G7主要7カ国は1日、G7デジタル・技術大臣会合で「広島AIプロセス G7デジタル・技術閣僚声明」を採択した。各国間で生成AI規制の隔たりがある中、具体的な取り組みへの展開が論点となった。同声明では官民に安全性確保を求める。
10月30日に公表した、AIの開発者や利用者らの責務をまとめた12項目の「国際指針」に、生成AIの安全性・信頼性に関する新たな項目が追加され合意。同国際指針は、開発者から利用者までのAI関係者が守るべき責務の概要を示したもので、開発者には生成AIによる作成の見分けがつく手段の開発を、利用企業には偽情報リスクへの責任ある利用を求める内容を含んでいる。
国際ルールとしては、AIに特化した世界初の包括的なもので、利用者を含む全ての関係者に向けた共通ルールとしても初めてである。G7は5月に生成AIの活用・規制の枠組み「広島AIプロセス」を設立し、共通ルールに関する議論を進めてきた。
G7デジタル・技術大臣会合は総務省、経済産業省、デジタル庁が共同開催し、日本は2023年のG7議長国。会合にはG7構成国・地域のカナダ、フランス、ドイツ、イタリア、英国、米国、欧州連合(EU)のほか、経済協力開発機構(OECD)と国際連携組織「AIに関するグローバルパートナーシップ(GPAI)」が参加した。会合では、国境を越えたデータの自由流通「DFFT」の具体化についても議論され、OECDにて国際枠組みを設置することで、プライバシー保護やセキュリティ対策を考慮したデータ自由活用の検討について合意に至った。
鈴木総務大臣は会合の成果を強調。「AIシステムの社会経済への影響対処が課題。国際的議論の加速につながる」と述べた。河野デジタル大臣は「国や地域の考え方の違いを踏まえ、データの越境流通実現に向けたプロジェクトを行い、前進したい」と語った。
日本政府のAI対策は?
岸田政権は国家戦略としてAIとWeb3の推進を掲げている。自由民主党は4月13日、政策調査会の政調審議会にて「Web3ホワイトペーパー ~ 誰もがデジタル資産を活用する時代へ ~」および、AIホワイトペーパー(案)」を了承。7月27日には米マイクロソフトが、日本政府に「ChatGPT」最新版のサービスの提供をすると表明していた。マイクロソフトは、提携関係にあるOpenAI社のChatGPT最新版を、年間約3億3000万円でデジタル庁に提供する。
日本政府は5月、G7議長国として生成AIの議論のため「広島AIプロセス」を立ち上げていた。岸田首相は10月、京都市で開催の国連「インターネット・ガバナンス・フォーラム(IGF)」に参加し、10月中にまとめる経済対策に「AIの開発・導入」を強化する方針を示していた。経済対策の策定においては、偽情報や偽画像のリスクも指摘し、関係者全員の協力が必要との立場を強調していた。
米国のサイバーセキュリティ・インフラ保護庁などは11月26日、AIの安全な開発と運用に向けた新たな国際ガイドラインを発表した。取り組みには、日本を含む18カ国が参加。日本の国家情報セキュリティセンター(NISC)や科学技術政策担当大臣官房などが関与している。ガイドラインには、AIシステムの設計、開発、展開、運用の各段階において、セキュリティの重視が求められ、各段階で「デフォルトのセキュリティ」を強調している。同ガイドラインに法的拘束力はない。
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