ナイキの第1四半期決算はコスト削減によってウォール街予想を上回ったが、売上高の成長によるものではない。とはいえ、エリオット・ヒルCEOによる再建計画では、2027年度に収益が1桁台後半の割合で減少すると見込んでいる。
1株当たり利益は48セントで、コンセンサス予想の43セントを上回った。一方で売上高は112億1000万ドルと、予想の113億2000万ドルに届かず、純利益は2%減少した。
ナイキの決算は売上減少の課題をどう隠しているか
ナイキによれば、売上高は4%減の112億ドルとなった。減少を主導したのは中国本土と欧州・中東・アフリカ地域。
中国本土の売上高は22%減の11億8000万ドルとなり、為替影響を除くと26%減だった。同地域の営業利益は34%減の2億4800万ドルに縮小した。
その他の地域では、ナイキはアナリストに対して、売上高の約半分を占めるスポーツウェア部門が2桁台前半の割合で減少したと説明した。ダンクスニーカーの売上は5割近く減少し、今後の生産削減がこの要因の一部とされる。
同様に、ナイキ全体の13%を占めるジョーダンブランドも売上が10%台半ば減少した。
CFRAリサーチの株式アナリスト、ザカリー・ワーリング氏は、ジョーダンブランドが今後数四半期で安定を取り戻すと予想しているが、その時期は当初予想よりも遅れる見通し。
「いまはジョーダンブランドの業績が課題となっている」
CFRAリサーチ株式アナリストのザカリー・ワーリング氏によるブルームバーグでの発言
コスト削減はナイキの成長の代替となり得るか
ナイキはことし3月のコスト削減策を発展させた「Pace」再編計画により、2031年度までに累計25億ドルのコスト削減を目指す。
CNBCによれば、2027年から解雇を開始する予定で、これで年内3度目の人員削減となる。同計画では2031年度までに税引前で約10億ドルの費用発生を見込む。
倉庫や物流コスト削減で粗利益率は前年同期比0.6ポイント増の42.8%となった。これに対し、前四半期の好業績は一時的な関税還付によるものだった。
ナイキは5月期の通期で調整後1株当たり利益を1.15〜1.35ドルと見込む。この数値にはPace再編のコスト約15セント分は含まれない。
買い推奨を維持するワーリング氏は、この見通しには失望感を示しつつも、Pace再編の詳細が明らかとなる前段階としては良いスタートだと評した。
「ナイキは本気で効率性追求に注力すれば、1株当たり3ドル超の利益を難なく達成できる」
CFRAリサーチ株式アナリストのザカリー・ワーリング氏によるブルームバーグでの発言
ナイキが失った売上を誰が奪うか
ヒルCEOは2024年10月に就任した。ワーリング氏は、今回の決算は本来なら就任後2、3四半期後に想定していた内容で、2年経過時点としては異例と指摘した。
株価は木曜日の時間外取引で約8%下落。今年すでに約40%下落しており、9月中旬時点でダウ平均構成銘柄の中で最もパフォーマンスが悪い銘柄となっていた。
米国内ではランニングブランドのHokaやOnが好調だとワーリング氏は述べた。一方、中国市場ではナイキが価格競争を余儀なくされる可能性があり、利益率を圧迫する見通し。
ナイキの25億ドルコスト削減見積もりは、再投資前の金額となる。11月の投資家説明会では、HokaやOn、そして現地中華ブランドとの競争にどれだけ資金を回すかが明らかとなる可能性がある。









