レイ・ダリオ氏は、AIバブルは技術の失敗ではなく、いずれ崩壊すると警鐘を鳴らす。ブリッジウォーター創業者は、紙上の富を現金化しようとする投資家の動きが本当の引き金になると主張する。
同氏はブルームバーグテレビのインタビューで見解を示し、バブルが崩壊するかどうかを決めるのは収益や技術ではなく流動性需要であると語った。
なぜ「富」と「お金」は異なるのか
ダリオ氏は、「富」と「お金」を明確に区別する。スタートアップ企業が5000万ドルしか資金調達していなくても、10億ドルの評価額に達する場合がある。この数値は「富」として計上されるが、誰も使うことはできない。
「お金」は実際に人々が消費できるものを指す。そのためには、まず保有者が富を売却する必要がある。富がマネーサプライを大幅に上回って増加すると、金融システムは脆弱になる。
このギャップこそが、多くの億万長者がAIの上昇傾向を維持する一方、資金不足が続く理由である。AI企業は保有する資金を持たずに、兆単位の評価額をつけることができる。
支出規模は大きい。ブリッジウォーターは、アルファベット、アマゾン、メタ、マイクロソフトが2026年にAIインフラへ推定6500億ドルを投資すると見積もる。
これは2025年の約4100億ドルから大幅な増加となる。
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売却を迫る要因とは
現金需要が突如発生すると、その時にバブルが弾けるとダリオ氏は言う。債務返済や富裕税、ファンド償還などが、大口保有者に一斉売却を迫ることになる。
「あらゆる主要技術変化はバブルを生む。その理由は、どこまで正確に予測できる人はいないからだ。市場シェア獲得のために巨額投資も必要となる」――ダリオ氏はインタビューで語った。
同氏は、リスクの根底には逼迫した政府財政があると指摘する。米国は約7兆ドルを支出し、収入は5兆ドルにとどまる。この赤字が、すでに圧迫された債券市場にさらに多くの借入を強いる。
加えて、債券市場のストレスも並行する圧力要因だという。長期金利が短期金利を上回る局面は市場の混乱を示唆し、同氏のグローバル金融秩序の崩壊警告とも呼応する。
ダリオ氏は、同じ力学が世界秩序の崩壊や、構造的インフレリスクの高まりとも関連すると述べる。同氏が追うバブル指標は現在、2000年や1929年以来の水準に近い。
ダリオ氏は、中間選挙後から大統領選前にかけての不安定な時期を警戒する。税制をめぐる政治的対立が圧力を一層強める恐れがある。
ただし、パニック売却を避けるよう注意を促し、今後はリターン低下に備えるべきだと投資家に助言した。
すべてのリスク資産に迫る試練
この区別はAI株だけでなく、あらゆるリスク資産に波及する。株式から暗号資産まで幅広く影響し、ダリオ氏は依然として現金よりもデジタルゴールドであるビットコイン(BTC)を支持する立場。
突発的なショックが事態の早期顕在化を促す可能性もある。台湾からの半導体輸出が止まれば、AI株は急落するとの警鐘も鳴らす。
今後数か月、市場の行方を左右するのは、増税・債務・償還のいずれが引き金となるかによって決まる見通し。
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