マイケル・セイラー氏は28日、「ビットコインはすでに勝利した」との見解を示す一方、最大の脅威は内部にあると警鐘を鳴らした。同氏が率いるストラテジーは、5週連続でビットコインの追加購入を見送っている。
ブロックチェーン分析企業アーカムは、この購入停止の背景を分析した。ストラテジー(旧マイクロストラテジー)はその間、37億5000万ドルの現金準備を積み上げた。現在、同社では2つのカウントダウンが進行しており、それぞれ異なる方向性を示している。
マイケル・セイラー氏が今ビットコインに警鐘を鳴らす理由
このタイミングは偶然ではない。BIP-110は1年限定のソフトフォークを提案するものであり、ビットコイン取引に含まれる任意データフィールドのサイズ上限を設ける内容。開発者ダソン・オーム氏が執筆し、ビットコイン・ノッツに搭載された。2025年12月1日からマイナーによるシグナリングが開始された。
マイナーの多くは同提案を無視しているが、それでも進行を止めることはできない。
この提案の実装スケジュールでは、2026年8月ごろに義務的なロックイン期間を設けている。この期間が始まると、シグナリングしないブロックは無効となり、ロックインが確実となる。2週間後に適用が始まり、その約1年後にルールは自動的に失効する。
要するに、セイラー氏は投票を経て決まる事項には反対していない。同氏が懸念しているのは、カレンダーに沿って自動的に進む仕組みであり、その期限が目前に迫っている。
セイラー氏によるコンセンサスルールへの見解
ストラテジー社のエグゼクティブチェアマンであるセイラー氏は、ビットコインのコンセンサスルールを「憲法」に例えた。これらのルールが資産性、希少性、決済、主権を規定していると説明。特定の派閥に合わせてルールを書き換えれば、現存するユーザーも、将来のユーザーも害されると主張した。
同氏が名指しした懸念は3つある。
- BIP-110は有効かつ手数料を支払う取引を、同氏の見解では検閲する。
- コベナンツは新たな攻撃対象となりうる。
- ブロックサイズ拡大は、ブロックスペースの希少性を薄め、検証コストを引き上げる。
同氏が指摘する中心的な技術論点は、マイナー収益への影響だ。ブロック報酬は21万ブロックごとに半減するため、手数料収入がセキュリティ予算を支える比重が増す。手数料市場を弱めることは、ネットワークの防御力を損なうと主張した。
一方、BIP-110の支持者も多い。任意データの埋め込みはノード運営者に負担をかけ、決済機能を圧迫するという。
セイラー氏以外にも批判者は存在し、意見が一致しているわけではない。ブロックストリームのアダム・バックCEOも同提案に反対だが、同氏の警告はシグナリングの有効ラインが55%に引き下げられた点にあり、検閲には言及しなかった。
セイラー氏は過去のBIP-110への警鐘で、この提案を「最大の自損リスク」と表現した。この対立は数カ月にわたりビットコイン開発者を分断している。
ストラテジーがビットコインの買いを停止した理由
株式の売却による資金調達コストが、信念を維持するコストを下回ったためである。
7月27日付のForm 8-K提出書類で、5億2500万ドルのドル準備増強を確認した。準備金総額は37億5000万ドルとなり、年間優先株配当義務約17億6000万ドルに対して、2.1年分の配当保証を確保した形。
調達元はコインではなく株式だ。ストラテジーは先週、MSTR株を5億4450万ドル売却。直前2週間も約4億6700万ドルと2億6350万ドルを売却し、3週間合計で約12億6000万ドルを調達した。
株価が安い中での売却だった。MSTR株は現在約96.66ドルで、52週高値414.36ドルと比較して76%安。昨年と比べ、同じ資金調達でさらに多くの株式を手放す必要がある状況。
100万BTC目標との距離
ストラテジーは2026年末までに100万BTC保有を目標としている。現時点での保有量は84万3775BTC。差分は15万6225BTC。
今年残りは約22週間。ギャップを埋めるには毎週約7000BTC、現在の価格では週あたり約4億4700万ドルが必要となる。同社は現状、これを一切購入していない。
BTCおよびMSTR保有者にとって重要な理由
ストラテジー社のビットコイン平均取得単価は1枚あたり約7万5494ドル。ビットコインは約6万3817ドルで取引されており、24時間で約1.5%下落、2025年10月の過去最高値12万6080ドルから約49%安となっている。この結果、同社の含み損はおよそ99億ドルに達する見通し。
損益分岐点までには約18%の上昇が必要となる。本日のビットコイン価格はその状況改善に寄与していない。
優先株の動きが、同社の緊迫感の理由を示す。STRCは約88.86ドルで推移し、額面100ドルをいまだ約11%下回っている。7月1日に配当を12%へ引き上げ、自己株買いも承認されたが、この状況は続く。
このSTRCを巡る圧力が、6月29日に発表されたデジタル・クレジット・キャピタル・フレームワークを形成した。この枠組みにより株式買い戻しと最大12億5000万ドル分のビットコイン売却が認可された。
今後30日間で注視すべきポイント
この期間中、3つの重要な予定がある。
- BIP-110の義務的シグナリング期間が8月に始まる見込み。これによりマイナーの支持がなくてもロックインが確定する。
- ストラテジー社は週次で報告している。購入なしかつ6週間連続となれば、同社によるビットコイン蓄積開始以降で最長の中断期間となる。
- 37億5000万ドルを確保し、直近で12億5000万ドルのビットコイン売却認可に手を付ける必要はなくなっている。
両者の立場は同時に保持できる。一方は100年持続することを前提としたプロトコルを守り、もう一方は来四半期の配当資金を確保する必要がある。この緊張は偽善というよりも単なる時間的な問題にすぎず、今後はスケジュールがさらに重なり合っていく見通し。








