォレット）
MetaMaskなどのソフトウォレットは手軽に利用でき、ブラウザ拡張やアプリとして提供されています。XDCはMetaMaskにRPC設定を追加することで対応可能。ただし、常時ネット接続されるため、ウイルス感染やフィッシングのリスクがあります。
ハードウェアウォレット（コールドウォレット）
LedgerやTrezorなど、秘密鍵をオフラインで管理するウォレット。特にLedgerはXDCを公式にサポートしており、高い安全性を誇ります。ただし、デバイス紛失・故障に備え復元フレーズを紙に控え、厳重に管理する必要があります。
モバイルウォレット
XDCPayやAlphaWalletといったモバイルウォレットも利用できます。利便性が高い反面、紛失やアプリの脆弱性リスクもあるため、小額の短期保管に適しています。
取引所でのカストディ
SBI VCトレードなど信頼できる国内取引所に預けることも可能です。しかし、海外取引所に置いたままにすることは避けましょう。
セルフカストディにおける注意点
- 秘密鍵の管理 秘密鍵（復元フレーズ）は紙や金属プレートに保管し、決してデジタルデバイスには残さない。
- バックアップの重要性 復元フレーズを複数箇所に保存し、紛失・故障時の対策を万全に。
- フィッシング詐欺対策 不審なサイトやメールで秘密鍵を入力しない。エアドロップトークンにも注意。
- 複数ウォレットの利用 用途別にウォレットを分散管理し、リスクを限定。
- 相続対策 復元フレーズの保管場所を家族や遺言に記録し、資産を安全に引き継ぐ。
XDCの運用（ステーキング・DeFi）方法
海外取引所でのステーキング
KuCoin、MEXC、Gate.ioなどの取引所では、XDCを預けて利息を得るサービスがあります。リスクを考慮し、信頼できる取引所を利用しましょう。
リキッドステーキング（Fathom Protocol）
XDCをステークしながら他のDeFiにも参加できる仕組みです。Fathom ProtocolではXDCを担保にFXDステーブルコインを発行可能。ただし、担保率に余裕をもたせて運用する必要があります。
流動性提供とクロスチェーンブリッジ
XDCをDEX（分散型取引所）の流動性プールに預けることで報酬を得る方法もあります。価格変動による一時的損失に注意し、ステーブルコインとのペアでリスクを抑えるとよいでしょう。
また、Wanchainなどを利用したクロスチェーンブリッジでEthereumなど他チェーンにXDCを移動して運用する方法もありますが、公式の信頼性あるブリッジを選び、リスクを軽減しましょう。
国内外の取引所を使い分けてXDCを賢く購入・運用しよう
XDCを購入・運用するなら、国内外取引所を賢く使い分けることが鍵です。国内のSBI VCトレードは円建て購入と高い信頼性が魅力で、初心者にも安心。一方、BybitやKuCoin、などの海外取引所は流動性や手数料面で優位性があります。ただし、海外取引所利用時も日本の税制に従った申告が必須で、税務リスクへの備えも不可欠です。購入後はMetaMaskやLedgerなどのセルフカストディで安全に管理し、ステーキングやDeFiでの活用にも挑戦を。今後の上場動向や実需展開にも注目しつつ、常に情報感度高く立ち回りましょう。
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