ピーター・シフ氏は投資家に米国債の代わりに5セント硬貨の購入を推奨している。硬貨に含まれる銅とニッケルの価値が、現在は債券市場の利回りを上回ると同氏は主張する。
同氏は、5セント硬貨を溶解した場合の価値を7.76セントと試算し、額面を約55%上回ると指摘する。ただし、連邦法によって硬貨の溶解は全面的に禁止されている。
ピーター・シフ氏の異色なニッケル論
銅価格は火曜日にCOMEXで1ポンドあたり6.69ドルで終え、8月の過去最高値に迫った。ニッケルは1トンあたり1万6776ドルで取引を終えた。各硬貨には銅3.75グラム、ニッケル1.25グラムが含まれる。
この価格から試算すると、金属価値は7.63セントとなり、額面を約53%上回る。シフ氏の数値もおおむね正確と見られる。火曜日にはロンドンで金属が新たな過去最高値を付け、トレーダーが米国の精製銅への関税を警戒している。
同氏の供給懸念も的を射ている。造幣局は2025会計年度に1枚あたり13.31セントを製造・出荷に費やした。納税者の負担は額面の2倍超に達している。造幣局は昨年11月、流通向け最後の1セント硬貨を製造した。
連邦法が溶解取引に壁
だが、ピーター・シフ氏の5セント硬貨推奨は法的な壁に突き当たる。同氏の投稿にはその問題を指摘する返信が相次いだが、その通りである。規則(31 CFR Part 82)により、5セントと1セント硬貨の融解および輸出は禁止されている。違反者には1万ドルの罰金、最長5年の禁錮刑が科される。
シフ氏はこの異議を一蹴した。
溶かす必要はない。そのままでも価値を保つ。
ただしこの説明では物流面が無視されている。5セント硬貨は1枚5グラムで、1万ドル分では重量が1トンに達する。10万ドル分となれば保管に10トンの硬貨が必要となる。
一方、10年債は9月3日に4.77%の利回りを示し、保管場所も不要である。
こうした主張は、シフ氏によるビットコインや証書主義へ長年の批判とも合致する。過去最高の米国債務や利回りの上昇がこの議論を一層際立たせている。
紙の上ではプレミアムは確かに存在するが、現実には誰も合法的に溶かせない金属価値に閉じ込められている。今後、造幣局が5セント硬貨の廃止に踏み切るかが、投資妙味の有無を左右するとみられる。









